メイリラルド歴611年(2) Side恵理
朝、目が覚めベットから出てカーテンを開けることから一日が始まる。
「今日もいい天気!」
私の名前は相沢 恵理。私には家族の他に大切な親友たちがいる、いつもみんなと一緒に学校に行くから待たせないようにしないと!
* * *
「いってきまーす!」
「いってらっしゃい、気をつけていくのよ?」
「はーい」
お母さんとのいつものやりとりをしてから家を出た、皆との待ち合わせは3分歩いた先にある。
「恵理ー!おはよーう!!」
「おはよう里奈」
「おはっす」
「おはよう」
「和樹も真人もおはよう」
待ち合わせの場所には里奈、和樹、真人の3人がいた、もう一人一番大切な親友が居ない。
「優莉は?」
「まだ来てないの」
「もうすぐ来るだろう」
私達4人は優莉の家については大体知ってる、時々見ているだけで辛い表情をする優莉が嫌で私達は優莉が笑えるように、楽しめるようにしている…幸せそうに笑う優莉が私達は大好きなの。
私がそう思った時、異変が起きた。
「もう少し待てば来る…え?」
「なんだ!?」
「きゃっ」
「え?」
何かが光ったと思ったらその光は私たちを巻き込んだ、私と里奈はお互い抱きつき目を瞑った。
目を開けるとヨーロッパみたいな広い部屋にいた。
「な、なんだ?」
「え?」
「?」
「…」
突然過ぎて声が出なかった。私たちの正面にはローブを着ている人がいて何となくだけど私たちを見て驚いてる…なんで?そう思ったらすぐ後ろの人が前に出てきた。
「突然のことと存じますが落ち着いて話を聞いてください、とりあえず別の部屋で」
そう言われ私達は別の部屋へと移動した。
「唐突で混乱していると思うが最初は自己紹介だな、俺の名前はライドレシア・オルフ・メルゼルク…一応この国の王をやっている、横にいるのが息子のアランシス、後ろにいるのが宰相のレイダリアだ」
「アランシス・アルフ・メルゼルクです」
「レイダリア・ミドル・サーベイトと申します」
おう?王!?建物もそうだし王とかどこのラノベ世界なの!?
「えっと、俺は飯田 和樹です」
「柳 真人です」
「た、谷山 里奈です」
「相沢 恵理です」
「カズキ、マサト、リナ、エリだな。いきなり過ぎて混乱しているだろう?」
「は、はい」
私が前に呼んだ本だと呼び出したくせに王様がクズすぎて嫌だったけど、この王様はいい人だね。
「この世界の名前はメイリラルド、君たちのいた世界とは異なる世界だ」
まぁ、そうだろうね。
「君たちには勇者としてこの世界を救って欲しい」
わー…テンプレ過ぎ、3人もそんな顔をしている。
「…今、この世界の状況は?」
呆れながらも大事なことを聞く真人、さすがだよ。
「一年前に封印されていた魔王が復活し、侵略しようと企んでいる…大昔に封印された魔王が復活したんだ、魔物と人間の大戦争が始まるだろうな」
その中で私達は戦わないとなのね…怖いなぁ、そう思った時後ろの扉のノックが聞こえ誰かが入ってきた。
「必要なことは言っておいたぞ」
「ありがとうございます陛下」
王様の言葉に言い返すこの声には聞き覚えがある、そう思いながら振り返った私達は再び驚きで動きが止まった。
「メイリラルドへようこそ」
「優莉?」
「私の名前は時の神子ユーリ、よろしくね」
ユーリ…優莉!?でもこの声は優莉で、でも姿を見ると大人になってて…どういうこと!?
「恵理、そんな変な顔しないで…可愛い顔がもったいないわよ、和樹も金魚みたいに口を開け閉めしないで、幽霊を見たような顔しないでよ真人、里奈は…どうでもいいか」
「私だけ酷いよ優莉っ!」
「優莉…なのか?」
「優莉?」
「ゆ、優莉?」
「はぁ…正真正銘私よ、七瀬優莉…今は違うけど」
この声、この話し方、里奈とのやりとり…姿はさっき召喚されてきて私達の正面にいた人で、優莉だったんだね。
「だって私達、さっきまで集合場所で優莉を待っていたんだよ?」
「そうそう!」
「…何時ぐらい?」
「確か…7時5分」
召喚される前に私達は優莉を待っていたんだよね…本で見る通り、こっちの世界と地球との時間の差が違うのかもね。
「私が7時過ぎに家を出てから数分後にこの世界にやってきたの、それから今まで…えーっと」
「90年だよ」
「…私がこの世界にやってきて90年が経っているわ」
「90!?」
す、進み過ぎじゃない?さすがに…
「…106歳?」
「そうなるわね」
106歳!?見た目若すぎるでしょう!?王様なんかもっと年いっているってことでしょう?見た目30代にしか見えないのに。
「ちなみにこの世界の平均寿命は500歳よ」
「「「「……」」」」
「…とりあえず、陛下から聞いたと思うけど…今、この世界は封印されていた魔王が復活し侵略を始めようとしています。世界を調整する時の神子として勇者4人で魔王討伐をお願いします」
大事な親友の頼みだもんね。皆で顔を見合わせ頷く。
「俺はいいぜ」
「僕も」
「私だって」
「うん!」
「みんな…ありがとう」
「親友の頼み事だもの、断る理由なんて無いわ!」
私達の言葉に優莉嬉しそうに笑った、それにつられて私達までもがうれしくなるのだから不思議。
「すまないな、異世界の者を巻き込んでしまって」
「陛下、それは私も含まれていますよね?」
「あの時はな、今はもうこの世界の住民だろう?」
90年もこの世界にいたから、さすがにもうこの世界の住民だよね…そう思っていたら優莉の表情が変化した、なんというか…ちょっと怒ってる?
「こんな時にまったく…陛下、後はお願いします」
「?あぁ、気をつけてな」
何のことか分からない私たちを無視して、さっきの部屋で最初に話しかけてきた超イケメンさんの出した手を取った瞬間姿が消えた…瞬間に消えた!?
「ありゃ最速で終わらせてくるな」
「ルドも分かったでしょうね」
「ユーリの暴走はルドが止めるしな」
「変なところで毎年新婚夫婦ですから」
え、なに?どういうこと?
「…優莉ってどうしてこの世界から来たんですか?」
「話が長くなるけどいいか?」
「はい」
宰相様がお茶の用意をして王様の隣に座った。
「ユーリには時の神子としてこの世界に召喚した」
「時の神子?」
「この世界は世界のバランスを保つ役目を担う神子という人がいるんだ。神子はこの世界のどこかに発生する歪みを直し世界のバランスを監視している、前の神子もその役目を日々努めていたんだが…突然巨大な歪みが発生したんだ。神子はそれを食い止めようとして歪みに吸い込まれ、遺体は闇の中…だから俺達は神子の召喚を決定した、それで召喚されてきたのがユーリだ。
その時はまだ正式ではなかったが神子の魂の欠片によって正式に力を継承し、ユーリが時の神子となった。」
すっごい話…優莉すごい。
「優莉と一緒にいた人って誰ですか?」
「彼は私の息子でルドレイクと言います」
「本来神子の継承は力の半分くらいしか受け継がないんだが、魂であり本体のない彼女はすべての力を継承した…だがそれにはかなりの負担がある、そこで力の一部をルドに与えてユーリの負担を減らしたんだ」
「神子の一部の力を宿す者、彼を『神子の片割れ』といいます」
「まぁあの二人は実際に夫婦だから常に一緒にいるしな」
「我が息子ながら末恐ろしいです」
「「「「夫婦!?」」」」
ビックリしすぎてシンクロした。
「ちなみに息子もいるぞ」
「今は仕事で世界各地を回っていますが」
「「「「息子ぉ!?」」」」
またしてもシンクロ…びっくりしすぎてなんとも言えない。
「な、なんかすごいね」
「…」
「すげぇ」
「はは…」
私たちは顔を見合わせ一言
「「「「さすが優莉…」」」」
そう言うしか無かった。




