メイリラルド歴526年
私は今幸せの中にいる。
華やかに飾られた教会内、お義父様と共に歩いて行く先にはルドがいた。
「生涯愛すると誓いますか?」
「誓います」
ルドが言う。
「生涯愛すると誓いますか?」
「誓います」
お互いの唇が合わさった時、私はユーリ・ミドル・サーベイトになった。
* * *
メルぜルク王宮の最奥…王族のみが住む、通称『華の宮』には楽園と名付けられた中庭がある。そこには王妃レイフィアが丹精込めて育て上げた美しい花々が設計に合うように植えられている。
中庭の真ん中には1つの丸いテーブルを囲む様に四人の女性が座っている。
一人はメルぜルク王国王妃のレイフィア、隣には宰相レイダリアの妻マリアム、国王ライドレシアと宰相レイダリアの学友でモルジアナ伯爵家当主リド・ベル・モルジアナの長女リーフェ、そして先日宰相レイダリアとマリアムの息子ルドレイクと結婚式を挙げた2代目時の神子優莉が座っている。
話の話題は先日結婚式を挙げた同じ日に本家から新しい家に移り住んだ優莉の話になった。
「新婚生活はどう?」
「どうといっても普通よ?食事や洗濯とかはメリアとルイがやってくれているしルドだって相変わらず片割れの仕事を完璧にこなしているしね」
お義父様から貰い受けた土地に家を建てたのはいいけどまさかの大きさで掃除とか心配だったけど…王宮からお世話になったメリアにルドの実家であるサーベイト家で同い年で気の合ったルイがメイドとしてやってきてくれて本当に助かった…。
「ようやく二人が結婚して安心したって昨日ライドが言ってたわ」
「陛下とレイフィアはすぐに結婚式を挙げたものね」
「あれはとても緊張したわ…マリアムは静かな結婚式だったわね」
「あれでいいのよ、あまり騒ぎたくもなかったしね」
そりゃあ国王と王妃の結婚式なのだから大勢の前でやらないとなのよね、私とルドの結婚式もお義母様と同じく静か…というよりは一般的な結婚式を挙げた。ルドが当主を継ぐわけでもないし時の神子だからといって賑やかにやるようなことは絶対したくなかったからこれで私は満足なのよ。
「アランシスは今日乳母に預け?」
「えぇ、でも出来る限り自分で育てることにしているの。どうしても忙しい時は乳母のサリーに預けているし、サリーも協力してくれているの…マリアムはどうしていたの?」
「一番大変だったのはケイルとレイね、2つ違いとはいえ苦労したわ…ルドの時が一番楽だったわ~レイはケイルが遊んでくれていたから寂しい思いもしてないだろうし…ルドが大人しいのもあるけど、私も家に居ない時はケイルが全部弟二人のめんどうを見てくれていたわ…あの子も寂しい思いもしただろうに」
「実はね、マリアが3人を王宮へ連れてきた日にね寂しくないか聞いたことがあるの…そしたらねケイルは寂しくないって言ってたわ」
『父上と母上が忙しくても少しでも時間を空けてくれていることを知っていますから、それに…レイとルドがいるから』
そう言ったケイル義兄様、当時8歳…幼い頃からしっかりしていたのね。
「そんなことがあったの…私は幸せものね、立派な息子が産めたんだもの」
そう言って笑うお義母様の顔は本当に幸せそうな顔をしていた…私もそんな子供がほしいなぁ
「ユーリは子供何人欲しい?」
「へ?」
今まで黙っていたリーフェが唐突に聞いてきた、本当に唐突ね。
「…多からず少なからずね」
「…というと?」
「二人くらいが一番いいわね」
男一人女一人がいいと思うのよね。
「性格がルドに似ないことを祈るわね」
そう言うリーフェに私達は苦笑いをした。その後も様々な話をしていたら王様とお義父様、ルドがやってきた。
「あら、もうそんな時間かしら」
「時間が経つのもあっという間ね」
「こうやって集まるのもいいですね」
「ええ」
こうして集まり…女子会は幕を閉じた。
* * *
―姉さん―
…優希?優希なの?
―姉さんが幸せになって良かった、おめでとう姉さん―
…優希
―私も頑張らないと、じゃあね姉さん―
待って優希!
―どうかお幸せに―
「っ!」
目を開けたら新築の天井、隣にはルドが寝ていた。カーテンの隙間から明るさが漏れいているから朝なのね。
ルドを起こさないようにそっとベットから起き、カーテンを少し開けて窓を開けた。今日は晴天、寒いこの季節に温かい風が吹いている。
「ん…ユーリ?」
「おはよう、ルド」
「もう朝か」
伸びをして髪をかき上げる姿はもう絵になる、ここにカメラがあったら連写しているわね。
「どうした?」
「なんでもないわ」
不思議そうに首を傾げるルドに少し笑いながら寝室から出た。
「おはようございますユーリ様ルドレイク様」
「おはようメリア」
丁度起こしに来たメリアと挨拶をし、朝食を食べるため部屋にはいるとルイが朝食の準備をしていた。
「おはようございます」
「おはようルイ、今日も美味しそうね」
「今日も元気が出せるスペシャルメニューです!」
そう言ってさくさくと準備を進めていく、彼女の実家は食堂を営んでいて私も食べに行ったけどかなり美味しかった。ルイは食堂を営んでもいいほどに料理の腕がよく、毎日お世話になっている。
* * *
場所は変わって王宮、最近妙に多くなってきた歪みの処理とレポートでまともに休憩できていなかった。
「はぁ」
ルドは資料室に行っているため部屋には私一人だけ。最初は一人になると向こうの世界の事を考えていたけど最近はそんなことも無くなった、今日は夢で優希が出てきたけどそれだけ。
気にかかるのは最近の歪みの数、リリアさんが行方不明になる数年前にも突如歪みの数が増えていたと王様が言っていた。そうなるとこの数の多さは巨大な歪みの前触れなのかもしれない…そうなるとどうなるか、力の持つリリアさんですら巻き込む大きな歪み…どうすればいいのかしら。
「とりあえず今は目の前のことをやらないとね」
予感でしかないこの考えを隅において私は目の前のレポートに腕を動かした。
あの時の私の予感の答えは後悔と共に知ることになるとは、今の私にはまったく想像ができなかった。




