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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

社会の闇と理不尽な死。

夜。何気なくテレビをつけてみると、知らない番組に知っている景色が映っていた。

その景色はだんだんだんだん彼に馴染みのある学校や店を映した。それもやけにテンションの高いレポーターがその番組を仕切り、進行させていった。

そして家の前まで来ると、そのレポーターは彼の家のインターホンを押すと、それに同調して彼の家のインターホンがなる。

怖くなった彼は、現実から逃げだそうと布団にくるまった。何度も何度も押されるインターホンに、次第に恐怖も高まってくる。

そのうちインターホンはピタリと止まった。

あきらめたのかと彼は布団から顔を出すと、玄関からバキっという鈍い音がすると、二・三人の足音がものすごいスピードで彼の部屋に向かってきた。

彼はドアを閉めようとするも、その寸前で蹴破られ彼は尻餅をつく。

テレビに映っていたレポーターと同じ男が彼の目の前に立っていた。ニヤニヤといやらしい笑いをその顔に浮かべている。

そして、なんの躊躇もなく男は彼を殴る。

とっさに右腕を出したので、彼の右腕は軋むような音を立てて折れた。

今まで経験したことのない痛みに彼は声を上げるが、男は二発、三発と続けて拳を振り下ろし容赦なく彼の腕や足の骨を折っていく。そのつど彼は声を上げるが、男はそれが嬉しいようでニヤニヤしたまま彼をいたぶり続けている。

テレビにはそれがはっきりと映し出されていた。

とうとう男は鉈を取り出し彼に振り下ろした。

すると呆気なく彼の左足は飛んだ。腕や足を折られるのとは比べ物にならないくらいの痛みと熱が彼の体の中を駆け巡った。

彼が泣きながら、どうしてこんな事をするんだ!僕がなにかしたのか!?と、男に問うと、さっきまでの高いテンションの喋りは収まり、ニヤニヤしていた顔も途端に真顔になり。男を含めた数人の動きもピタリと止まった。



「なにも。」



そう、いやに落ち着いた低い声でそう言うと、また元のテンション、顔で絶望する彼を鉈で斬りつけ出した。

彼の目に最後に映し出されたものは、自分を理不尽に殺す男の姿と、抵抗するすべもなく殺されていく自分が映るテレビ画面だった。

彼が死んだ後、男達は何事もなかったかのように家から出て行った。

部屋に残されたのは、彼の無残な死体とつけっぱなしのテレビだけ。

真っ暗なテレビ画面には中央に白い文字で。


「明日死ぬ人はこの人です。」


と、誰かの名前が書いてあった。

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