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The last alchemist

「彼と話したいことがあります。ほかの者には退出を命じます」


「は!」


 女王の言葉に全員が一斉に反応する。

 あっという間にこの部屋には俺と女王だけになった。


「急ですいません。わからないことだらけですよね。実はあなたにお願いしたいことがあるんです」


 犯罪者を無罪にするほどの条件。しかも女王がお願いすることとは?


「この国に広まっている未知の疫病を止めてほしいんです。あなたも観光したなら見たはずです。活気のない街に、病人であふれかえる病院」


 病院は観光してないからわからないけど、確かに街に活気はなかったかもしれない。


「そこで薬の調合ができる錬金術師の出番というわけですか」


「受けてくれますか?」


 もしここで「受けない」と答えれば問答無用で牢に繋がれるのだろう。

 断れないことがわかって聞くなんてずるい女王だな。


「喜んでお受けさせていただきます」


 俺は女王に連れられ研究室に案内され、症状や過去の事例などいろいろ教えてもらった。

 幸い、女王が先頭に立って研究者たちに研究をさせていたおかげでデータはたくさんあった。

 まだ若いのに随分と優秀な女王様だ。


♦︎


「いろいろ考えましたが、これは『ネクロ•リレクタ』だと思われます」


 ずっと前に根絶したと思っていたが、生き残ってたらしい。大方、戦争で増えた死体のせいで活発化したのだろう。


「治療薬は作れますか?」


 聞いたことのない病名を聞いた女王の混乱が伺える。これを知ってる医者の方が少ないから未知の病だと思われたのも仕方ない。


「昔と同じ薬が効くと思われるので、何とかなると思います」


 俺の言葉に女王は安堵したのか、胸を撫で下ろす。本当に国民思いの女王だ。


「これから私が言う材料を集めさせてもらえますか?」


 過去の事例があっても、今の患者が危険なことに変わりはない。今は一刻でも早く薬を作らなくては。


「わかりました」


 女王が部下に集めさせている間に錬金術の準備をする。

 もう二度と使うことはないと思っていたのにこんな形で再開するなんて運命は数奇なものだ。


♦︎


 薬の錬金が終わってから数日。


「お兄ちゃんありがとう!! また走れるなんて思ってなかったよ!!」


「本当にありがとうございました」


 ネクロ•リレクタにかかっていた少年とその母親にお礼を言われた。

 元気に走る子供と、何度もお辞儀をする母親。こうやって誰かを助けられるのも錬金術のいいところなのかもしれない。


「今いいですか?」


 病院で経過観察をしていた俺は、女王に呼ばれた。何の用だろうか。



 謁見の間には俺と女王しかいない。前回もだけど不用心すぎな気がする。


「実は、あなたにお礼をしようと思うのですが、何がいいのか分からなくて……」


 そういうことか。そういうことなら真っ先に欲しいものがある。


「この国にある錬金術に関わる全ての本をください」


「本だけですか? 研究がしたいなら研究室を作りますが……?」


 この人になら本当の目的を話してもいいかもしれない。


「俺はこの世界から錬金術を消すために旅をしています。それが夢なんです。今となっては錬金術の情報があるのは俺の頭の中とこの国だけなんです」


「なぜそのようなことをするのですか? あなたのその力は人を救えるとても素晴らしい……」


「だからこそなんです。錬金術には今の戦況を全てひっくり返せるほどの力がある。もうこの力を使って人を殺させるわけにはいかないんです!!」


「それは……できません!」


「なぜですか??」


「あなたを見て確信しました。錬金術は素晴らしい技術であなたも素晴らしい人材です。失うわけにはいきません」


 本を焼いた後死ぬつもりだったことまで見抜かれている。本当に優秀な女王だな。


「でも……錬金術を残したままには――」


「戦争をなくせばよいのでしょう! 私たちセントリア神聖王国が成し遂げて見せます」


「でも、そんな絵空事、」


「私が命に代えても実現して見せます。私は絶対に希望を捨てません。だから、あなたも錬金術を捨てないでください!」


 そういって女王は俺の手を握る。

 彼女の手は温かく、絵空事を現実にしてしまうような《《ナニ》》かを感じた。

 本当にこの人はやってしまうかもしれない。そう思はずにはいられなかった。


「なら、一つだけ約束してください。絶対に死なないでください。もう『命に代えて』なんて言わないでください」


「わかった。約束ね」



 女王は本当に世界平和を成し遂げた。

 ときに強硬手段をとることもあったが、すべての国を話し合いのテーブルに着かせた。約束通り彼女は、歴史的偉業を成し遂げたのだ。


 俺は、今日もセントリアにある研究室で錬金術を研究している。

 今研究している仮説がうまくいけばすべての国のすべての人間が安心して暮らせるほどのエネルギーを低コストで生み出せるかもしれない。



 錬金術の存続が危ぶまれた時期から3000年。

 生態系や、国の制度などに大きな変化はあったものの、今でも世界は平和だ。

 エネルギー問題に直面することもなかった。

 3000年前の二人の偉人の名は今でも様々な文献に残っている。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。

皆さまに楽しんでいただけたなら幸いです。

まだまだ未熟ではありますが、これからも投稿していくつもりなので、何卒よろしくお願いします。


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