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旅の拠点は亀の上!怪力少女と毒スキル持ち青年の魔物ごはん  作者: 時雨笠ミコト


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【11】いざ冒険者ギルド

「この世界の人優秀〜」


 普通にヒュドラ専用のページが図鑑にあり、そこの解毒方法トピックで全部書いてあった。

まあ個人的に生態や解毒方法よりも、毒を食らったときの症状の進行とかについてのほうが事細かに書いてあることが気になるが……どうやって書いたんだろう。考えないでおこう。


「あ、これ絶妙に優しくない」


 一通り読み終わってから、思わず呟いてしまった。解毒のための材料はわかった。一番わかりやすく書いてあった

から。

 

『虹色茸』

『溶岩結晶』

『万年雪』

『黒龍の逆鱗』


 以上4つが、解毒のために要求される素材であった。

 では優しくないとはどういうことか。これもまた割と単純である。どこで手に入るかが一切書かれていない。

つまり必要なものはわかったが入手方法産地ともに不明……まあ多分こうなんだろうなと察しがつくものもいくらかあるが。


「とりあえず、また調べますか?」

「それしかないだろうね。モンスター……とか、そういうフィールドワーク系の知識に強いところって知ってる?」


 アーネリカの方を振り返りつつ聞いてみれば、何故か彼女は少しうつむいて肩を震わせていた。

 だが泣いたり気分が悪いような気配はない。つまり笑っているのだが、脈絡がなさすぎてよく分からず、とりあえず彼女に再び声をかける。

 

「アーネリカ?」

「ふっふっふ……リツヤさん。ここがどこかお忘れですね?」

「町」

「ええ、異世界の!!町、です!!」

「?うん、そうだね?」


 何故か胸に手を当て、誇らしくなにかを宣言するようにアーネリカは続きを口にする。

 未だわからずぽかんとしている僕の鼻先に指を当てて、アーネリカは楽しそうに謎掛けを始めた。

 

「異世界、町、フィールドワーク、モンスターときたら連想されるものは一つではないですか?」

「えっと……?」


 やはりピンとくるものはない。首を傾げていれば、アーネリカがちょっと残念そうに肩を落とした。

 どうやら彼女の希望の展開には添えなかったらしい。

 

「……ふつう転生者の方はここで目が輝くのですが」

「ごめんね。サブカルチャーとか娯楽系はちょっと人より疎いかも」


 その言葉を聞いて、彼女の顔がちょっとしかめられる。

 ぐぬぬぬ、としばらく謎の葛藤があった後、何かを諦めたように仕切り直しが入った。

 

「おっほん。ではここに冒険者、と足すと?」

「ああ!!」

「「ギルド」」

「です!!」


 なるほど合点がいった。冒険者ギルド。たしかに異世界の鉄板だ。そんなに読み漁った訳ではないが、そのものに焦点を当てた作品もあるとかないとか。逆になぜ今の今までそれが頭から抜けていたのか。

 どちらにせよ、確かにこれ以上適した場所もあるまい。なんてったってフィールドワークの斡旋やらバックアップが主な仕事だ。知識がなければまず成立しない。

一番最初に思いつくべき場所とも言える。


「よし、案内してくれる?アーネリカ」

「お任せあれ」


 アーネリカがそのまま駆け出そうとしたので、慌てて彼女の手を取った。

 アーネリカは外見だけ見れば、庇護欲を掻き立てるような華奢で小さな女の子である。

 なので街の雑踏で見失えばもう見つけられないだろう。逆はおそらく余裕だろうけれど。

 アーネリカに手を引かれるまま、冒険者ギルドにたどり着く。その場所は、なんというか、あまりにも『らしい』場所であった。

 ハンティングトロフィーが何故か外壁にかけられており、おそらく本物の剣をクロスさせた中央にシンボルが誂えられた門飾り。とりあえず圧を出せるものを飾るだけ飾ってみましたという意図が透けるどころかもろに見える。

 生半可な気持ちの新参、または部外者お断り感をひしひしと感じる門構えがそこにあった。


「ある意味優しいね」

「わかりますか?」

「まぁね……」


 扉の前に経った時、何故か先導してくれていたアーネリカが先を譲ってきた。

 なにか意図があるのだろうか、と思いながら扉を開くと、


「「「「あ゙ぁん!?」」」」


 ものすごくメンチを切られた。

 扉に備え付けられたドアベルが鳴と同時のメンチ切り、しかもギルド内に居た冒険者全員にである。

 さすが冒険者という職業だけあって、男女問わず歴戦の猛者の風格の人ばかり。そんな人たちが何故か一斉に敵意を送ってきたのである。


「なるほど」


 しかしこちとら【精神苦痛耐性 レベル8】である。

 この程度のメンチ切りで狼狽するにはちょっと遅すぎる。なので心は凪のごとし。

 顎に手を当てて感嘆していると、1番手前に座っていた世紀末モヒカンの二人組が荒々しく席を立ちこちらに近寄ってきた。


「ここがどこだか分かってんのかオラァ!?」


  そのまま胸ぐらを掴まれて軽く前後に揺すられる。なお足はついたままである。お相手は筋肉こそゴリゴリだが小柄気味、残念だが身長差というものがある。

 それも筋力で克服できるものではあるが、そんなアーネリカ級の化物そうそういないと思いたい。


「冒険者ギルドですよね。皆さんお疲れ様です」


 お辞儀をすると、時が止まったような静寂が訪れる。

 一応自分の胸ぐらをつかんでいる世紀末モヒカンさんたちはポカンとした顔でこちらを見つめていた。


「……あ、まだ続けないといけないやつですか?」

「なんで分かったんですかリツヤさん」

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