豚と知り合ってからはじまる俺と豚との世界征服
日曜日の夕方、明日から始まる仕事のことが頭をよぎりながら、テレビをダラダラとみており、また明日からの1週間を想像してしまうだけで、頭が痛くなってきた。
明日からの朝の7時に起きて、夜遅くまで新しく発売された生命保険のプランをアポをとった企業に提案してセールスしていくというありふれた毎日を想像してしまっている自分に嫌気がさして、少し気分をかえるために外に出てみた。
季節はハロウィンが終わり、クリスマスが近づいてきており、近所の街並みにもクリスマスを意識した飾り付けが施された家が多々目に映った。
クリスマスというだけで世間はテンションが上がり、サンタさんへのプレゼントのことで頭がいっぱいだろうが、こっちはというとそんな季節感も感じることなく、クリスマスなんて早く終わってしまえばいいのにと感じていた。
大体クリスマスなんていっぱいの料理やお菓子が世界中で振る舞われるが、動物側にとってみれば恐怖のイベントでしかない。
唯一得をするのはトナカイぐらいだろう。
そんなことをボーッと考えながら普段通らない道をあてもなく歩いているとふと町外れにある養豚場が目に入った。
なんでこんな街中にあるのかと不思議に思い近づいてみると養豚が数匹目に入った。
普通豚といえばピンク色をイメージするのだが、明らかに一匹だけ異なる色の豚がいた。
その色は赤色であり、違和感が半端なかった。
じっと見つめているとその赤い豚がこちらに寄ってきた。
その瞬間頭のなかで「ガン見しすぎやろて!」って言葉が響きビックリして周りを見渡した。
しかし周りに人影はなく、遠くに養豚場の飼育員が見えるだけである。
まさかと思い赤い豚に向き直ると「そうそう! 今話してるのはわいやで!」と頭に響きわたる。
信じられない思いで見つめていると「俺の名はレッドリアンだで!トリュフ探しをしていたところを捕獲さ
れてしまい助けて欲しいんだで!」と関西弁っぽい訛りで話してきた。