表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/116

パーティが解散する話

 最後の冒険を終え、町へ帰ってきた俺たちは冒険者協会に依頼品を納品したのち、『ライン』で打ち上げを行った。

 『ライン』ではマクロが接客していた。


「リベさん。おかえりなさい」


 マクロがすぐに来てくれた。空いている席に招かれ、つまみと飲み物を注文した。

 しばらくして、ナノがそれを持ってきてくれた。


「あ、ナノちゃんだ!」

「……注文したもの、持ってきたの」


 ナノがリーダーの前に現れるのは珍しい。

 リーダーはナノの姿を見るなり、声音が上がった。

 ナノは顔を背け、ここへ来た理由をぼそっと呟いた。


「リベに会いたかったの。頭撫でてほしいの」


 ナノの発言に皆がぎょっとした。俺も目を丸くしている。

 ナノはお盆で顔を半分隠していたが、彼女の反応は好意を抱いている異性に向ける感情そのものである。驚いたのはそれを妻帯者の俺に向けていたからだ。


「……仕方ないな」


 俺は席を立ち、ナノの頭を撫でた。モフモフの時のような柔らかさがする。

 ナノはうっとりした笑みを浮かべながら、素直に撫でられている。


「元気もらったの! また来るの」


 そういって、ナノは接客に戻っていった。


「あれ、大丈夫なの?」

「アンネさんはナノさんの事をーー」

「アンネ? 誰だそれ」

「あ、レビーにまだ言ってなかったんだっけ? リベに奥さんがいること」

「はあ!? お前結婚してたの!?」


 リーダーには俺に妻がいること知らないんだったな。

 白魔導士と黒魔導士は冒険者時代から教えていたが、リーダーはそれが嫉妬の元になりかねないと”家族”と誤魔化し、秘密にしていたのだ。

 和解をした直後に明かしてもよかったのだが、話す機会がなかったからそのままにしていた。


「あと数か月したら、子供も生まれるぞ」

「え、ええ……」


 リーダーが頭を抱えている。問い詰めることを諦めたようだ。


「秘密にしててすまん。話したら冒険に支障が出ると思って言えなかった」

「でも、クロッカスとシロフォンは知ってたじゃねえか!」

「私は、リベさんのお家へ伺う機会が多かったので」

「私はメニューを考えるときに会ったね」

「……俺だけのけ者かよ。くそ、飲んで忘れてやる!」


 リーダーは注文した麦酒を一気に飲み干し、ナノにお代わりを要求した。

 ナノはビクッと体を震わせたが、笑みをつくり「わかったの」と返事した。


「リベも飲めよ」

「……酔いつぶれない程度に」


 俺も飲食を始めた。リーダーのペースで飲んでいたら、すぐに潰れてしまう。ここだったら、閉店後、センチが家へ送ってくれるだろうが、翌日文句を言われそうだな。

 アンネのほうも、酔った俺を介抱する余裕はない。だから、ここはほろ酔い程度に済むように自制しなければ。


「あれ? ミリさんは?」

「ああ、ミリはバーだ」

「再開したのか」

「ああ。だから閉店後に来る」

「なら、俺は最後までいるかな」

「ミリさんに会えるからね」

「そ、そうだな!」


 リーダーはミリと聞くと緊張していた。

 今日、ここへ来たのは打ち上げの他に目的があった。


「いつもは帰っちゃうけど、今日は最後まで残ろっかな」


 この後の出来事に期待しつつ、黒魔導士が言った。

 俺も酔っぱらっていなければ、リーダーが目的を遂げるまでここにいるつもりだ。


「まあ、ミリが来るまではただの打ち上げかつ送別会だ」

「そうだね。四人で冒険することないから」

「ええ。寂しくなりますわね……」

「ここで言うのもあれだが、俺もアンネのことが落ち着くまではーー」

「ですね。私もセンチさんの事を思うと、冒険者については考えなくてはいけませんわね」

「もう、解散……、なのかなあ」


 俺は家族のこと、白魔導士は恋人のことで冒険者を引退しようと考えていた。黒魔導士は執筆業で生計を立てている。俺たちに付き合っているのは、昔のよしみというところが多い。パーティを解散するなら今のタイミングだろう。


「パーティを解散する」


 リーダーが俺たちにそう宣言した。

 俺たちは、リーダーの主張に同意した。


「お前らで冒険することあるだろうけどよ、一区切りつけようぜ」

「そうだな」


 リーダーの言うことはもっともだ。


「だから、今日の主役は俺じゃなくて、みんなだ! だから代金は割り勘な!」

「えー、結局はそれが言いたかったんじゃないの?」

「最後の最後までケチだったな」


 リーダーのしまらない発言に、黒魔導士と俺が突っ込む。

 リーダーは「細かいことは気にすんなよ」とから笑いしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ