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感動の再会を邪魔される話

「キュ!」

「きゅ、じゃない! なんで俺の背中に張り付いてるんだ」

「キュ~」


 俺の説明にナノは目線を反らす。

 どうやら、マクロが作った円に飛び込んできたようだ。

 マクロとは別れてしまった。

 ナノを元の世界に戻す術はない。

 ここで見捨てては、空腹で倒れたり、魔物に襲われる危険性がある。


「……分かった。俺が面倒みるから」

「キュ、キュ!」


 ナノは全身で喜びを表現した。

 都合のいいモフモフめ。


「なに独り言呟いてるのさ」

「すまん、こっちの話だ」

「へ~、この子ナノっていうんだ」

「ああ」

「私達と別れた後から飼い始めたの?」

「そうだ。冒険に出なくなると時間に余裕が出来てな。その隙間を埋めるためにペットを飼い始めたんだ」

「ふーん」


 黒魔導士がナノに関心を示している。彼女との話が長引けば当然――。


「コイツとはもう関係ねえだろ。行くぞ」

「え~」


 ナッツ野郎の声を聞くことになる。

 声を聞くことになれば、会話に加わってくる。


「お前と話すことはない。じゃあな」

「ああ」


 俺はナッツ野郎たちと別れた。

 ナノは俺の肩の上に乗って「キュイキュイ」鳴いている。

 楽しそうな雰囲気だ。


「まずは報酬を貰うぞ、貰ったら家に帰る」

「キュイ」

「マクロと再会したら、ちゃんと元の世界に帰るんだぞ」

「キュキュ―」


 ナノは俺の話を聞いているのだろうか。

 ナノの態度に俺は深いため息をついた。



「ただいま」


 冒険の報酬を貰い、俺はその足で家へ帰った。

 自宅は町の中心街から離れた場所、民家が並ぶ住宅地の一角にある。

 自宅へ帰り、家にいるだろう家族に声をかけると、俺の体にタックルしてきた。


「おかえりなさい!」

「今、帰った」


 俺にタックルし、抱きついてきたのは妻だ。

 予定日から十日経っても帰ってこなかったのだ、心配されていて当然だ。


「帰る途中、怪我をしてな。連絡せずに待たせてすまなかった」

「無事なら連絡しなさいよ、ばか!」

「ああ。すまんすまん」


 俺は黒髪を撫でる。指に引っかかることのなくサラサラとしていて綺麗だ。それに甘い良い香りがする。

 俺の胸にすっぽりとはまる、小さくて華奢な体。

 俺の安否を心配してくれた、透き通る声。

 そして、俺を見つめる茶のつぶらな瞳が可愛らしい。

 この人の為に俺は命をかけている。


「しばらく冒険はやめるよ。二人の時間を多く作る」

「ほんと?」

「ああ。生活が苦しくなるかもしれんが……」

「それでいい! リベが帰ってこないより、いい!」

「ありがとう。アンネ」


 俺とアンネはじっと互いを見つめ合う。

 そして顔を近づけ、唇が触れ合う直前ーー。

 モフモフな毛皮に阻まれた。

 心地よい肌触りと獣臭さがした。




次話で全ての2つ目のタイトルを回収します!

10話は明日投稿します。


面白いと思いましたらブックマーク・評価ポイントの方、宜しくお願いします!!


次話お楽しみに!

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