面接1
面接の日がやって来た。
その日は店を定休日にし、テーブルやイスを動かして面接会場とした。
俺は所定の席に座り、面接に来る人物の履歴書を眺めた。
面接に来る人物は二名だ。
「二人とも経歴はよさそうだな……」
ムーブ族の人間を雇うため、求人はセンチに任せた。「出した」と言ってから二週間経って二人かあ。俺は十人くらい来ると思っていたので、思っているよりも少ない募集数にがっかりした。
所々出る、ナノの発言からするとヒトは色んな世界で暮らしており、様々な世界のヒトから”アリガトウ”を貰うために働いているらしい。俺の世界は彼女からすると『文明が進んでいない』だとか。だとすると俺がいる世界で働きたい、とおもうムーブ族は少ないのかもしれない。
「やっぱり、この二人か……」
少しして、センチが隣に座った。俺が持っている二枚の履歴書を覗き見てため息をついた。
「顔見知りか?」
「……面接やれば分かる」
コンコン。
センチの言い方からして、この二人とは顔見知りのようだ。関係を聞こうとしたが、その前に店のドアを誰かがノックした音が聞こえた。
やって来たのは女性だった。
長い栗色の髪を編み込み、花の形をした髪留めを付けた清楚な服を着ている。ぱっちりとした瞳、鼻筋が通っていて、ふっくらとした唇と顔立ちも整っており、接客をやってくれたらすぐにファンが付きそうだ。
「初めまして、私、アモールと申します」
アモールはスカートの裾を掴み、膝を曲げて礼をした。
この挨拶の仕方、服装からして、どこかのお嬢様のような気がするんだが、『ライン』で働かなくてもいい身分の人だよな、この人。
「どうぞ、座ってください」
「はい」
俺はアモールを用意した椅子に座らせる。
アモールは俺の質問に淡々と答えて行く。受け答えが丁寧で、回答内容も問題ない。思った通り、給仕は初心者のため教育しながら――。
「どうして来た」
質問を終え、俺が合否を伝える直前、センチがアモールに言い放った。
アモールはセンチの発言にはっとしつつも、すぐに表情を戻した。彼女は悲し気な表情を浮かべ、今にでも泣きそうだ。
「おい、センチそんな言い方ないだろ」
「リベ、騙されるなよ。こいつは――」
「センチ様、私はここに働きに来たのです。私情はありません」
「私情……」
面接前にセンチが履歴書をみてため息をついていたな。
そこから、センチとアモールは顔見知りだということは分かった。
「リベさん、私の合否は――」
アモールが俺に迫る。面接の受け答えは完璧だ。今すぐに合格と言って雇い入れたい。
だが、センチは快く思っていない。その理由を聞けなかったので、不合格には出来ない。
「……後日連絡します。次の人が待ってますので、ご退席願います」
俺は決めきれず、中間をとった。
アモールは「ありがとうございました」と一例をして、店を出た。彼女もムーブ族だから、店のドアを自宅に繋いでいるんだと思うけどな。
俺はセンチを見た。無言で、面接を続けてもいいか?と問う。彼はすぐに頷いた。
センチにアモールの件で聞きたいことはあるが、次の人が待っている。
二人の関係は後に聞くことにして、俺は次の人を待った。




