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火の勇者祭の話3

 火の勇者祭が終わりに近づく。

 それはムーブ族の族長選の結果も近づくということだ。

 肉巻き団子、キャピカドリンク共に予想以上の売り上げを叩きだした。

 そうなれば、多くの”アリガトウ”を貰ったはずだ。

 族長選は”アリガトウ”の数で決まる。

 ネズミはこの祭りにすべてを賭けていた。


「結果……、どうなるんだろうな」


 片づけをしつつ、俺は独り言を呟いた。


「失敗しても、三年後挑めばいい。店長が気に病むことはないさ」

「三年後……、センチとシロフォンはどうなってるんだろうな」

「どうしてシロフォンさんが話題に出て来るんだ」

「三年間”チャロ”を演じ続けるにも寿命があるだろ」

「そ、そうだな……。あの姿はリベの世界で言う”ジャンガスター”に似ているんだったな」

「ペットとして買われる小型の魔物だ。寿命は長くて三年」


 族長選は次があるが、センチと白魔導士の関係は三年後どうなっているのだろう。

 センチは掟を守り、モフモフの姿として白魔導士と関わっている。

 だが、あの姿では誤魔化せて三年。

 三年も経てば、白魔導士は冒険者仲間と恋に落ち、結婚するかもしれない。

 だが、センチは掟により『ライン』でしか白魔導士と関わりを持つことが出来ない。

 だから、二人の仲は進展しないのだ。

 センチは容姿に優れており、白魔導士の好物をなんでも作れる。

 白魔導士もそんなセンチに惹かれているように見える。

 恋人となれば、すぐに結婚まで行き着くはずなんだけどな。


「掟が変わったら、センチは白魔導士に告白するのか?」

「と、突然心臓に悪いことを言わないでくれ!」

「で、告白するのか?」

「……する、と思う」


 俺の問いにセンチが小さな声で答えた。

 センチの頬が赤くなっており、照れているのが分かった。


「……したいから、俺はこの祭りに積極的に協力したんだ」

「へー、そうなの」

「ナノ!? お前いつから」

「センチにいがシロフォンに告白する、って宣言したところからなの」


 片づけをしている俺とセンチの間にひょこっとナノが現れた。

 恥ずかしい話をしていたセンチは、いつからこの場にいたのかとナノに訊く。

 ナノはニヤついた表情を浮かべていた。


「ミリお姉ちゃんもセンチにいも早く幸せになってほしいの」

「マクロは、マクロはどうした」

「マクロは……、心配しなくてもすぐ相手が見つかると思うの」

「まあ、マクロだしな」


 なんだかんだいって、末っ子のマクロがしっかりしていると俺は思った。

 マクロならば意中の女性をすぐに射止められそうだし、ナノの言う通り心配はいらないな。


「店長、そろそろ妹を諦めさせてくれないか」

「センチにいひどいの!」

「ナノ、店長は妻帯者だぞ。お前がやってることは不倫になりかねん」

「……ふりん?」

「あ……、い、今の話は聞かなかったことにしてくれ」


 失言をしたセンチは、そさくさと会話の輪から抜けてしまった。

 さっきのナノの反応から、この家族はナノに大事なことを教えていないらしい。

 俺は盛大なため息をついた。


「リベ、祭りで疲れたでしょ! 一緒にキャピカドリンク飲むの」

「……ああ」


 ナノに導かれ、俺はカウンター席に座った。

 目の前には冷たいキャピカドリンクが置かれる。

 俺はそれをしばらく睨んだ。


「……飲まないの?」

「試食で沢山飲んだだろ」

「毎日、色んな味を作って、沢山飲んだの」

「それでな……、最近体が重い気がするんだ」

「重い? 体調悪いの!? 大変なの、早くアンネの所に帰るの」

「いや、だるいとかそうではなくて……」


 試食前、腹部に隙間があったズボンがきついのだ。

 アンネにも「太った?」と言われるほど、体に変化が出ている。

 俺は『ライン』で冒険者を辞めてから、食事制限・体重管理は怠らなかった。

 だから、太った原因はキャピカドリンクを飲み始めてからだとすぐに分かった。


「太ったんだ……」

「リベの顔がモチモチしてると思ってたの。キャピカいっぱい食べたらそうなるの」

「だよな、この黒いツブツブのせいだよな!」


 ナノが「そうなの!」と満面の笑みで頷いた。


「このドリンク一杯で、食事一食分のエネルギーが摂れちゃうの」


 そして、ナノは俺に恐ろしい現実を突きつけた。

 

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