観念する話
ポンドがやってきた翌日、俺は黒魔導士の家へ向かった。
材料を調達するためである。今回は三日と向こうから期限を付けられてしまったので、早急にメンバーを集めなくてはいけない。
魔物食には”冷凍”が出来る黒魔導士の協力が絶対不可欠だ。
「あ、リベじゃん」
黒魔導士は家にいた。目にクマも出来ていないから原稿にも余裕があるのだろう。
黒魔導士の容態をみて、すぐに話題を切り出してもいいと判断した俺は、彼女に昨日起こった出来事を話した。それを聞き終えた彼女は「チャンスじゃん!」と浮かれたものの「やばいじゃん」とすぐに落胆した。それは、ポンドの噂を知ってのことだろう。
「あの人の味覚は本物だよ。認められれば『ライン』は有名店になる。でも――」
「認められなければ、閉店に追いやられるんだろ。あの店の所有主はポンドだからな」
「そゆこと」
「それで、ポンドは魔物食を注文してきた。それでだな――」
「いいよ。でも――」
「白魔導士は冒険に行ってるんだろ」
「うん。なんで――、あ、先にシロフォンの方に行ったのか」
「ま、まあな」
モフモフの姿となって白魔道士の家に住み付いているセンチから聞いたとは、黒魔導士には言えない。
現在、センチもといチャロは黒魔導士の家で預かっている。そのため、センチは最低限顔を出し、それ以外は実家に入り浸っているとマクロから聞いた。
「チャロ君可愛いよね~、でも餌と水とトイレくらいしか顔出してくれないし、触ろうとすると噛み付くんだよね。仲良くなりたいんだけどな」
「あいつは人見知りするそうだからな。懐くまで時間がかかるんじゃないか」
「だよねえ~」
センチは白魔導士しか眼中にないからな。他のヒト族には興味ないから、黒魔導士に懐くことはないだろう。
「食材の件は任せて!」
「ああ」
「あ、シロフォンは冒険に出てるし、アスちゃんとサクジ君もシロフォンと一緒なんだよね」
「だよな」
「そうなると、私がお願いできるの、レビーしかいないんだけど」
「そうなるな」
「でも、二人きりだとキッツいんだよね……」
「だよな」
もう一つ問題がある。
白魔導士が冒険に行っているため、人手が足りない。
だが、魔法使いと戦士は白魔導士と冒険中。
黒魔導士が頼める人物はナッツ野郎のみ。
つまり、俺は食材を手に入れるため、再び、ナッツ野郎と冒険をしなくてはいけないのだ。
「ああ。それで、冒険に行こう」
俺はため息をつきつつ、ナッツ野郎と冒険することを受け入れた。




