美少女に助けられた話
目が覚めた。
天井があって、壁がある事から俺はどこかの部屋で眠っていたらしい。
起き上がると、背中が痛い。そこを触れると包帯が巻かれていた。
魔物に襲われたことは現実みたいだ。
「よく、生き延びられたな」
俺は自分が生きていることに驚いた。魔物に食われずよく生き延びられたな。
ガチャ。
ドアが開いた。
肩まであるサラサラな白髪を結わえず、前方に髪が垂れぬよう耳のような青いカチューシャを付けた美少女が入って来た。
大きな緑の瞳と目が合う。
俺が目覚めたと分かった美少女は持っていた包帯を落とし、感極まった表情を浮かべた。
「目覚めたの~!!」
部屋から出て行き、大声で俺の意識が戻ったことを言いまわった。
しばらくすると、美少女が幼い少年を連れて戻って来た。
「ほんとだあ」
「怪我はいかがですか? 包帯を取り替えますの」
「ありがとう」
「包帯……、あ、落としてましたの。取り替えてきますの!」
「姉さん、僕が持ってくるよ。待ってて」
「マクロ、お願いなの」
マクロと呼ばれた少年は包帯を取りに行った。
マクロの姉は俺の傍にあった椅子に座る。そして安堵のため息をついた。
俺を助けてくれたのはこの美少女で間違いない。
「助けてくれてありがとう」
俺は美少女に礼を言った。
美少女は俺の言葉に目を丸くし、手と首を大袈裟に振った。
「助けてもらったのは私なの。二度も助けてもらったの」
ん?
二度?
俺は美少女の言葉に疑問を持った。俺はこの子を二度助けた覚えはない。
というか、美少女と俺は面識があったのか?
記憶をたどっても、美少女と俺の接点を思い出せなかった。
「この姿では初めましてなの」
「この姿……」
「実際に見せたほうが早そうなの」
美少女の「えいっ」という掛け声の後、彼女の姿が一瞬にして消えた。
俺は美少女が消えたことに驚き、彼女の姿を探した。
背中がざわざわする、何かが這い上がって来る感触がする。
「キュー」
フワフワした感触が俺の首元からする。そこに触れると、それは俺の手をつたい、太腿に着地した。
それは白いモフモフだった。
「モフモフじゃないか。お前も無事だったか」
俺は指先で白いモフモフを撫でた。
白いモフモフはうっとりとした顔をしている。俺の指先を頭でぐいぐいと押しやり、顎を撫でろと催促してきた。白いモフモフの要望通り、顎を優しく撫でた。
「うーん、撫でかたが上手でうっとりしちゃいますの」
「へ!?」
白いモフモフから美少女の声が発せられた。
まさか――。
俺の考えは的中した。
白いモフモフがいた場所に、美少女が現れたのだ。
俺に跨る体勢で、美少女は微笑を浮かべた。
「お前が白いモフモフ……、なのか?」
俺は美少女に問う。
「そうなの、私はナノなの! 二度助けてくれてありがとうなの!」
白いモフモフもとい、美少女、ナノは俺の問いに満面の笑みで答えた。
第5話投稿しました!
第6話は明日投稿します!
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