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新事業を始める話

白魔導士編は今回で終わります!

終わりですので、今回も少し長めです。

最後までお付き合いくださいませ。

「シロフォンさんの件ですね……、出来なくはないですけど」


 『ライン』に訪れた俺は、そこで店内の掃除をしていたマクロに相談をした。

 マクロは言葉を選びながら答えた。視線はネズミと一緒に下ごしらえをしているミリの方へ向いている。

 ミリは作業の手を止め、俺達の方へ来た。


「弁当配達の方法について訊かれた時、どう説明するのよ」

「……それだよな」


 問題は弁当配達をすることによって、ムーブ族の存在がばれてしまうのではないかということだ。


「リベだから力を貸しているの。他の人に秘術を使うことはないわ」

「そうだよな……」


 やはり、白魔導士の頼みは断るしかないか。

 そう諦めていた時だった。


「配達は我がやる」

「父さん!?」


 ネズミが配達を名乗り出た。

 思いもよらぬところから手が上がったので、俺とミリは驚いた。


「丁度、外の世界へ出たいと思っていた。そのついでなら配達を受けよう」

「だめよ、私達には掟が――」

「なあに、弁当のやり取りはリベ殿やアンネ殿に任せればよい」

「何言ってもダメそうね……。分かったわ」


 ミリの反論をネズミが説き伏せた。

 まさかネズミが賛成側に回るとは思わなかったな。


「弁当を配達するのは、シロフォン殿で良いのじゃな」

「ああ。後は”ポイント”を決めて、そこで注文が発生したら配達しようと思っている」

「”ポイント”?」

「冒険する際、皆が休憩する場所のことだ」

「休憩所、でしょうか」

「まあ、そんなところだな。小屋が建っていて、そこで寝泊りできるようになっている。弁当を売るのに最適な場所だろう」


 白魔導士以外の客には休憩所で販売すればいい。そうすれば配達タイミングも分かるからな。


「弁当は完全予約制だ。予約しない奴には販売しない」


 弁当が欲しい際は『ライン』に訪れてもらうことにする。

 受付の為に朝の数時間、店を開けないといけないな。

 注文は言い出しっぺの俺が担当しよう。

 出勤時間についてマクロと再度相談しないといけないな。


「それで行きましょ」


 ミリも納得してくれた。

 これで白魔導士との約束が果たせる。


「あと、一つ提案があるんだ」


 俺は冒険の最中、店の経営について考えていた。

 ガネの町で”予約制”を取ったミリの判断は正しい。だが、そのままの営業では新規客が取れず、客足が途絶えるかもしれない。

 そうすれば、人手不足を解消できるのか、俺はずっと考えていた。


「三日ほど俺に料理を任せてくれないか」

「それは良いが……、何をやるつもりだ」

「”魔物食”だ」

「ま、魔物じゃと!?」


 ネズミが驚愕した。


「期間限定メニューとしてやってみたい。ガネの町で誰もやったことがないジャンルだろ。クロッカスのような奴が高い金を払ってでも食べにくる」

「まあ、クロッカスさんなら来るでしょうけど……」


 ぶつぶつとマクロが呟いた。


「怖くて、気持ち悪い肌をした魔物を食べるの!? あれ、食べられるの?」


 ナノは魔物を食べると聞き、恐れながらも俺に訪ねてきた。

 俺は『ライン』の従業員にナッツ野郎と冒険した時のことを話した。

 魔物は見た目は気持ち悪いが、調理してみれば案外美味しい。

 三日間振る舞うのは、俺が食した魔物のみ。それ以外は振る舞わないことを約束した。


「クロッカスが食べてるなら、問題なさそうなの。なんか食べてみたくなったの」


 ナノが魔物食に興味を持った。


「娘の言う通り、我も食してみたい。だが、材料である魔物の調達は誰がやるんじゃ?」

「クロッカスとシロフォンに声を掛けようと思う」


 あの二人なら快く手伝ってくれるだろう。

 ナッツ野郎も誘えばすぐに終わるのだが、あいつとは喧嘩してるしな。

 他に誘うなら、戦士と魔法使いあたりかな。


「始める日を決めたら、ミリに伝えてくれ。その三日間、厨房をリベ殿に譲ろう」

「アリガトウ、ネズミ」

「うむ、これで我も探し物が出来るな」


 探し物?

 そういえば、弁当配達の話の時、「外の世界に出たい」と言ってたな。


「外の世界で探し物をするのか?」

「うむ。明日から、我は休みを貰う。突然のことじゃが、リベ殿店を頼むぞ」

「へ!?」


 ネズミが店を休むだって!?

 ネズミの発言に、俺は耳を疑った。




次話は明日更新します。

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