冒険者に戻る話
今回の冒険は歯ごたえがある。
まず、パーティメンバーががらっと変わった。
俺と白魔導士の他は組んだことのない戦士と魔法使いだ。
人が変われば戦い方も変わる。
「コイツは閃光弾で動きを止める、合図したら目をつむれ!」
俺たちは洞窟の中にいた。ここにある魔石を採取するためだ
この洞窟には暗闇に強い魔物が多いが、光にすごぶる弱い。
俺は合図と共に閃光弾を投げた。
思惑通り、魔物たちがその場でもがいている。
「てりゃあ!」
そこを戦士と魔法使いが攻撃する。
剣で魔物の首は落とされ、魔法で空中に飛んでいる敵は翼を抉られ地面へ落ちた。
「よっしゃあ、いっちょあがり」
それにしても、この戦士はナッツ野郎に似た性格だな。
こいつは攻撃する度に大声を出す。こいつなりの気合の入れ方なんだろうが、ここでは逆効果だ。
洞窟の魔物は音に敏感だから静かにしろと言っても治らない。そうしてくれれば、戦闘回数をぐんと減らせるというのに。
この戦士に指示をしても無駄だと悟った俺は、襲ってくる魔物を片っ端から倒す作戦に変えた。
作って来た閃光弾は残り十個。これが尽きたら、白魔導士の光魔法で対抗するしかない。彼女には回復魔法を唱えてもらうため、力を温存して貰いたかったのだが、仕方がない。
「お前も大変だな」
「やりがいあるところでしょう。パーティを変えてから私の出番も増えたんですよ」
笑顔で言うけどな、白魔導士、お前の仕事が増えたってことはあの二人がよく怪我をするってことだろ。つまりは、ナッツ野郎と黒魔導士よりも弱いってことじゃないか。
俺が加わったから、傷を負わず魔物を倒せているんだぞ。
なのに、あの二人は「自分たちが強くなった」と勘違いしている。
「リベさんも狩人として出番が増えたじゃないですか」
「そうだな」
「以前から、リベさんは不満があったんじゃないかって思ってたんです」
「まあ、あの二人が強すぎるからな」
本職を生かして戦ったのは久しぶりだ。
矢を放って魔法使いの補助をしたり、閃光弾を投げて魔物を弱体化させるのが俺の本来の戦い方だ。
戦闘が未熟な二人に、魔物の弱点を教えるのも欠かさない。
あの二人よりも実力はないが、こいつらは強くなろうと頑張っている。
命令を聞かない欠点があるが、白魔導士が二人を支えようという気持ちも分からなくはない。
「おーい、魔石ってこれか?」
戦士が俺と白魔導士を呼んだ。
戦士は不自然な大岩の上に立っていた。彼の傍には青く発光する大きな鉱石が――。
「お前、急いでそこを降りろ!!」
俺は大声で叫んだ。
戦士は態度の急変に驚く。反応に遅れた。
「危ない!」
戦士の身体が大岩から離れたと同時に、大岩が盛り上がり天井にぶつかった。
白魔導士が風魔法で戦士の身体を動かしたのだ。おかげで戦士は押しつぶされず、俺達の前に着地する。
白魔導士のおかげで戦士の命を救えた。
俺は安堵のため息をつく。
戦士は何が起こったか分からないと唖然としていた。
「ぼーっとするな、来るぞ!」
俺は戦士を声をかける。
大岩が正体を現した。
こいつは”マセキモドキ”。魔石に擬態して獲物を潰してから食すやっかいな魔物だ。
次話は明日投稿します。
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