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打開策を探す話

 流石は町一番のグルメ情報誌。

 そこで悪評を立てられた傷はすぐには癒えなかった。


「困ったな」


 ネズミも頭を悩ませている。

 ナッツ野郎のときは、ガネの町だけで被害が済んだが、今回はパーズの町にも影響している。

 多分、パーズの町の美食家がグルメ情報誌の内容を知ったのだろう。もしブルータの町にも悪評が広まってしまったらーー。


「我のご飯が悪いのか……」

「ネズミの料理は美味しい」


 あの評価は、ただの個人の感想だ。

 ネズミの料理は旨いし、上手い。

 『ライン』はガネ、パーズ、ブルータと三つの町を掛け持ちしている。

 味の好みもそれぞれ違う。

 ガネは辛口、パーズは甘め、ブルータは塩気の強い味を好む。

 ネズミは営業する町の好みの味覚に合わせて調理している。


「なのに、あの評価だと」

「許せないの! あの記事書いたの誰なの!」

「リベさん、知りませんか?」

「知らない」


 グルメ情報誌を買ったのもあれが初めてだ。

 あれに載せられるのだから、グルメ業界では有名なライターなのだろう。現にこの店がその影響を受けてるしな。


「移転を考えるべきか……」

「待ってくれ、何か方法がーー」

「あるんですか?」

「あの情報誌を持ってきてからずっと考えているんだ」


 店の経営を戻すのにいくつか方法がある。

 一つはネズミの言う通り、移転だ。

 これについてはムーブ族の秘術がある。苦労することはない。だが、移転しても料理と店員は変わらない。はじめは戻ったとしても、美食家たちに見つかり、また同じ目に遭うのでは無いだろうか。だから、これは最終手段として使いたい。

 

「期間を決めて、別のことをやってみたらどうだろう」

「と、いうと」  

「ガネの町ではパーズの料理を、パーズの町ではガネの料理を……、というようにーー」

「提供する料理を替えてみるってことだな」

「ああ。俺は元冒険者だったから、各地の料理を口にしている。だが、冒険者ではない……、例えばアンネはガネの料理しか知らんだろう。他の町の料理を口にしたら、そこに行った気分になれないかと考えてみたんだ」

「うむ、それは面白そうだ」


 ネズミが俺の案に興味を示した。


「工夫は必要そうだな……。空いた時間に試作品を作ってみる」

「ネズミ、よろしく頼む」

「ナノは? ナノにやることあるの?」

「ない。文句を付けられたのは料理だからな」


 あの評価だと、ナノにやってもらうことはない。

 今まで通りの接客をしてもらえばいい。

 やることがないとはっきり告げられたナノは肩をがっくりと落としていた。


「姉さん、僕たちは店の飾りとか、配置を考えてみようよ」


 マクロが助け舟を出してくれた。

 これを機に内装を変えてもいいかもしれない。

 ナノはマクロの意見に激しく何度も頷いた。


「皆で店の評判を取り戻そう」


 こうしてイメージ払拭作戦が始まった。





次話は明日投稿します。

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