店に客が来ない理由2
俺はガネの町を歩いていた。
『ライン』は宣伝・広報に弱い。
そうマクロに聞いたので、他の店がどのように広報しているのか勉強しに来たのだ。
着いたのは本屋。
「えーっと、あったあった」
月間のグルメ雑誌。
俺はそれを一冊買った。
近場の喫茶店へ向かい、アイスコスタを注文して席に着いた。
一息ついたところで雑誌を開く。
注目の店、老舗、新店舗。
ページをめくるごとにガネの町の飲食店の情報が書いてある。
「お、『ライン』だ」
ラインの記事を見つけた。
それを見た俺は、物音を立て席から立ち上がった。そのせいでコップが割れた。
パリンという音で、俺は我に返った。注目を集めてしまい、恥ずかしい。
☆
『ライン』営業日。
俺はいつもより早く出勤した。
「リベ、今日も稼ぐの!」
「その前に話がある。皆集まってくれ」
俺はナノ、マクロ、ネズミ、『ライン』の全従業員を集めた。
皆に雑誌のあるページをみせた。
「お店が取り上げられてるの!」
『ライン』について取り上げられていた。
問題なのは”内容”だ。
悪い評判が書かれている。評価は星一つ。最大評価は星五つだ。
『客は可愛い女の子目当てで来店している。
接客以外はいまいち。
ワインの品数だけは豊富。ワイン好きにはおすすめ』
「誰なの! こんな記事書いたの!!」
記事を読んだナノは怒りに任せて雑誌を破った。彼女はそれを店内にばらまいた。
マクロは姉が散らかしたものを片付ける。
「これ有名なグルメ誌の記事なんだ。また、客が来なくなるかもしれない」
「……そうですね」
俺の懸念通り、この雑誌が発売された日を期に来店客が少なくなった。
原因は言わずもがな、あのグルメ誌だ。
繁盛させるためには、雑誌の評価を覆すしかない。方法としては広報だ。
「店の評価を取り戻すには……」
店長である俺は、店の良いところを書き出し、宣伝方法を考えていた。
別の紙には店を繁盛させるアイディアが書かれている。
「リベ、無茶しないの。あんな評判すぐに無くなるの。そうしたらお客さん戻って来るの!」
接客の手が空いたナノが励ましに来る。
ナノの気遣いには感謝するが、ナノたちは”アリガトウ”が、俺には生活が懸かっている。
「別の町のお仕事があるから、リベの生活は守れるの」
「ありがとう、ナノ」
ナノの言う通り、この店はムーブ族の秘術を使った店だ。
ガネの経営が悪くなっても、他の町で始めればいい。
だが、それは最後の手だ。
出来るなら、この逆境を俺なりの方歩で乗り越えたい。『ライン』の店長として。
次話は明日投稿します。
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