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店の課題を突き付けられる話

 一家で経営している店を俺が継ぐ!?

 ネズミの言っていることが唐突で、俺は耳を疑った。

 言葉を理解したところで、俺は冒険者としては経験者だが、店長は未経験者だ。

 俺の生い立ちについては、ナノとマクロに軽く説明していたから、父親であるネズミも把握しているはず。

 そんな俺を何故店長に選ぶのか。


「リベどの、我の料理はどうだった?」

「美味しいです。見た目も華やかで、クレームを入れる客はいないでしょう」

「このコース、一人五千ゴースで振る舞っているのだが、価格はどうだ?」

「そこまで高くはないかと。まあ、稼ぐとしたらこれの他にワインのつまみなどを用意したほうが――」

「それも提供している。最近ではワイン二杯とセットでな」

「……なら」


 繁盛するんじゃないかと俺は思った。

 俺はアンネを見る。彼女もうんうんと頷いており、俺と同じ意見のようだ。

 アンネは俺と結婚する前は、菓子屋の店員として働いていた。飲食については俺よりも彼女の方が詳しい。


「いいと思うわ。料理が美味しければ評判になってお客さんが自然と増えるものなのだけど」

「そうじゃろう。それでアリガトウも稼げるはずなのじゃが……」


 ネズミの話を聞いて『ライン』が陥っている問題について分かった気がする。


「客が来なくなったのか」

「うむ」

「原因も分からないと」

「……全く来ない訳じゃない」

「というと」

「我らはムーブ族じゃ。拠点を変えてみたら戻った」


 客が来なければ拠点を移せばいい。

 例えば、俺達が暮らしているガネの町で経営不振ならば、隣町に移転すればいい。

 移転方法は……、空間移動が扱えるムーブ族なら容易にできるだろう。

 扉を媒介にするのなら、安価な空き部屋を借りればいい。


「ならそっちをメインに運営すればいいんじゃないのか」

「まあ、そうなんじゃが……、気になるじゃろ。客が来なくなった原因が」

「……そうなのか」

「パパはこだわりの強い負けず嫌いなの。お客さんが急にいなくなった理由をどうしても知りたいの」

「ふむ」


 繁盛店だったのに急に客が来なくなったら理由は気になるわな。

 その理由が関連して、次の町での運営がダメになるかもしれないし。


「その原因を俺に見つけてほしいと」

「そうだ。我らはお主の世界に出たらモフモフの姿になってしまう。ヒトの協力者が必要なんじゃ」

「それなら――」


 この家族には命を救われた恩がある。

 冒険者を辞めて、暇も出来るし協力してやるか。

 俺はネズミの提案を受け入れた。


「店長として、経営不振になっている原因を探してみるよ」

「おお、ムーブ様の導きじゃ。ありがたやありがたや」


 ネズミは膝をつき、進行する神様の名前を呼び、感謝の意を伝えながら俺を拝んだ。

 大袈裟すぎるぞ。


「まずは、何処が経営不振なのか教えて欲しい」

「あ、リベさんが住んでいるガネの町ですよ」


 マクロが答えた。

 え、お前ら俺の住んでる場所で飲食店開いてたの!?

 俺はその事実にまた驚いた。

次話は明日投稿します。


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