3.全然違う、とのこと
オッサンみたいなオバサン鑑定士。
もちろん、そんなものはないだろうし、全くの出鱈目だろう。
しかし相手は笹本君だ。
なんの理由もなく、こんな突拍子もない事を言い出す筈がない。
理由を考えてみた。
笹本君は、あまり冗談をいうタイプではない。
真面目で、ともすればとっつきにくい印象がある。
少なくとも、下世話な冗談や下ネタを言ってゲラゲラと笑うタイプではない。
⋯⋯いや、なかった。
もしかしたらこれは、笹本君なりの冗談なのではないだろうか?
私たちも知り合って二年。
笹本君なりに、朝一の冗談で、私との距離感を縮めよう、と考えたのではないだろうか?
それ以外に理由は思いつかない。
つまり、シュールな笑い、という奴だ。
ならば笹本君! 私は全力で乗っかろう!
こちとらDT直撃世代だ! シュールさならお手のものだ!
「そっか。鑑定士はどこも後継者問題に悩んでいるからな。実はうちの実家も『おじいさんみたいなおばあさん鑑定士』をやっていてね。私もよく親に言われて、あれはおじいさんなのか、それともおばあさんなのか、なんて事を訓練したもんだよ」
私が言うと、笹本君は少しキョトンとした表情を浮かべたあと、ハッキリと言った。
「⋯⋯それとは、全然違いますね」
「⋯⋯そうか」
なんでだよ!