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11.言いたいことも言えないこんな世の中で、ちゃんと聞いてくれる人

 朝の忙しい時間に連絡するなんて、面倒な女だと思われたかな?


 LINEしたあとで思ったが、あとの祭りというやつかな。

 すぐに彼から電話が掛かってきた。

 彼はLINEでのやり取りを面倒だと感じるのか、こうやってすぐに電話をくれる。


「もしもし、桜子です。すみません朝から、ご迷惑でしたよね」

「大丈夫だよ、朝は余裕を持って動いてるから。桜子ちゃんこそ、朝なのに大丈夫? 女の子だから色々準備あるだろうに、考えなしに電話してゴメンね」


 ⋯⋯やっぱり、笹本さん優しいなぁ。

 今朝の出来事をちょっと愚痴ると、笹本さんはうんうんと聞いてくれたあとで言った。


「確かに塩鯖は残念だったね。でも部長にも悪気はないと思うよ」


 そう、笹本さんはいつもパパを庇う。

 そこだけが、ちょっと不満だ。


 笹本さんは、パパを凄く尊敬している。


 笹本さんって昔は、相手の事をあまり考えず、ズケズケと物を言ってしまうタイプで、トラブルも多かったらしい。


 ただ、そのせいで、大事な人を取り返しがつかないほど傷付けてしまった、と今も後悔している。


 その事で笹本さんは、それまでとは違い、うまく人に対して物を言えなくなってしまったそうだ。


 思った事があっても「これは言い過ぎじゃないか?」「これは言ってはダメなんじゃないだろうか?」。


 そんな事を考えてしまうらしい。


 実際そのせいで、学生生活やアルバイト先でも孤立し


「アイツは何を考えているかわからない」


 そんな陰口を叩かれていたらしい。


 そして就職して、配属されたのがパパの部下。


 パパはそれまでの人と違って、笹本さんの話に、結論を急いだりせず、いつも辛抱強く耳を傾けて、理解しようとしてくれるのだそうだ。


 そんなパパのおかげで、仕事にもやる気が出て、笹本さんの成績は会社でもトップクラスになった。


 実は異例の出世を打診されたらしいけど、パパの下じゃないと無理だと断ったこともあるらしいのだ。


「僕が今、全力で仕事が出来るのは部長のおかげなんだ。だから桜子ちゃんには、もっとお父さんと仲良くして欲しいな」


 うー。笹本さんにそう言われちゃうとー。

 でも意地っ張りな私は、「わかりました」と素直に言えず、こんな事を言ってみた。


「でも、さすがにパパも、命の危険みたいな場面では、笹本さんを見捨てたりすると思いますよ?」


 すると、笹本さんは少し黙った。

 あ、なんかとんでもない事言って不機嫌にさせちゃったかも、と私が内心慌てていると⋯⋯。


「じゃあ、試してみる? 部長は絶対にそんな人じゃないよ」


 笹本さんは自信あり気に言った。


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