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世界が壊れたら  作者: ゆな
1/3

2.

「ただいまー。」


樹と別れた俺は、まっすぐ家に帰った。

誰もいないこの家に俺の声が寂しく響く。


「....まぁ、いつものことなんだけど。」


家に帰った時、誰の声もしないことはいつものことだった。

だから、今更さみしいとかそんなことは思わない。



思わないけど、やっぱり少し物足りないと感じる。


「風呂でも入るかー。」


学校から家までの距離はそんなにないけど、この炎天下の中歩いて帰れば汗はすごくて。


とりあえず荷物をリビングに放り投げ、風呂に直行する。


「あぁ、めっちゃ汗かいてる。」


とりあえずタオルで汗を拭いてから、風呂に入った。



風呂から出た後はいつもと同じ、動画を見たりゲームをしたりの繰り返し。


料理は出来ないからいつも買い弁だけど、今月は少し厳しくて最近はなにも食べていない。



俺には親がいない。でも別にそんな不幸みたいな感じの家系ではない。

ただ、俺が中学の頃、親父が事故にあった。

相手は未成年の飲酒運転。

親父はその日たまたま遅くなって歩いている時に運悪くそいつに轢かれて亡くなった。


母さんは、本当は生まれるはずだった俺の妹の出産時、病院の大きなミスで出産失敗。そして、母さんの命も妹とともに連れていかれた。


そこから別に、なにが変わるわけもなく普通に中学卒業して、少し残ってた親の金で高校に入学した。


中学の頃、一気に親がいなくなって最初は怒りと寂しさと悲しさが治らなくて、学校をサボったりタバコに手を出したりしていたけど、そんなどん底に落ちた俺を樹がずっと支えてくれていた。


あいつとはずっと一緒で、家族ぐるみで仲が良かったから、もちろん事故のことも母さんのことも知っていて。


最初は樹のお母さんに一緒に暮らす?って言われてたけど、流石にそこまで迷惑はかけたくなかったから一人暮らしを決めたんだ。


でもそんな簡単なもんじゃなかった。

俺が思っていた以上に、一人は孤独で寂しかったんだ。


今まで母さんに甘えることをあまりしなかったけど、今更後悔している。


こうなるなら、もっと甘えとけば良かった。

父さんにゲーム機買って貰えば良かった。

好物のハンバーグをたくさん食べておけばよかった。


あの日、父さんに早く帰ってきてって、たくさん神社に行って、妹が無事産まれるように願えば良かった。


「今更、おそいけど。」



一人暮らしを始めて約3年。

さっきの言葉は撤回する。




やっぱり一人は少しさみしい。


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