エーデル騎士団【??】・奇妙な噂
「ー様。計画通りでございます。」
ああ、勘づかれてはいないんだろうな?
「は!シュトルツ城のみならず、この世の‥すべては我が君の為に存在します。」
これからも頼むぞ。‥くれぐれも失望させないようにな。
「どこまでも御一緒致します。」
(あの世まで‥)
これから引き続き任務にあたりますので、失礼します。我が君に勝利を!栄冠を!
~ ~
午前10時15分
ムート・エーデルは腹心3人を連れて街を訪れていた。
視察を兼ねてはいるものの食糧の買い出しが主な任務だ。
シュトルツ城主であり我が国王お治めの国「ハイリグスランド」では商業・農漁業どれをとっても活気があり、皆和やかに暮らしている。
アインホルンを樹木に繋ぎ、新鮮な野菜や魚を吟味する。
戦闘馬かつ荷馬車の彼はおっとりと見物人と戯れている。
食事は体が資本の兵士は勿論、王室に献上する為、上質なものを。国王の指針で全国民が良質で旬なものを味わえるよう食品産業には力が入っている。
真新しい食べ物がないかと視線をあちこちに移していると、
露店の一角にポツンと構えてある赤茶けた布吊りの物体があることに気付いた。
特に用が無いのだから立ち寄るべきではない。兵士として当然の判断だ。彼に何が魔を差させたのか、ふらふらと吸い寄せられるように足が止まらない。