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守る為の強さ
【守る為の強さ】
キン!鋼の鋭い音が空気を震わせ、全身に張り巡らされた神経を刺激する。
「はああッ!」
強く地面を蹴って踏み出し、相手の手元を狙って付きを繰り出す。
(今度こそ、届く!)
そう確信したが、願い虚しく鈍い痛みと共に前のめりになった体躯は 、容赦なく地面に叩きつけられた。
まだまだだな‥騎士団をなめてはいけない。
目の前の相手はそう言い放ち、重厚な剣を鞘におさめた。
悔しいが、圧倒的な力の差は明確だ。だからこそ!一人の男としてこの国を、いや世界を守る為に強くなる。そう誓った幼き日呪縛に縛られたみたいに毎日思い出す。
礼をし、目の前の大男ーエーデル騎士団団長であり、父親のリヒト・エーデルへと向き直った。