『王将物語』(餃子の王将には京都と大阪がある話)
兄弟がいた。
仲の良かった二人は、同じ名前の店をそれぞれ独立採算で経営した。
兄の方は職人気質な男だった。
弟の方は天性の商売人だった。
店の名は『王将』といった。
どちらも味には定評があり、数多くの固定客を取り込み、複数店舗のチェーン店展開をして行った。
弟の方は学生の街京都でチェーン展開をしたので、学生さんに優しいボリュームたっぷり低価格路線でファンの拡大を図り大成功した。
今となっては都市伝説の、「王将で数時間の皿洗いをすれば、無料で料理を食べられる」というようなお金のない学生の心を掴むサービスをした、のかな?
まぁ、大成功を収めた。
その頃の『王将』といえば、今とは違って店内にはカウンターしかないような小規模の店が多く、特にチャーハンに付いてくるスープの味が店によって違っていて、その美味しい店を知っていることが学生の間でステイタス(?)になったりしていた。
兄の方は商いとしては、大きく差をつけられてしまった店名を、弟の方の店との差別化を図るために『大阪王将』とし、大阪を中心にチェーン店展開をして行った。
ちょっと知ったかぶりしたい人たちなどは、「京都王将の方が成功しているけど、味は大阪王将の方が美味しい」と言ってみたりしていた。
そういう位置づけがあったあの頃、今となっては全て懐かしい思い出。
昨日『餃子の王将』の話をしたので、長いこと忘れていた過去の出来事などをちょっと思い出して昔話などをしてみました。
ああ、文脈どおり私はあの頃京都で学生なんぞをやっておりました。
懐かしいなぁ。
あ、それとごめんなさい。
文中の王将物語は、当時巷説まことしやかに語られていたものをまとめただけで、その真偽のほどは定かではありません。
いわば、都市伝説としての『王将物語』です。
信じるか信じないかは、あなた次第です、っていうやつだ。