説明
穂乃華は考える。ドッキリにしては、設定に凝ってると。そして、こんな通勤時間帯の貸切の電車は現実では不可能であり、少しずつドッキリだという考えがおかしく思ってくる。そして、察する。少女は本当のことを話しているのだと。
「えっと……何故私なのですか?」
穂乃華は普通の高校生であり、特別な個性は無い。自分より優秀な人は多くいるはずだ。そんな中から何故自分が選ばれた理由が見つからずにいた。
「それは、貴方がこの数時間後死ぬからです」
少女は手を叩く。パンっという乾いた音の後、周りの景色が歪みだす。そして、歪みが治ると先ほどは電車の中にいたのに、見知った道の上に立っていた。
「ここは、あなたがよく学校へ行くために通る道です」
穂乃華は首を縦に振る。
「今なら、数十分後あなたは上から降ってきた植木鉢によって、死にます」
少女の衝撃発言の後……自分と同じ姿の人物が現れ、歩きだす。そして、上から降ってきた植木鉢が頭にあたり、操っている途中で糸が切れた操り人形のようにばたりと倒れる。頭からは血が流れる。そして、自分と似た何かは動かなくなった。
「え、」
「巻き戻しますか?」
動かなくなった自分は急に起き上がった。そして、破片となった植木鉢が再生し自分の頭の上に乗った。
「やめてください」
何度も、自分の死を観れる程精神が強く無いので、顔を手で覆い隠した。
「では……」
穂乃華は手を顔から離す。すると、電車の中に戻っていた。
電車は止まっており、扉は開いている。
「このまま、外に出ていただいて結構です。ですがその先は死のみです。ですが、貴方には別の道があります」
「それは……」
穂乃華は生唾を飲み込む。
「あなたがあるゲームに参加してもらう道です」
「ゲーム?」
穂乃華には、二つのイメージが浮がび上がる。一つ目はゲーム機を使うゲーム、そして、二つ目はゲーム機を使わない頭を使うゲームだ。
「バトルロワイヤルというのはご存知ですか?」
「バトルロワイヤル?知ってます。たしか、一つのフィールドで多くのプレイヤーが殺しあう……でしたよね?」
少女は頷く。
穂乃華はバトルロワイヤルというゲームのジャンルはプレイを何度もした事がある。特段上手くはないが下手でもない。
「そのバトルロワイヤルに参加して欲しいのです」
「そ、そうなのですか……」
穂乃華は前者の方だと安堵する。まだゲーム機でのプレイはやった事あり、攻撃されても、自分の肉体ではなくゲームの中の穂乃華が操作するキャラクターのポリゴンがダメージを受けるので、穂乃華自身は痛くも痒くも無いので、思いっきった作戦が取りやすく安心であるからだ。
「今から、ある世界でバトルロワイヤルをしてもいます」
穂乃華は後者の方だった事に困惑した。