表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ヒトが人間とは限らない。

作者: 韋駄天

 人間であること、人間でありつづけることは、たいへん、難しいことである。


 高校時代に知り合って、その後、少しだけ、お付き合いをした女性がいる。その子は、僕より学業優秀だったが、親の意向で地元の短大に進んだ。

 つまり、関西学院大学に進学した僕より、2年早く社会人になったわけだ。彼女は、地元の土建屋に就職した。


 僕が大学3回生・4回生の時、つまり彼女が社会人1年生・2年生の時、僕等はだんだん、噛み合わなくなっていった。


 彼女は、会社でいじめがあることに、愕然としていた。(この歳になれば、組織にいじめがあるのは、日本じゃ当たり前だ、と思えるようになったが…)

 そして金銭感覚が彼女は研ぎ澄まされていった。



 僕も、2年遅れて社会人になり、やはり組織の不条理を嘆き、お金にシビアになっていった。


 そして、彼女も僕も、「大人」になっていったわけだが、大人への成長と引き替えに、「人間」的でなくなったように、強く感じる。自分も周りも、資本主義に翻弄され、「人間」の形をした「鬼」になってしまった気が、40代も板についた今、思われる。



 それぞれの分野で、それぞれの常識がある。男性と女性との常識の違いもある。土建屋には土建屋の常識があり、教育産業には教育産業の、マスコミにはマスコミの、公務員には公務員の、、、それぞれのそれなりの常識があるのだろう。


 でも、それぞれの常識に安住した瞬間、ヒトは「人間」でなくなる。「人間」でありつづけるには、不断の努力、「人生を巡礼と捉える姿勢」、謙虚さや、向上心、思いやり、優しさ、礼節が必要条件なのだ。


 人間の形、姿をし、言葉を話すからといって、その者が「人間」とは限らないのだ。「鬼」や「怪物」や「妖怪」かもしれないのだ。


 自ら、「人間」でありつづける為に、今日も自分は迷い、悩み、努力する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 文章が読みやすいです。 [一言] 私は多分貴方と近しい年齢ですが、私も貴方と同様に自分が「人間」でありたい、「獣・動物」になりたくない、と思っています。 私は私が「人間」であるために必要な…
[一言] 「人間」というものを考えると、 いったい何なのだろうと再考する機会となりました。 いつまでも身も心も人間でいるには・・・。 自分は、豚みたいになりたいと思っていますが、 考え続ける豚でい…
[一言] たくさんの「鬼」や「怪物」や「妖怪」が人間に混ざって生活してるわけですね。 何を持ってそう判断するのかは難しい所がありますが、私の周りにもなにかに憑りつかれたようなヒトがたくさんいるように思…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ