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第74話

 これから平日に更新する時は日中にします。

 理由はなんかそんな気分だから、ただそれだけです。

 

 それでは、どうじょ(/・ω・)/




 どでかい仮設ゲル(仮称)に並ぶは人人人。これにそれぞれ十足せば森になるな、なんて考えてしまった僕ちゃんは悪くないと思う。

 それほどの行列。普通と違うのはその列に並ぶ多くが貴族様という点に尽きる。


 正式な爵位を持たない者、持つ者、そのお付きなど色々いるけど、並び順は基本家格順です。

 因みに我らアドバンス家は一番最後尾におります。

 どうせ待つんだったら、最後で良くね?というものぐささ、不敬感たっぷりですが、気にしてはいけない。


 並び順で揉め事が起き掛けたのだが、どっかの王子が直接「うるせー、黙って待ってろ(意訳)」と言うとすぐに収まった。

 王権マジヤバいと思いました。

 ワイの番になったら靴でも舐めとこう、そう思わざるを得ませんでした。


 はい、ということで何を待っているのか分かったでしょうか。

 そうです。この度の戦いにおける神輿、失礼、総大将にご挨拶するために皆こうして並んでいるのです。

 私としては貴族って並び待ち出来るんだ、とちょっと驚きでした。


 「ねー、この挨拶って何を目的としてるの?」


 小声で尋ねます。教えて!カゲゾーせんせー


 「顔合わせというのが主ですが、他にも意味はあります。例えば、王子殿下からすれば、それぞれの人を見てどの様な人物かを掴むこと、これが第一ではないかと」


 「え、でも、結構順調に列が短くなってるけど、この短い時間でそんな事できるの?」


 「やらねばならないのです、アシュラード様」


 うへー、王族はやっぱり大変だな。いや、この場合は総大将って役割が大変なのか?まぁ、どっちも面倒なのは変わりないか。


 「それじゃあ、挨拶してる貴族さん方にも何かあったりする?下心とか?」


 もちろんア――ッ!な、やつじゃございませんよ?


 「それは当然御座います。功を望むものはそれを王子殿下に示そうとするでしょうし、逆に被害を恐れる者は前線に出ることを避けたい旨をそれとなく示す筈です」


 ほうほう、ならばこの場合


 「うちは後者だね」


 「はい、王子殿下も味方である我々を手元に置きたがる筈ですから、恐らくは大丈夫かと思いますが」


 ふむ、確かに普通ならそうだと思う。

 気心が知れてお付き合いもある家を自分の傍に置きたがるでしょう。


 「だけど、あいt、王子殿下は読めないからな~」


 そう、彼はぶっ飛んだ人物なのです。

 親友である私を事ある毎にdisるし、自慢乙だし、容赦なく権力使って呼び出すし。

 兎にも角にも信用ならない奴とはアイツの様な奴を指すのです。


 「・・・」


 黙るってことは君も思い当たる節があるってことだね、カゲゾウ君。

 心配です、落ち着かないです、トイレ行きたくなってきた。

 

 「おやおや、こんな所に子どもがいるぞ?」

 「本当だ、これはどうしたことか!」

 「おい、早く帰った方が良いぞ、何たってこれから向かうのは戦場なのだからな」


 と、思ってたらなんか変なのが寄って来た。

 案の定どいつもニヤニヤと下卑た笑みを浮かべている。

 何れも二十代ほどの若者でそこら辺の兵士と違う鎧を着ていることからどっかの家のボンボンだと推測する。顔はまぁ、それなりだから許す。

 

 「誰?」

 「俺に聞かれても困りますって」

 「役に立たないな、マックスは。仕方ないか、マックスだから。よし今日から君の名をマックスにする、以降励め」

 「人の名前を恥ずべき称号みたいに言わないで欲しいんですがね」

 「何を言ってるんだマックス、僕が悪口など、何処かの品がない奴らと一緒くたにしないでくれよ」


 そう言ってこちらも相手をニヤニヤと見返す。with M

 多分かなりイラッと来る顔をしている筈。自分では分からんけども。


 「この、ガッ「おい!」

 「抑えろって!」


 どうやら一人の導火線に火を点けてしまったらしい。

 それを他の二人が必死に押さえている。

 煽り返されてプッツンとは、底が知れるぞ、若人よ!


 「ん、どうかされました?」


 心底疑問だ、と言った感じで尋ねる。

 ここで重要なのは少しだけ口元を上げること。

 これは近くで見ているこの三人組には分からないように、かつ、三人組には確実に分かるような繊細さと周りにバレるかもしれないというプレッシャーに負けない度胸が必要なのだ。

 この行為が何を示すか。

 もちろん、煽りである。


 「いっ、いえ、なにも」

 「え、ええ」


 おっ、残りの二人も今のはだいぶカチンと来たようだ。

 頑張って笑顔を保ってるけど、目元口元共にピクついてまっせ?

 しかし、これで追撃を緩めるほど私出来た者では御座いません。


 「そうでしたか、そちらの方が急に暴れそうになったので!何かあるのかと思いましたが!そうですか!思い過ごしでしたか!それは良かったです」


 大きな声で喧伝喧伝。

 こういうマメさが大事、絶対。


 「くっ、ふごふご」

 「でっ、では、我々はこれで」

 「しっ、失礼する」


 御三方は名前も言わず、訊きもせず、去って行った。

 鑑定も使わなかった。使うだけ無駄な類の人達だろうと思ったし。

 というより一人は無理矢理連れて行かれていた。すんごい醜態だと思うのは私だけでしょうか?ケケケ


 「で、アレは何だったの、一体?」


 「さぁ?」

 

 おい、マックス、肩竦めてハリウッドスター気取りか?

 全然似合ってるから余計腹立つ。

 それに主人の問いに聞き返してどうするんだ、全く。


 「一応、調べといてくれる?無理のない範囲で」


 「御意」


 やはりカゲゾウ君は良いね。打てば響く。

 マックスも見習って欲しいよ。


 「それにしても何で急に寄って来たんだ?」


 そう、単純な疑問です


 「そりゃあ、こわーい番犬様がいないからじゃないっすか?」


 あ、そうでしたラルフがいないんだった。

 要はビビりさんがラルフが傍にいないから調子に乗っちゃったって訳ね。

 因みにラルフは念の為、男爵軍の陣内に居てもらってます。

 そして、やはりラルフは偉大なり。

 あとマックス、ラルフにその言葉そっくりそのまま伝えておいてやろう。


 「ゲッ、マジ勘弁して下さいって!」


 ラルフはわんわん扱いされるのを嫌う。

 特に「犬」呼ばわりされるのは肉球踏み潰しコース行きの重罪である。

 え、私も時折してるって?

 ノンノン。ラルフはもふもふ枠さ。決してわんわん枠ではないのだよ。


 「それにしてもお二人の連携は見事でしたね」


 褒めてくれてるんだろうけど、素直に喜べない。

 

 「複雑だなー」

 

 「そりゃあ俺の台詞ですぜ?」


 溜息つきやがって。よし、このことは帰ってからミッシェルさんにチクってやる。

 ふふふ、これでコヤツは死に体も同然。勝利は我が手に!

 汚い言うなかれ。これは立派な戦術である。

 臥薪嘗胆という諺に従い、私は今は零れそうになる涙を堪え、復讐の機会を待つのだ。ケケケケケ



 などと、意趣返しプランを組んだり、駄弁っていると漸くウチの順番が回って来た。

 どうやら王子サマーに直で会えるのは自分だけのようです。

 皆には外で待機してもらうことになります。

 不安しかないですわー

 あー、このままあっさり終わんないかなーと思う今日この頃です。




 〇 ラスカル王子殿下付き近衛兵 〇




 入って来たのは未だ成人もしていないような子どもだった。

 髪は薄い青で悪くない顔立ちだが、些か覇気に欠ける、そんな印象を受ける。

 最初は自分の目を疑ったが、どうやら現実らしい。

 そしてその子どもが口上を述べ始めた。


 「王子殿下、お目に掛かれて光栄に御座います。そして挨拶が遅くなったこと大変申し訳ありませんでした。私は現アドバンス家当主が一子、アシュラードに御座います。兵民合わせて・・・314名を率いて参りました。王子殿下のお力になれるよう全力を尽くします」


 見た目の割にはそれなりの挨拶をすると感心するが、正直期待は出来ないだろう。

 アドバンス家の兵は精強だが、数が少ないと聞く。恐らく今回連れて来た多くは領民である筈だ。


 そんなことを考えていると、王子が返事をした。


 「うむ、まずはその口調を止めよ。怖気がするわ」


 一瞬、時が止まった。

 私の意識も一瞬飛びかけたぐらいだ。

 だが、すぐにグルソン殿が持ち直した。


 「殿下!」


 「うるさいぞ爺。別に良かろうが、アドバンス家としての報告は終わったのだ。なれば、もう我とこやつはただのラスカルとアシュラードだ」


 「殿下、これが他の貴族に知られれば、殿下に対して公私を分けぬとの噂が広まる上に、何より困るのはアシュラード殿ですぞ!」


 流石グルソン殿だ、しっかりと王子殿下を諫めている。

 彼こそ真の忠臣だと、そう思う。

 しかし、声が大きい。


 「グルソン殿、少し声を」


 そう伝えると、落ち着きを取り戻してくれた。

 しかし、王子殿下は


 「何を言う、この戦いは我とこやつの名を大きくするためのもの、我とアドバンス家が懇意であることが広まるのは悪くはあるまい」


 とぶちまけたのだ。

 再び気を放しているとグルソン殿が噴火寸前であった。

 このままでは外に間違いなく声が漏れるそう覚悟、いや諦めたのだが、


 「王子殿下、おふざけが過ぎますよ?」


 やけに響く声だった。


 「これは国を守る為の戦です。個人の欲を見せることは死に繋がりかねないかと」


 声の主の視線は王子殿下一人へと注がれていた。


 「それに」


 王子殿下を含む我々、周りの者達も自然と一人の人物に視線が集まる。


 「私は己が連れて来た者達を領内の家族の元へ帰さねばならないのです。無駄に彼らを死なせて名を売ろうなどとは砂一粒ほども考えておりませんので」


 そして、それを聞いた王子殿下と言えば、何故か嬉しそうに笑みを浮かべている。


 「ククク、不敬だな」


 ならば何故貴方様はそんなにも楽し気なのか

 そんなことを思ってしまった。


 一方、丁寧な物言いであるが、王子殿下に真っ向から逆らった人物は渋い顔をしていた。

 余程王子殿下の言が気に障ったのだろう。

 そこに関して言えばやはり未熟と言えよう。

 けれども咄嗟にあのような発言が出来る辺り、この少年の将来は有望かもしれない。

 

 「出過ぎたことを申しました。申し訳御座いません」


 ちゃんと謝ることも出来る。

 昨今では貴族というものを履き違え、謝罪も碌に出来ん馬鹿者共が多い中、これは悪くない。


 「よい、元々は我の落ち度。しかし、主に期待しているのは真だ。しっかりと働いてもらうぞ?」


 「御意」


 そう言って臣下の構えを取る少年と王子殿下の姿は物語の序章が如く見る者を引き付けた。

 宛ら王とそれに忠誠を誓う騎士のような。

 かく言う私も見とれてしまっていた。


 

 それから少年が退いても王子殿下はご機嫌であった。

 そんな王子殿下が私に話掛けて来た。


 「我とあやつの関係お主はどう思った」


 濁すことも考えたが、結局私は素直に答えることにした。


 「まるで物語の中の王とその騎士のようでした」


 それを聞いた王子は何故か眉を顰めてしまった。 

 そして何やら呟いておられたが、それを聞き取ることは叶わなかった。




 □■□■




 「やっちゃった、テヘ」


 「テヘ、じゃねえっすよ」


 皆の視線が心なしか痛い。

 でも、仕方ないと思うんだ、アレは。

 こっちはどうやって領民に死者を出さないか必死で考えてるのに、あのトンデモ発言。

 イラッと来ない方かどうかしてると思う。


 「まぁ、過ぎたことは仕方ありません。これからについて考えましょう」


 「カゲゾウさんはちょっと坊ちゃんに甘くねえか?」


 うるさい、マックス。

 あんまりごちゃごちゃ言うようなら今晩は飯抜きで夜の番させるぞ!


 「あっ、ひでぇ。俺何も間違ってないのに。こりゃ横暴ですぜ」


 「アシュラード様も反省はして下さい」


 はい、ごめんなさい


 「やはり、まだまだじゃのう」


 ぐうの音も出ないです。





 ふう、中々戦いに行けませんぬ。

 頭の中の妄想を言語化して、勝手に文章化してくれるような機械が欲しいですばい。


 あ、次話は恐らく結構時間を要するかと思うので、気長にお待ち下さい。

 その補填として(?)作者のブクマに乗ってない、なろうおススメをいくつか


 レジオネール戦記

 現代モノ。シリーズ化しており、恐らく一日で読み切るのは不可能。とりあえずヨメ(押し付け

 

 ダンマス!!

 その名の通りダンジョンもの。軽妙なテンポで交わされる会話はたまらずニヤッとさせられること請け合い。ただ、主人公のコミュニティ外への無関心さや残酷描写に耐えられない人もいる筈。そこは注意。


 Frontier World ―召喚士として活動中―

 はい、書籍化もされてる超めじゃー作品ですね、ごめんなさい。

 VRものです。部長可愛いよ。

 主人公は召喚士として頼もしい仲間を増やしながらゲームの中でその名を響かせていきます。部長可愛いYO!


 三作品挙げさせてもらいましたが、他にもなろうには面白い作品がやまほどあります。

 たくさん読んで、笑って、泣いて、ドキドキして、癒されましょう!


 長くなりましたが、これにて御免(m´・ω・`)m ゴメン…

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