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閑話 モチクロ

 意外と早く書けましたので。

 今回はモッチーとクロの閑話になります。

 拙い文章ですが、よければどうじょ(/・ω・)/




 アドバンス男爵領フロンテルムには”魔物”がいる。

 男爵領を訪れた多くの人が口にすることだ。

 曰く、街中を自由に動き回っているらしい。


 ”魔物”とはその多くが人に害をなす存在として認識されている。

 一部には聖獣や精霊なる存在として崇められる魔物も居はするが、それもごくごく僅かなもので、そのほとんどが駆除、討伐の対象となる。


 では、そのような魔物を領内で解き放って大丈夫なのだろうか、そんな当然の疑問が浮かぶ。

 しかし、聞く所によると、フロンテルムの魔物は”魔物”と言っても決して自ら人を襲うような真似はしないのだそうだ。それどころか、その姿を見れば領内の人々の方から寄って行くほどの好かれ具合であるとのことだ。


 今日はそんな2匹の魔物の一日を紹介していこう。



 ◇◇



 早朝、モッチーとクロはご主人の横に陣取っている。

 スライムには基本的に睡眠は不要なので、大抵の場合起きている。

 そんな彼ら(?)はご主人の傍に唯々控えている。


 ご主人が気になるのか時折ご主人の周りを跳ねているがこれは二匹だけの秘密である。



 ご主人が起きるとまず彼らと寝具の下で丸まっていた精霊狼のラルフに「おはよう」と挨拶をする。

 それから三匹をそれぞれ撫でて、ご主人の一日が始まる。


 モッチーとクロはこの時間がとても好きだ。

 ご主人の手は気持ちいいし、何故だか体の中心がじんわりと温かくなるからだ。

 この温もりを彼ら二匹は大いに気に入っていた。



 朝食を終えると二匹のご主人は父の手伝いに鍛錬と忙しい。

 その間暇なスライムズは領内へと赴くのである。



 ◇◇◇



 スライム達はポヨぽよ跳ねて進んでいく。

 今日は雲一つない晴天で陽の光がとても気持ち良い。


 「お、モッチー、クロ散歩か?」


 屋敷を守る守衛が気付いて二匹に話し掛ける。

 「そうだよー」とばかりに交互に跳ねる二匹。

 

 「そうか、分かってると思うが、気を付けてな」


 「分かった、いってきまーす」と一跳ねしてから二匹は領主屋敷を後にする。


 屋敷から少し行くと道沿いには田畑が見え始める。

 すると老齢の女性が畑から丁度出て来る。


 「あら、モッチーちゃん、クロちゃん、おはようねえ」


 「おはよー」と跳ねる二匹。


 「おっ、お前らか、ほら、持ってけや」


 女性の夫がそう言って採れたての野菜を二匹に投げる。

 スライム達は戸惑うことなく投げられたそれを受け取る。


 「お爺さん、食べ物を投げなさんな」


 「へっ、コイツらなら大丈夫だろ、落としゃしねえよ」


 「そう言うことじゃないでしょ」


 毎度のように仲良く喧嘩を始める老夫婦。

 しかし、そこに険悪さは一欠けらもない。

 スライム達は「ありがとー」と跳ねてその場を後にする。

 夫婦喧嘩は雑食のスライムでも食べることは出来なかった。

 

 スライム達は野菜をかじりながら道を進んで行く。

 採れたての野菜は瑞々しく、二匹は上機嫌であった。


 すると、”コーエン”なる場所にスライム兄弟は辿り着いた。

 そこでは子どもたちが”ユーグ”なるものを用いて遊んでいる。


 「あ、モッチーだ!」

 「クロも!」

 「わーー!」

 「あそぼ―!!」


 あっという間に子どもたちに囲まれる二匹。

 

 プルプル?

 

 「どうする?」とモッチーは相棒に尋ねる。

 これはシャイな気質のあるクロを思いやっての問い掛けであった。


 ぷる・・・ぷる!


 少し迷っていたが、クロは「大丈夫!」と返事をする。

 こうして子どもたちとスライム二匹の奇妙な組み合わせでのお遊びが決まった。


 

 「モッチー滑ろう」

 「クロもいっしょー」


 子どもたちの膝に乗せられスライム達は滑り台を何度も滑る。

 


 「今度は秤台だー」

 「じゃあ、クロ今度はこっちー」


 シーソーを上下に動かす子どもたち

 スライム兄弟は台が上下する度に軽い体を宙に浮かせる。

 それを見て子どもたちは歓声を上げるのであった。



 因みにこれらの遊具はアシュラードが領内の職人たちに依頼して作ったものである。

 彼自身としては自分の魔法で作っても良かったのだが、そうすると頻繁なメンテナンスが必要となる為、あえなくその案は却下となった。


 

 暫く遊ぶと二匹は子どもたちと別れを告げ再び散歩に戻る。

 二匹は進む。


 もっちもっち

 ちゃっぷちゃっぷ


 行違う者の中である者は気軽に二匹に声を掛け、ある者は黄色い声を上げ、ある者は好奇の視線を送る。

 今日も二匹は領内の人気者である。



 そしてスライム兄弟は食い倒れ通りにやって来た。

 其処彼処から食べ物の香りが流れて来る。


 「お、スライム共か、これ食ってけや」


 屋台で肉を焼いていた中年の男性が木製の串に刺した肉を差し出してくる。

 二匹は受け取ると一切れずつ味わいながら食べて行く。


 「どうだ?」


 強面の男性が覗き込むように尋ねると二匹とも「おいしいー」とばかりに跳ねる。

 言葉にならずともそれが分かった屋台の主人は「そうかそうか」と相好を崩す。


 二匹は食べ終えると串を主人に返し、その場を離れる。

 二匹はお金を払っていないが、スライム兄弟に惹かれた者達が後を絶たず注文するので主人としては幾らでも肉をあげたいぐらいであった。


 モチクロは行く。

 ぽよんぽよんと跳ねながら。

 顔馴染みとなった人々から声を掛けられたり、食べ物をもらいながら進む二匹。



 そうして進んで行く二匹は裏通りに入った。

 建物の裏にあるこの通りは日の光も遮られてか、暗く、不気味なほど静かであった。

 すると、二匹の前に六、後に四と合計十の人影が現れた。


 「へへ、これが噂のスライムか」

 「間違いねぇ、聴いてた見た目通りだ」

 「俺、こんな色のスライム初めて見るぜ?」

 「こりゃあ、思ってたより高く売れそうじゃねぇか?」


 ニタニタと笑いながら物騒な会話を始める男たち。

 彼らは冒険者と呼ばれる人種であった。

 と言ってもまともに依頼を受けてお金を稼ぐような輩ではなく、一般の人を脅したり、人の依頼に横槍を入れたり、盗んだものを売って金を稼ぐような立派な犯罪者であった。

 フロンテルムがどんなに治安の良い街でもやはりその陰に隠れて悪さを企む輩は根絶し続けることは難しい。事実、この集団もつい最近入領したばかりの者たちであった。

 

 「お前ら油断するなよ、特殊なスキルを持ってるかもしれないからな」

 

 集団のかしらが緩んでいる仲間の気を引き締めようと注意を促す。


 「わぁってるよ」

 「んじゃ、やるか」

 「見回りも何時来るか分かんねぇしな」

 「ここ、やたらと厳しいもんな」

 「さっさと捕まえてさっさとオサラバしようや」


 そして標的に目を向けた時だった。


 「おい、黒いのはどこ行った(・・・・・・・・・・)?」


 彼らの前には二匹スライムがいた筈だが、そのうちの一匹がまるで幻であったかのように姿を消していたのだ。彼らの前には綺麗な薄黄色をしたスライム一匹だけになっていた。

 そして注意が僅かに残っていたスライムから外れた。


 「え」


 先頭に立っていた男が気付くと腹部に強い衝撃を受けて吹き飛ばされていた。

 そして後ろにいた仲間を巻き込んで転がって行く。

 男の立っていた場所にはモッチーと言う名のスライムがいた。

 勿論彼らはそんな名前など知らない。

 彼らにとって珍しい色をしたスライムなど奪う物でしかなかったから。


 「おい、気ぃ抜くな!」


 頭の一言に呆然としていた面々が意識を取り戻す。

 彼らの視線の先には体から前後に二本の触手を出しクイクイと捻るスライムがいた。

 それは「かかって来い」という明らかな挑発であった。


 「スライム風情が舐めんなよ!お前ら数で押し込め!」


 その指示に従い前後から四人がかりでゴロツキ冒険者が一匹のスライムへ襲い掛かる。

 そしてそれぞれの武器が振り下ろされそうかというところで四人の動きが止まった。


 「おい、何やってんだ!」


 否


 「う、動けねぇんだ!」

 「体が、動かねぇ」

 「チクショウ!」

 

 止められたのだ(・・・・・・・)


 そしてがら空きの胴にモッチーの容赦ない打撃が打ち込まれる。


 「ガハッ・・」

 「グハァ」


 四人の男共はあえなく地に沈んだ。

 残りは五人。最初に吹っ飛ばされた男も当分は起き上がれそうもなかった。


 「チッ、やっぱ変わったスキル持ってやがんな」


 頭には目の前のスライムにのみ注意が向けられていた。

 残りのメンバーもそれは同じだった。

 まさか、消えた方のスライムがそれを為していたとは夢にも思わなかったのである。


 「どうするよ、ディプス?」


 「決まってんだろ。スライムであそこまでの強さだ。それに特殊なスキル持ち。上手く行きゃあ白金貨ものだぞ?」


 それを聞いて戦意が消えかけていた者達の目の色が戻って来た。

 目の前の金のなる木にゴクリと唾を飲み込む。

 良くも悪くもこのような輩は単純なのだ。


 「けど、どうするよ。近づかなきゃ捕まえらんねぇし、近づいたらあいつらみたいになるんじゃねぇのか?」


 その疑問は尤もだった。

 しかし頭は嬉々として答えた。


 「あのスライムが使ってるスキルは恐らく単発型だ。一度使うと次に使うまで時間差がある筈だ。剣術や体術スキルみたいな持続補助型と違ってな」 

  

 「??」


 仲間には上手く伝わらなかったようだ。

 それでも男は笑みを崩さない。


 「つまり、奴に一度スキル使わせてその隙にぶち込めばいいってだけの話だ。お前らぁ!一斉に行け!動きは止められるだろうが、俺がその隙にぶっ飛ばす!それで終いだ!」


 リーダーであるディプスの力強い言葉にこれは何とかなると思った男たちは完全に息を吹き返し、スライムの前後から四人で一斉に標的に向かう。


 「うっ、マジで動けねぇ」


 そして案の定動きが止まった。

 しかし、


 「へっ、これで大金持ちよぉぉぉ!」


 四人とはワンテンポずらしてディプスはスライムに襲い掛かる。

 

 しかし、彼は二つほど間違いを犯していた。


 一つは動きを止めていたのが消えた黒いスライムの仕業であり、その存在を考慮しなかったこと。


 もう一つは


 「グバアァァァァ!」


 目の前のスライムの強さの根源を拘束するスキルによるものと思い込んでいたこと。

 それに気付けるポイントは一つだけあった。最初に仲間の男が吹っ飛ばされた時である。

 これはモッチーの純粋な力と技によるものであった。


 要は見る目がなかったのである。



 モッチーはディプスを殴り飛ばすと、動けなくなっていた残りの四人にもスライム流体術を発揮し、気絶させる。こうして呆気なく素行不良冒険者の一攫千金の夢は潰えた。


 そして影からクロが現れると二匹は互いの触手を打ち付けた。

 宛ら勝利のハイタッチと言った所か。


 そのままスライム達はその場を後にする。

 そしてそれを片付けるのは異変を察知し駆け付けた空忍の者たちであった。



 そして二匹が屋敷に帰ると大好きな主が待っていた。


 「おかえり、モッチー、クロ」


 プル!

 ぷる!


 「ただいま!」と跳ねる二匹はとても嬉しそうであった。



   

 やはりスライムは強い(確信)

 で、次話は簡単に人物整理の為に人物紹介します。

 だいぶ人が増えましたしね。やるぞー(`・ω・´)キリッ

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