第66話
そいでは、どうじょ(/・ω・)/
ハーイ、エブリワン。
あいむひぁごうてい。
あいむのっとぐらっどとぅすぴーくいんぐりっしゅ。
そうりーそうりー。
今、我々はラミノーレ家にお呼ばれしておるのです。
客室で随分待たされております。
既に夕食をとり終えまして、会談もそろそろかと思っていたのですが、何時の間にか夜遅くになりました。
どうやら明日以降に持ち越しの様相を呈しています。
恐らく、伯爵はスタンダードなお貴族様なのでしょう。
もし、謝る気があるなら、こんな時間になる前に会うなり、それが難しければ使いを寄越して日取りを決めるなりの対処を行う筈です。
自分は伯爵だから、うちが男爵家だから、おおよそそんな所なのでしょうね。
ならばこちらもそれ相応の対応で行きましょう。
手加減などしませんよ。
ぷるぷる!
「お~、クロおかえり、怪我してないか?」
ぷる!
「そうかそうか、良かった良かった」
先程とは真逆に、黒く愛らしいスライムをご機嫌に撫でる。
撫でられる方も嬉しそうにぷるぷると震えている。
プル、プルプル!
かわええな~と癒されているとモッチーがプルプルと寄って来た。
多分、クロに「おかえり」とか「おつかれ」とか労ってるんだと思う。
クロもクロで元気にプルプルしているから返事をしているんだと思う。
「クロよ、それでどうであった」
「うわっ!?」
何時の間にか後ろにいるダンジョウ。
ホラー以外の何物でもないよ。
「坊、吃驚し過ぎじゃ」
いや、いきなり自分以外いなかった部屋に音もせず人が入り込んでたら誰だってああなるだろ。
とりあえず、一睨みしておこう。
「で、そんな些末なことはどうでもよい。クロ、報告じゃ」
仮にも主である僕ちゃんにそんな態度。
へー。ふーん。ほー。
これは何らかの意趣返しが必要ではないだろうか。
(無理無理)
(このじーさん人なりにはそこそこだしな)
(諦めが肝心ですよね)
GOD!GOD!
あ、Gさんってなんだかごk(処されたいですか(*^▽^*)?)
気のせいだな。うん、ワタシハナニモカンガエタリオモッタリイタシマセンデシタ。
「何を一人で顔遊びしとる」
いかん、痛い奴に思われたじゃないか。
これは大軍師の罠に違いない!
(・・・・・)
(・・・・・)
(・・・・・ハァ、がっかりですね(´・ω・))
お前ら乗れや!
いかん、ペースを握られている。
意識を戻そう。
ぷるぷる。ぷるぷるぷる。
クロが説明している。
何故これで分かるのか未だに分からない。
が、何となくは分かった。
「つまり、伯爵はこちらに謝る気は一切ないのね」
ぷる
肯定。
「そいでこちらにちょっかいを出してくる、と」
ぷる
これも肯定
うん、伯爵サンには物理的に痛い目みてもらった方が良いかもしれない。
でも、ちょっかいって何をする気だろう?
僕ちゃんたちを排除して、とか何処かのヤバい組織みたいなことは流石にない筈。
「坊、用心するがよい」
「それは分かってるけど、相手がどんな手でくるか予想がつかないからさ」
「やはり、まだまだじゃのう」
どうやらこのじーさんは予想がついているらしい。
だったら、てるみー。
ふぉっふぉっふぉといつもの如く笑いながらダンジョウ君は消えましたとさ。
スルーかよ。
うん、慣れた。
□■□■
(何で?何で私が?これじゃあ私、娼婦と変わらないじゃない)
伯爵邸の一室にて一人の令嬢が叫び狂いそうになるのを必死に堪えながら震えていた。
この女子が震えている理由は少し前に時間を遡る。
「お嬢様、伯爵様よりお言葉を預かっております」
そのお付きの見たことのない顔つきにアンジェラは胸がざわつくのを感じた。
男はいつもは泰然とした態度であるが、この時ばかりは伏し目がちで顔色もあまり良くない。
これまで感じたことのない不安の中、嫌な予感は見事的中することになる。
「男爵家の御嫡男がこの邸内にお泊りになります、その際に・・・・・・御嫡男の・・・寝床にお邪魔するように、とのことです」
精一杯の力を振り絞って男は声を出していた。
当然だろう。男と令嬢はそれほど打ち解けた仲ではない。
それでも、男はそれなりに伯爵家に仕え、この女子の成長を見て来た訳である。少なからず情も湧いている。
そんな子どもに自分がどれだけ残酷なことを言っているか、男にはその自覚があった。
「・・・え?」
アンジェラは手足から血の気が引いて行くのを感じた。
そしてその血は脳へと駆け上がり、彼女の冷静さを一瞬にして奪い去った。
「どういうこと?ねぇ、どういうことよッ!」
その金切り声は震えていた。
彼女がその様な声を上げるのも仕方のないことである。
男の寝床へ行けとはそういうことなのだから。
「伯爵様は、男爵家との仲が割れることを避けたいのです」
「だから、貴女にその様な命を出したのです」と言葉を続けられるほど男は冷徹でもないし、強くもなかった。
そして男が部屋を去った後、彼女は自分の父親の所へ向かった。
これは何かの間違いだと、僅かな期待を胸に秘めて。
しかし、欲しかった言葉は得られなかった。
「お前もラミノーレ家の一員だ。家のためにしっかりと役目を果たせ」
あんな父は初めてだった。
自分に向けて来た目、あれは道具を見る目、そんな印象を受けた。
この時、女子は自分が父の手駒に過ぎないことを理解した。
箱入り娘である彼女がそのことを理解できたのは奇跡だった。
しかし、それでもその考えを受け入れられるかは別の話である。
少女は怯えていた。
男爵家の長男が今しがた屋敷に到着したとの報告があった。
となれば、今夜自分は彼の下へ伺わなければならない。
そう考えると、彼女の胸中で言い様のない不安と緊張が騒ぎ始める。
令嬢はふと件の少年のことを思い出していた。
あの少年の歳は確か13だと聞いている。
体格は未だ少年と言って差し支えないもので、話した際の印象ではあまり女性慣れもしていないように見受けられた。たどたどしい話の仕方には頼りないものも感じた。
もしかしたら、恥ずかしがって何もなく終わるかもしれない。
事情を話せば、分かってくれるかもしれない。
何もせず部屋に一晩置いてくれるかもしれない。
どうしようもない不安から逃れるためか、彼女は淡い期待をせずにはいられない。
しかし、彼女は自分の弟がやらかした時のことを思い返す。
あの時の彼の目は、それまでのものとは打って変わって鋭さと冷たさがあった。
あれは確かに怒っていた。
そんな彼がノコノコやって来た自分に何もしないなどありえるだろうか。
むしろ、意趣返しに滅茶苦茶にされるのではないか。
そう考えるとまた一気に不安が押し寄せてくる。
「お母様、助けて」
今は亡き母の名を口にすることしか哀れな令嬢にはできなかった。
□■□■
一方その頃、フロンテルムでは
「走れぇぇ!走らんかぁぁぁぁ!」
鬼の形相で怒鳴る竜人がいた。
「ひっ、ひぃ、もっ、もう、だ、だ、め」
息切れしながら泣きっ面の少年は地面に倒れそうになる。
かれこれ数時間は走り続けているのだ、致し方ない。
「貴様、何を休もうとしておる!立たんかぁぁぁ!」
しかし鬼軍曹の扱きは終わらない。
いや、終わらせない。
襟首を掴むと倒れそうになっている少年を引っ張り上げる。
「ぐぇ」
首元が閉まったのか情けない声を上げるリオネル少年。
咳き込んで足が止まるが、鬼軍曹は背中を突き飛ばし、持久走を続けさせる。正しく鬼である。
他家、それも自家より身分の高い家の子息に体罰も真っ青なスパルタ訓練。
まず、この世界では有り得ない現象が今男爵領で起こっている。
一応、これはリオネルが自ら男爵家の兵士の鍛錬を体験したいと所望したという名目で行われている。
もちろん、これらの鍛錬、男爵が無言の笑顔で脅したわけでもなく、指導役の竜人が意趣返しに厳しくしている訳ではない。恐らく。
ある者はその風景を目にし、「当然だ」と少しばかり留飲を下げ、ある者は「可哀想に」と憐み、ある者は「自分はあんな目に遭いたくない」と震えるのであった。
すみませぬまだこの話は続きまする。
それと武熊と評価して下さっている読者の皆さんありがとうございます(∩´∀`)∩
大変励みになっております(`・ω・´)
そして、少しずつ重圧に負けつつあります_(:3」∠)_
そんな駄目な餃子を温かく見守って下され;つД`)




