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第61話

 

 短めですが、とりあえずどうじょ(/・ω・)/



 休憩が空けると次はテーブルを囲んでお茶会です。

 女子会に1人男が混じってるんですけどぉ。

 辛いです。


 そのお茶会ですがね、金髪さんが喋る、それを俺が聞く、前髪っ子は中々会話に入れない、赤髪さんは沈黙ともう滅茶苦茶っす。


 「~~でですね」

 「はぁ、なるほど」

 「・・・あ、・・・えっと・・・そのぅ」

 「・・・・・・」


 こんな感じで。


 てか、一応お見合いの筈なんですけどね。

 1対3でお話しっておかしいのでは、と思わなくもないです。


 「そう言えばアシュラード様は魔法に優れているそうですね?私とても気になりますわ」


 「あはは、大したことはないですから」


 金髪伯爵令嬢アンジェラさんはずっと伯爵家の自慢かこの様にアドバンス家(ウチ)への探りだけ。

 第一印象は「デキる人物か?」だったけどやっぱり年相応に若かった。

 まだまだ甘いよ。因みに彼女は現在16歳。


 前髪っ子ミリカさんは、シャイガールだけど、頑張って会話に加わろうとしてアワアワ頑張っている。

 可愛い。

 しかし、上手く切り出せていない。金髪さんは敵は排除すると言わんばかりに存在をスルーして俺に話し掛けてるし、赤髪さんは黙りっぱなしだから詰んでいる状態。


 赤髪フローレットさんは沈黙の像と化している。

 座っているだけなのに凄く凛々しい。

 男のワイより男らしさ、頼もしさが滲み出ている。

 そんな彼女は先程からチラチラとミリカ嬢を窺っている。

 気になるのか?


 ならば、拙者が仕切らせて頂きましょうか。

 人生凡そ50年で培った話術スキル(仮)をお見せしよう。


 「そうだ、皆さんの好きな事や趣味を良かったら教えて頂けませんか?」


 会話の繋がり?

 そんなの無視無視。

 今重要なのは3人全員が話すことにあるんですから。

 え?話術舐めんな?馬鹿野郎、この場では喋らせられればそれで良いんだよ。


 「私はお茶会が趣味でしてお茶やお菓子には目がありませんの」


 うん、アンジェラ嬢は予想通りなご返答ですな。

 

 「そうなんですか~、良い御趣味ですね~。ミリカ様はどうです?」


 「あぇ?あっ、はっ、はひっ!」


 う~む素晴らしい慌てっぷり。

 これはやっぱり逸材だな。


 「そ、その、わたしは、本を読むのが」


 ああ、完璧すぎる。

 恥ずかしがりやな前髪読書っ子。


 「へぇ、読書ですか。因みにどの様な本が好みなのか聞かせて頂いても?」

 

 「は、はい。七勇、の物語がお気に入り、です」


 ああ、セブレイズの礎を築いた英雄たちの話か。

 うちにもあった気がする。だいぶ前に読んだっけ。

 この物語ノンフィクションらしいけど読んだ私としてはぜってー多分に脚色しただろって感じです。

 ですが、この本は歴史書としてもある程度有用なのです。


 セブレイズという国は元々幾つもの小国群で争いの絶えない土地柄だったらしい。

 この著書を読む限り、小国群と言っても言ってしまえば豪族たちの争いの様な物だったようで、戦国時代の日本と大差ない印象を受ける。


 そんな中、小国群に彗星が如く現れたのが勇者の名を冠する七人の男女、つまり初代七勇たちで彼等は瞬く間にそれぞれが自分の国を作り上げたそうな。

 この勇者ってのはスキル名らしいのだが詳しいことは不明。話が逸れた。

 ある勇者は勇者たる自責の念から、ある勇者は弱者達を守る為に、ある勇者は自分の為に、と七人それぞれの理由があったみたいです。そして彼等は順調に領土を広げて行き、遂に七人の勇者たちの七つの小国が現セブレイズの国土をそれぞれ支配することになるのです。


 これで皆仲良くめでたしめでたしとはいかないのが現実でして、次に七つの国は争い始める訳です。

 が、突如近隣国家アビュシオンが現セブレイズ領域への侵攻を開始します。

 争っていた七勇たちはアビュシオンという共通の敵の登場に手を取り合うことを選択し、その七勇たちの活躍もあって見事アビュシオンを退けることに成功します。

 それからは七勇やその部下がそれぞれの土地を治め、互いに協力して政治を執り行うセブレイズ連合国が誕生した、という所で物語は終わってめでたしめでたしとなっています。


 この物語、展開が急すぎて正直自分はあまり楽しめませんでした。

 激しく争っていた勇者たちが突然「力を合わせて頑張ろう!」と手を重ね合わせる場面には、はてなマークしか浮かんできませんでしたし、物語の最後、黒の勇者と白の勇者が突如フェードアウトしている部分も何処か気になるのです。


 「七勇ですか、確かに面白いですもんね?」


 ここで「ああ、あの寒すぎて凍死不可避の」とは死んでも言いません。

 僕ちゃんだってそれぐらいの気遣いは出来ます。

 子どもの夢を壊すのは忍びないですしね。相手の方が年上だけども。


 「あっ・・・はい!」


 ああ、はにかむ口元が可愛いんじゃあ。

 これだけでも気を遣った甲斐があったってもんです。


 「フローレット様はどうですか?」


 「・・・・」


 あれ?

 これでもだんまり?

 

 「鍛える事だ、です」


 無理矢理の丁寧語ありがとう。

 それにしてもこの人はやっぱり武闘派でしたね。

 しかし、仮にも貴族の令嬢が鍛錬好きなんて親御さんは何とも思わんのかね?

 うちは両親ともに普通じゃないからイリスにも鍛錬させてるけど、普通は嫌がりそうなもんだよな。


 あ、アンジェラ嬢が眉顰めた。

 野蛮な、ってか。

 まぁ、この考えが普通なんだよなぁ。

 高貴なる女性は淑女たれ、みたいな。

 でもな~、正直そういうお堅いのって疲れるんだよね。


 「そうなんですか。凄いですね。自分は鍛錬が嫌で嫌で」


 「・・・」


 あ、もう会話終わりですか。

 それになんか目が冷たいのですが。

 まるで部活の走り込みに耐えられなくて倒れ込んだ時の顧問の爺さん先生に

 「この、軟弱者が!」って責められてる気持ちになりますねぇ。

 というか思ってるんでしょうね~

 

 それにしてもフローレット嬢の機嫌をどう取ればいいのだろうか。

 食べ物で釣りたくても好みを知らないから釣りようもないし、う~ん。


 「・・・おm、んんっ、アシュラード殿は、どの様な鍛錬を?」


 おお、自分から会話を、ん?

 今、何か言い掛けたような、まぁ、大したことじゃないだろうし、いっか。


 「はい、自分はひたすら組手ですね。師が鬼の様に厳しい人でして」


 つうか鬼そのものっす。


 「・・・そうか、いや、失礼。そうでしたか」


 そして会話が無事に終了しました。

 誰か!ドクターストップを!!


 「失礼します。男爵様からのお達しで本日は此処までにとのことです」


 まるでタイミングを見計らったかのようなお告げです。

 正直助かりましたけども。

 

 「分かった、ありがとね」


 「いえ、それでは」


 そしてこの日は解散となりました。

 明日は領地巡りです。

 是非ともウチの事を知ってもらいませんとね。


 「よし、やるぞ」


 何をかな?ライゼン君。


 「鍛錬に決まっておろうが」


 えっと、私、今は大事なお見合い中


 「番を決めるのは大事だがお主には強くなることの方が今は大切だ。なに、今日は軽めにしておく」


 僕はどこぞの戦闘民族じゃないんだけどなぁ。

 それに番ってそこはかとなく生々しい感じが。


 

 「グダグダ言わずにとっとと始めるぞ!」


 へ~い。

 ホントに軽めで頼むよ?




 みっちりと叩き込まれました。

 理不尽だ。




 

 


 



 風呂敷を広げたはいいが、閉じ方が分からない現状。

 皆さんもお気を付け下され(;^ω^)

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