第55話
久々の12時投稿ですな
それでは、どうじょ(/・ω・)/
シルフェウスは中堅国である。
お隣のリッデルも同程度の国力を持つ中堅国である。
さすれば、この世界の強国とは、と考えない人は少なくないのではないだろうか。
と言う事で僕ちゃんフロンテルムを訪れる人に聞いてみました。
「強い国ってどこか知ってる?」と
アシュラード社の調査によると毎回名前が挙がった三つの国がありました。
まず、最初に出て来るのはエンガード帝国。
思うんだけど帝国って何か威圧的な字面だよね。
このエンガードは大陸の覇者を目指し、他国とドンパチやらかす困った国らしい。
が、大陸一の国土を持ち、兵力も大陸一。だけど広い分隣接する国の数も多く、他の大国もその国々を掩護するから中々思い通りに侵攻は進んでいないらしい。
次がバロンズ皇国。
軍事と政治のバランスが取れた大国で対エンガードでは一番に名前が挙がるんだそうです。
この国シルフェウスの近くにある国で、近隣の国家のまとめ役でもあるそうで評判は悪くないようです。
最後に挙がるのがグリンド教国。
教皇を頂点とするお国で、貴族制度はありません。まぁ、それに準ずるものは存在するらしいのですが。
この国はエンガードに対して常々異を唱えており、バロンズと並びエンガード包囲網を成り立たせている重要なお国なんだそうです。
これらの国が強国として呼ばれる所以それは
数字持ち
物語でよく出て来る存在だ。
数字によって戦力的脅威を表すのによく使われる手段。
この世界にもそういうのがやたらと存在する。
エンガード帝国の十二師団
連合国家セブレイズの七勇
聖グリンド教国の九天騎士
バロン皇国の三崩
有名なのはここら辺らしい。
聞いた時は凄いネーミングだと思ったけど、他国に舐められない為にはこれぐらい大袈裟な名前も仕方ないのだと言う。そして、この数字名は更にと2パターンに分けられる。
十二師団、七勇、九天騎士は、それぞれが役職として存在しており、その名が代々引き継がれている。
それと異なるのが三崩であり、皇国の3人の実力者がその実力によって周囲からそう呼ばれるようになった経緯を持つ。ある意味二つ名とも言えるだろう。
そして肝心の実力ですがピンキリらしい。
十二師団なんて団体だから全員が全員超凄腕と言った訳ではないとの事。七勇・九天騎士はなる為の条件が独特らしくこちらも上から下まで実力にはバラつきがあるらしい。
結論、数字持ちだからと言って必ずしも超人的な力を保持している訳ではないと言う事なのです。それから、どんなに強い力を持っていようと戦略級の戦闘力を持った者などどの国にも存在し得ないようです。
まぁ、こんなに沢山の数字持ちが皆超人だったら、シルフェウスやリッデルなんてとっくに滅んでるでしょうしね。
さて、何故私がこんな話をしているかと言うと、
「女神ルツィア様の思し召しだ!さっさと美食のレシピを渡せ!!」
はい、我が領にその数字持ち様がいらっしゃってるんです。
「何度も言わせるな!私はグリンド教国九天が八席、アグストーロ・ぺジュミアンだ!女神ルツィア様がこの土地の美食をお望みだ!だから・・・・
先程からこの調子です。
九天騎士ってのは教国の武の象徴なもんで、男爵位のアドバンス家より断然権威的にも上の存在なんです。だから、軽くあしらうなんて怖くて無理なんです。面倒ですよね。
そして教国も王国もですが、うちに前以て何も話を通してない様なのです。
普通、国の顔とも呼べる人物や高位貴族が他国を訪れる場合、その国のトップと訪れる場所を治めている貴族に前以て伝えておくのは割と常識です。
例えば、上司が「あ、今日の午後、会社の上役の人が来るから準備よろしく」と急に言われても出来ることと出来ないことがあると思います。
今回の場合、先触れとペジュミアン卿の到着がほぼ同時と言う普通では有り得ないことでした。
国王からの手紙によると、突如前触れもなくやって来て男爵領への訪問を求めて来た。無碍に出来ないのでそちらでよろしく頼む、との事。
丸投げ~
しかも先触れが意味を成してないですよ?
まぁ、それだけ先方が急いでるって事なのかもしれない。
だけど、いきなり来て「女神様が欲しているのだ!出す物出せ!」と不思議ちゃんな事を言われて素直に従える筈もない。
必死に父上達がお話しようとしてます。
僕ですか?
メンドクセーと思いながら離れた所で様子見しています。
成人もしていない子どもが行った所でどうにもならんですし、クッキーうまうま。
適材適所ってやつですよ、多分。知らないけれども。
ただ、僕としても癪に障るので、何かしらのご挨拶はしたいと考えていますがね。
で、だ。
「貴方様は一体何方でしょうか?」
「もぐもぐ、あ、ふぉぶ?ふぉぶのな「口の中の物を呑み込んでからお願いします」あ、ふぉう?」
僕ちゃんのクッキーを無断で食べる不届き者です。
年齢は僕と大差ないように見えます。残念なことに金髪イケメン青年です。
まぁ、立派な装いからなんとな~くどういう人かは想像が付くのですがね。
ごっくん、と散々クッキーを貪ったイケメン君は意地汚く指に着いた粉まで舐める始末。
う~む、残念イケメンか。これはこれで需要がありそうだな、等と下らない事を考えているとそれも終わったようで青年がごほんと一つ咳払いを入れる。少しキリッとした顔つきになったが、既に僕の青年に対する敬意は地に落ちています。騙されません!
「それじゃあ、自己紹介するね。僕はリック・ベルフェル。一応、末席だけど九天騎士を拝命してるんだ。よろしく!」
何とも爽やかに手を差し出された。イケメンスマイルからきらりと光る白い歯。
イケメン死すべゲフンゲフン!何でも御座いませんよ?
つか、手を洗え!
悪意は感じなかったので、私もご挨拶。
握手の代わりにそっとハンカチを渡す紳士なのです。
あ、ごめんと言って手を拭く姿はやっぱり騎士と言うより青年って感じだ。
「そうでしたか。遅ればせながら私もご挨拶を。私はアシュラードと申します。アドバンス家の愚鈍な長男です。お見知りおきを」
「硬いなぁ、もうちょっと緩く行こうよ。僕達歳も近そうだし。仲良くしようよ?」
「その心は?」
「勿論、このお菓子!って案外乗り良いのね?」
はい、張りぼての敬意は1分も持ちませんでした。
本人も堅苦しいの嫌いみたいだし、まっ、良いんじゃないでしょうか?
一線は引かせてもらいますが。
「それでは、ベルフェル卿「リックで!」・・・リックさm「リック!」・・・分かりました、個人で付き合う場合に限りリックと呼ばせて頂きます」
このイケメン押しが強いな。
何処かのうつけ王子が品を身に付けた感じだろうか、断定はできないが。
「う~ん、僕としては公私限りなくリックって呼んで欲しいんだけど、仕方ないかぁ」
何恐ろしいこと言ってやがる!
仮にも国を代表する人物を一男爵の息子が呼び捨てなんて滅相もないわ!
話を逸らそう。
「リックはクッキーが気に入ったのですよね?」
「うん?クッキーて言うんだね、このお菓子?すっごく、美味しいよ!!」
そう言ってまだ残っているクッキーに手を伸ばす残念イケメン。
おい、あんだけ食っといてまだ食う気か?
こりゃかなり気に入ったみたいだな。だが、はいどうぞと譲る程俺もお人好しじゃないんでね。
ひょい、ぱくっ
「ああ!!それ狙ってたのに!」
知ったこっちゃ御座いません。
それに元々このクッキーはワイのモンでゲス。ゲシゲシゲシ
「アシュラード君、君はアドバンス家の者として僕を厚遇しなければならない。よってこのクッキーを僕に寄越すんだ!」
残念過ぎるぞコイツ。食い意地張ったイケメンって。
でも悪い奴ではなさそうだし、この残りぐらいならまぁ良いでしょう。
クッキー数枚で国の顔を敵に回すは愚の骨頂ですからね。
「分かりました。それではどうぞベルフェル卿」
だからリック!と言いながらもクッキーを貪る残念さん。
美味しそうに食うよな。実際美味しいんだけどさ。
「確かに・・・もぐもぐ・・・こんなに美味しいなら・・・もぐもぐ・・・納得だね」
「何が納得なんです?」
僕ちゃんの質問に残念君は十分にクッキーを咀嚼してから答えてくれた。
「ペジュミアンさんがちょくちょく大声で言ってた「女神様」がさ、3年前だったかな?他国にある美味しい物が欲しいと言ってお告げを出したんだよ。で、最近になってその美味しい物があるのがこのシルフェウスのアドバンス男爵領って分かって、僕達が使いに出されたって訳」
何その私欲に塗れた女神。
全く以て有難味を感じないし、そんな女神の存在信じたくない。
「それにしてもですね?言い方が悪いですが食べ物目当てだったのなら、態々リック達に任せるまでもなかったのではないですか?」
残念リッ君はアハハハと笑っているが、若干苦笑いに見えなくもない。
「そうなんだけどね、男爵家を見つけた際報告した巫女姫様が女神様に発破を掛けられたみたいでね、凄いやる気になっちゃって、結果九天騎士に任せようなんて話になっちゃったんだ」
巫女姫さん敬虐な信徒なんですね?
それにしてもその女神、聴けば聴くほど清々しい下衆に思えて仕方ないな。
あれ?身近に似たような存在がいた気が・・・
(私ではありませんよ(・ω・)?)
(俺も違うぞ)
(ボ、ボクモナンノコトダカ)
(勿論私でもないですからね?)
うん、犯人見つけたわ。
「大体理解しました。それにしても人選間違ってませんか?」
僕ちゃんの視線はペジュミアン卿に向けられる。
あんな、ぎゃんぎゃんさんじゃ話にならないでしょうに。
「あ~、話が回って来た時自由に動ける人が少なくてね。それで女神ルツィア様延いては教国至上主義のペジュミアンさんと一番下っ端の僕が駆り出されたちゃったのさ」
そうなのか。と言うか若干毒がある気もするが、まぁ触れないでおこう。
「それで、男爵家の次期後継者からするとこの申し出どう思う?」
どうって言われてもねぇ。
別にベースとなるレシピぐらいなら構わないけど、ペジュ野郎にやるのは気が乗らない。
となれば、
「リックに渡す分には問題ないです」
「あちゃ~、ペジュミアンさん嫌われちゃったみたいだね~
ま、レシピを融通してもらえるならそれに越したことは無いから別に良いんだけどさ」
頭を抱え込む大袈裟なジェスチャーしてるけど、うん、このイケメソもあのぎゃんぎゃん野郎が嫌いなんだろうな。
味方からも嫌われるとは・・・同情はしません。当然ですから。
「かげぞ~」
「はい、ここに」
何処にでも現れるカゲゾウマジック!
先代のくsゲフンゲフン御爺ちゃんにも負けてないね。
「料理のレシピって今から用意できる?」
「幾らかお時間を頂ければ」
「焦らなくて良いからよろしく頼んだよ。あと、改良レシピや試作段階の物は抜きで」
「かしこまりました」
あっという間に消えてしまいました。
忍者と言うより奇術師って感じですね。
「ねぇ、アシュラード君。あの人は?」
「部下のカゲゾウです。どうかしましたか?」
おろ?何か目が怪しく輝いてますが、MA・SA・KA!
「僕さぁ、あの人と闘ってみたいんだけど、駄目かな?」
OH、バトルジャンキーさんでしたか。
どうぞお帰り下さい。
教国って変換しようとすると強国になるのです。
面倒なのです。
そして、イケメンは敵なのです。




