第53話
絶世の美か一生遊んで暮らせるおカネならNotimeでMoneyを取るうまひです。
それでは、どうじょ(/・ω・)/
「あ~あ」
「アッシュ」
「は~あ」
「認めたくないのは分かる。だけどね「父上」ん、何だい?」
「私は常々こう思うのです。現実は残酷だ、と」
「・・・・・・」
「確かに、確かに我がアドバンス家は他家からすれば宝石箱です。イリスやオルトーに縁談が次々来るのも分かります」
「うん」
「自分が他家のお貴族様やご令嬢に人気がないのも分かっています」
「・・・うん」
「ですが!!だからと言って何故、マリウスへの縁談がこんなにも来ているのですか!!顔か?顔なんだな?所詮男は顔ですよ!だってそうでしょ!?俺への申し込みは零。どっからどう見ても零だ。やってられるかぁぁぁ!!」
「ダメだ。これは放っておこう」
最近、縁談の申し込みが増えている。
その標的がマリウス君なのだ。
これははっきり言って異常である。
彼は男爵の子のお付きである。いくらその子である俺が将来の男爵だとしても、この縁談申し込みの数は普通では考えられないのだ。
理由は考えるまでもない。彼がイケメンだからだ。
マリウスのイケメン具合は確かに群を抜いている。父上やキルトもイケメンだがマリウスはその比ではないのだ。全く左右対称な顔面パーツにすらっとした体型。更には政の才を持つ優秀っぷり。申し込みのいくつかには婚姻を結んだら我が領地へ寄越して欲しい等と言うふざけたものもあるくらいなのだ。
(・・・可哀想に(´・ω・`))
(モテなくたって生きて行けるだろ)
(ちょっと!ストレート過ぎだって(笑))
(貴方達、彼の子をいじめちゃだめでしょう?)
この世には神も仏もいないようです。
皆、僕がモテないのがそんなに面白いのか。そうか、分かったよ
今日此処に1人のモテない修羅が生まれ
「兄様!」
「兄さま!」
「なんだい、2人とも?」
なかった。
「あのね、これ兄様にあげる!」
「ぼ、ぼくも!」
なっ!これは
「クッキー頑張って作ったの!」
「だから食べて!」
天使や~。やっぱりこの子たちが天使やったんや~。
「ありがとな~。今食べて良い?」
『うん!』
よし食べよう。今食べよう。
縁談?そんなのクソの役にも立たねぇ話忘れたね。
もぐもぐ
イリスもオルトーも凄く感想を待ってるな。
ちゃんと言ってやらんとな。
「美味しいよ。ありがとな~2人とも」
『やった~!』
可愛過ぎる妹弟だな。
アイドルデビュー狙うか?いや、可愛すぎてストーカーが出るかもしれん。いや、出るに違いない。これはナシだな。
「元に戻ったようだね、アッシュ」
誰?あ、父上か、いたのね。つか、父上もクッキー貰ったのね?
なんだか少し残念。
「酷いなぁ。それでマリウスの事だけど、アッシュはどう思う?」
「そうですね。とりあえず私見ではありますが、この中にこれと言った物は無い様に思います。だからこの縁談は断っちゃって大丈夫かと。それにうちから出て行かれても困りますしね」
「そっか、じゃあそうしとくよ」
父上軽っ!
普通の家なら喜んで何処かの家にマリウスをやるだろうに。
そうすれば繋がりが持てるし、その家に貸しが作れますしね。
しかぁ~し、うちはそんなの求めてないんです。それにマリウスがいなくなったら政務に支障が出ちゃいますからね。
『??』
おっと可愛らしい天使達がはてなマーク状態だ。
何でもないよ~。君らは知らなくて良いんだよ~、こんな話。
目一杯2人を可愛がってから母上の元へ帰すと話は再び今回の件についてに戻った。
「マリウスの事ですが、恐らく僕が大暴れした交流戦で出自が判明したのだとは思うのですが、何か違和感を感じます」
「うん、それは僕も考えたんだけど、この数はやっぱりおかしい。多分だけど、彼を手元に置きたがってる誰かがいるんだとは思う」
う~ん、この違和感なんじゃらほい。
「こう見ると内容はバラバラだね。こっちはうちの次女と。こっちはうちの親戚と。こっちに至ってはうちの知り合いとって、滅茶苦茶だね。相手ぐらいちゃんと決めないとこっちだって乗る訳ないのに」
ん?
「父上、縁談相手がはっきりしない申し込み、特に婚姻についてあまり詳しく書かれていないものを集めてもらえますか?」
「ああ、そういうのならこれとこれと・・・・」
そして集まった申し込みの差出人、この場合差出家か?をカゲゾウに確認してもらうと
「ビンゴ」
「アシュラード様、これはまた厄介ですよ?」
はっきりしない申し込みをして来た家に共通する物それは
「はぁぁ、パトリオット公爵の派閥、その中でも特にシンプリー王女殿下に近い家ばかりとは」
父上、ファイト!!
アシュラードは応援していますぞ!
「そう言えば確か、第1王女殿下は美しい物に大変執着心が強いとの情報を報告書で見た覚えがあります。ですので推測ではありますが整った容貌のマリウスに執着している可能性もなくはないかと思われます」
ええー。それってもしかして装飾品扱いって事?
物欲が強くて執着心も並以上なタイプですか。大変迷惑な方ですね?
てか、あれ?
「第1王女って公爵家の長男と結婚するんじゃなかったっけ?」
「これも恐らくではありますが、男妾として自分の物とするつもりではないかと」
カゲゾウ君、恐ろしいこと言うね。
まぁ、歴史上男の王なんて正妻のほかに妾だったり伽役作ったりしてた人なんていくらでもいるし、女性の王族にもそういう人はいてもおかしくはないだろうけど、自分の大切な部下にちょっかい出されると思うと何かイラッとするな。
「それと関わりがあるのでしょうが、最近領内を嗅ぎ回る者が増えたようです。ご領主様如何します?」
「それは要監視で頼めるかい?多分、間引いても新しいのが入って来るだけだろうし」
「かしこまりました」
父上が領主らしい判断を出来るようになって僕ちゃん感無量でごわす;つД`)
「それにしても、王女関係以外の申し込みもこれだけあるんだから、マリウスは凄いよねぇ」
父上も感心のモテっぷり。
脱帽ですな。
〇 とある教国の教会にて 〇
「本当ですか!?」
「はい、恐らく間違いないかと」
「では、早速人を遣るのです!ルツィア様の欲する美食の知識を是非とも手に入れるのです!」
「はっ!」
「では私は早速ルツィア様にご報告して来ます。後の事は任せましたよ?」
「分かりました」
このルツィアとはとある宗教においてこの世界の主神とされる女神の名である。
しかし、この様な名の神は実際には存在しない。
教会内に飾られた女神の像に報告者は告げる。
「ルツィア様、遂にお望みの地を見つけました。遅くなってしまったこと誠に申し訳ありませんでした」
女性が跪きながら報告すると、女神像から声が返って来る。
しかし、返って来る声は室内に響くことは無い。
女性の持つ宣託スキルにより直接彼女に届けられるためだ。
(そうですか。漸く見つけましたか。ご苦労様です、よくやってくれました)
「い、いえ、そそそんな、とんでもないです!」
女性は女神と思っている存在からの労いの言葉に高揚を隠し切れない様子だ。
(それでは期待していますね?頼みましたよ?)
「はっ、はいっ!」
会話と言えるほどのものではない遣り取りが終わった。
報告の役目を終えた女性の目には新たな火が灯っていた。
ルツィア様が私めに期待を・・・
彼女は宣託スキルを持っている為この国でもかなり高い身分を持っている。更には女神ルツィアの熱心な信徒でもある。
そんな彼女が絶対的に信奉する女神からの頼みに全力にならない訳がなかった。
何としてもルツィア様に美食を奉げなければ!
この後、彼女はこの任務の優先度を最大にし、とある人物たちを派遣することになるのだが、これがまた面倒事を引き起こすことになる。引き起こした道具の神と言えば
(う~ん、ちょっと煽りすぎちゃったかな?ま、いっか)
と他人事であった。
道具の神、この世界では女神ルツィアと言う神格を用いて色々とやりたい放題する困った神の一柱である。今回の宣託もアシュラードの作り出す幾つもの美食を好きな時に味わいたいと言う利己的な考えから、行ったものであった。宣託したのは3年前の餃子パーティ後だったが、現世に介入し過ぎるのは神達の禁則事項に当てはまる為、信徒の女性には詳しい情報は伝えることが出来ず、彼女たちの捜索待ちだった。
(これでやっと美味しい物が好きに食べられるんだ。やったね)
道具の神自身は隠れて上手くやったと思っているが、何柱かの神はそれに気付いており密かにお仕置きが計画されていることを彼は知らない。
すみません。
次話以降、投稿間隔が本格的に不定期になりそうです。
申し訳ないで御座ります_(_^_)_
何卒ご勘弁下され(;^ω^)




