第49話
何か書けたので
う~む、不思議。
さて、現在会場は盛り上がっております。
中継のアシュラードです。
リッデルの方はゼンガロムこと筋肉ゴリラ選手。
あ、逆でしたね。すみません。
彼で決定のようです。
ダンジョウによると金ぴかが不満気だったようだが、アイツが出たら両国共に不味いでしょう。
碌に攻撃出来ないシルフェウス、王族の血を利用して勝利を狙ったリッデル。
うん、どっちも情けなさ過ぎるな。
さーて誰がでるのかな?
ん?何か向こうが騒がしいn
「よし!皆、帰るよ!」
ガシッ
「マリウス、キルト、何で僕の肩を抑えてるのか聞いても良いかな?」
「いえ、なんとなく」
「そーだな」
放せよ!俺の警報がグワングワン鳴ってんだよ!
今逃げないと面倒な事になるってさ!
「久しいな、アドバンス家のアシュラードよ」
うへぇ
あーだこーだやってるうちに来てしまったようです。
「お久し振りです、殿下」
再び登場ラスカルお殿下に御座います。最近会ったばっかですけどね、
そしてニコニコ笑っているが俺には分かる。
あれは悪魔の笑みだ!きっと僕ちゃんを嵌めようとしているに違いない!
「では、早速用件に入る。先程リッデル王国側から許可が下りた。13~15歳の者であれば、学生如何は問わないとのことだ。シルフェウスはその厚意に甘え、アシュラード、お主を代表とする。これは既に決定事項だ。と言う事で我に着いて来い」
拒否権がないとは、ちくしょう!
だが、諦めない!
「今日はお腹の調子が「ならば厠に行き出す物全て出して来い」
「今日は熱が「氷水を用意してやろう」
「試合に出てはいけない病が・・・・いえ、何でもありません」
なんやねん、もう!
理不尽とは正にこの事だ。
連行されるアシュラード君。
こら、君達。護衛だろ?仕事しろよ。
「ふぉっふぉっふぉ。頑張るのじゃぞ」
「御武運を」
「負けんなよ~」
てめーら覚えてろよぉ
カゲゾー戻って来て~、ヘルプミー!!
◇◇◇
あれよあれよと連れられて今、闘技場に立っています。
どしてかなぁ
そして目の前には筋肉ががががが
「代表選手では・・・なさそうだな」
「はい、訳分からずの内に呼ばれまして」
「そうか・・・・・」
良かった、この人少なくとも馬鹿なお貴族子息よりはマシな部類だ。
まぁ、ちょっとだけ良い勝負して自分から場外に行くかな?
八百長?違います。戦略的撤退です。
「おいおい、何だあのヒョロヒョロは!シルフェウスはリッデルを恐れてあのような小者を送り込んで来たぞ!」
うぜ~、金ぴかうざっ。うざっ、うざっ、うざ~。
「どこぞの下級貴族かしらんが、リッデルの礎となれることを誇りに思うが良い」
へいへい、ありがたく思いますよ~
しかし、聞こえない振り。
「おい!そこの小者!この俺が有り難い言葉を掛けてやっているのだ、こっちを見ろ!」
知らんぷり~
聞こえな~い
「貴様!〇×△※□・・・・・
何か叫んでますが知ったこっちゃないっすわ
ほな、参りまひょか~
「すまんな」
あんさんが謝る必要ないんやで?
つか、この人本気で人格者だな。
「気にしないで下さい。アレには言わせたいだけ言わせておけば良いですから」
ゼンさん(仮称)は少し目を大きくした後、ニヤリと笑った。
冗談も通じるとは、益々以て良いキャラしてるわ。
「フッ、面白い。俺の名はゼンガロム、3年だ」
手を差し出されました。
ゼンさん爽やか過ぎぃ!
こういう人とは是非とも親しくしたいね。
おっと、俺も返事しなきゃな。
「ご丁寧にどうも。私はアシュラード・アドバンスと申します。歳は13です」
こっちも手を差し出し、ぎゅっと固く握手する。
その手は鍛えられた武人の手だった。ゼンさん少しピクッてしたけどどうした?
「やはり・・・只の温室育ちではないのだな?」
おお、これが俗に言う「お主只者ではないな?」か。
きもてぃぃぃ!!まさか、自分が言われることになるとは・・・
正直嬉しいデス(∩´∀`)∩
「まぁ、うちには鬼と悪魔がいますからね。日頃から扱かれてますよ」
※事実です
「そうか、ならば俺も全力で行けるな」
うへ~、ロックオンされちゃいました~。
とっとと吹っ飛ばされて終わりたかったのに~。
先の事考えたら、手札を見せるのは控えたいけど、手を抜いたら失礼だよなぁ。
こう言う所がダンジョウに言わせれば甘いんだろうけど、無理だよ。こんな良い人騙せないって。これが金ぴかだったら遠慮なく俺の「や~ら~れ~たぁ~」の大根演技披露するんだけどさ。
「まぁ、お手柔らかに頼みますよ?」
「フ、それはお前次第と言っておく」
ちくせう。やる気満々やないですかい。
ぼかぁ、もう知りません。
「では、両者離れて!」
互いに開始時の指定の位置へ下がります。
つか、観客のリッデルが勝ったな感が酷い。
おい、誰が青もやしだ。俺を選んだのは国王だ。文句があるならあのおっさんに言えっての!
「では・・・・・・始め!!」
始まっちゃったよ。
てか、ゼンさん早速詰めて来たよ。
うん、判断が速い。この人はやっぱり学生としてはずば抜けてるわ。
「はあああああ!」
使用するのは木剣なのだが、ゼンさんが振るったら鈍器だよ。
ゼンさんの横一文字の一閃をひょいとバックステップで距離を取らせて頂きます。ひらり
「ルァァァ!」
ゼンさんは続けて詰めて来ます。こりゃボンボン君からしたら恐怖しかねぇだろうな。
だが、僕ちゃんは鬼の気迫に耐えて来たんだ!あれは・・・思い出したら涙が(´;ω;`)
その後もゼンさんの殺人剣(仮)をゆらり、ひらりと躱します。
当たったら打撲じゃ済まないだろうし。
「ふー、お前は攻めてこないのか?」
ゼンさん疑問のご様子です。
が、
「いえ、もう始めてますよ?(ニッコリ)」
私、ただふらふら避けていたのではありませんよ?
こっそりと魔法を使ってました。
動きながらだったので、時間が少し掛かりましたけど。
では、お見せしましょう。
「底無死ノ沼」
ボコッと音がするとともに、ステージの表面が揺れを起こし始める。
「なっ!?」
ゼンさん悪いね。僕ちゃんの本気はこういうのだからさ。
ゼンさんを中心とした円状の地盤が液状化を起こし、泥となって彼の脚を呑み込む。
必死に逃げようとしてるけど、厳しいと思うよ?
この交流戦、魔法の使用は認められています。
ですが、私、直接攻撃は好みではありません。罠に用いる方が好きです。
そこ!ねちっこいとか言わない!
完全に脚を封じた後、ハードフィックスで泥を硬質化する。
当然泥に足を掴まれていたゼンさんも完全に動けなくなる訳でして。
「これで、終わりですね」
持っていた木刀をゼンさんに突きつける。
ごめんね、ゼンさん。
「やられたな。まさか、魔法を使うとは、いや、おれの浅慮か」
こんな狡い手使われたのにゼンさん本気漢です!
「しょ、勝者、アシュラード・アドバンス!!」
どやぁぁ、あれれ?
皆さん、何でシーンとしちゃってるんです?
ほらほら、僕ちゃん勝ちましたよ?
うああああああああああああああ
おっと、一呼吸遅れて大歓声。
あ、ゼンさんを引っこ抜きゃなきゃ。
ゼンさんを土から出して、また握手です。
「見事だった。あの体捌きにしても魔法にしても、俺はまだまだだったようだな」
せんせぇ、対戦相手がイケメン過ぎてつらいですたい。
「いえ、近接戦で打てる手がなさそうだったので、自分は魔法を使いました。ゼンガロムさんは自分の力を誇るべきであって、卑下するのは違うと思いますよ?」
これは本当。
この人と近接戦闘やるんだったら今の私は全力でやらなきゃいけません。
ですが、それだと隠しておきたい手札を出さざるを得なくなります。
だから、そこそこ知られている、魔法での決着を選びました。
言い訳しておくと手を抜いたのではなく、限られた選択肢での本気を見せたと言った所でしょうか。
「そうか。ありがとう」
照れてる。
おい、一角でお嬢様方が「国を超えた愛、素晴らしブフォッ!!」とか言って鼻血出してますけど大丈夫でっか?
決して異性と縁がないから男に走ったりなんかしてませんからね?
兎に角、こうして交流戦は無事終わりを
「ちょっと待て!この卑怯者が!!」
終わりませんでした。
何故でしょう?
やっぱり短い超薄味バトル。勘弁して下され。
描写細かくし過ぎて以前下書きした時バトルだけで1万字いっちゃったことがありまして、どうも苦手です。
底無死ノ沼、ちょっと香ばしかったですかね?
個人的には気に入ってます。




