第38話
伏線とか張って後から「な、なんだってー!」ってやってみたいけどそう簡単には書けませんね。
王都に到着!
つかれた~な感じです。
何しろ警戒を解かないまま此処まで来ましたからね。
ホント兵士の皆には苦労を掛けます。
門番に事情を説明し捕えた盗賊を預けます。
明日、残党の尋問と我々へ事情聴取が行われると言う事で今日は軽い事情説明に留めてお暇しました。
案の定ラルフは警戒されてましたが、門番の隊長さんには話が通っていたようで比較的すんなり通してもらいました。
従魔の行動における飼い主の責任云々の話は相槌をてきとーに打ってスルーしました。折角説明してくれたのに兵士の人ごめんなさい。
けど、大丈夫。カゲゾウやマリウス辺りがちゃんと聴いてくれてたからね?
キルト?舟漕いでましたが何か?
そして王都に入れて漸く皆気を緩められたようです。
と言う事で頑張ってくれた皆に秘蔵の乾燥肉をプレゼント・・・・(´;ω;`)
くそう。刺客なんか来なけりゃ気兼ねなく食べれたのに。
おかげで、ストックが殆どなくなりました。
皆喜んでくれたからまぁ良かったけどさ。
「坊ちゃんあざーっす」
マックスうぜぇぇ
コイツ絶対分かって言ってるよ。
他の兵士達は貴重さが分かってるから最初は絶対「任務ですから」って断るんだけど、コイツだけは別だ。
分かってて辞退しない。もしコイツが謙遜して辞退したなら絶対に「あ、そうなの?分かった」って言って肉やらないのに。
そんな訳で絶対に僕ちゃんは刺客を許しません!
モッチー、ラルフ、怪しい気配を感じたら教えてくれよ?僕ちゃん直々に成敗してくれるわ!
(主、燃えてる)
プルプルプル
そうなのです。アシュラード君は燃えているのです。
この怒りの炎は簡単には消せませんよ~
「アシュラード様、めずらしい食べ物がこちらに。」
何ですと!?
「マリウス、今行く!!2人共行くよ!」
(主、単純)
プルプル
主の後ろ姿を見つめる2匹の従魔の目は生温かったとか。
◇◇◇
そして翌日、我々は詰所に行くことに。
相変わらず怖がられているラルフ君。
道行く人がビビることビビること。
普通のウルフよりでかいからしゃーないとは思うけどさ。
すると小さい子がトコトコと寄って来た。
護衛達は昨日の事もあって一応警戒するが、僕ちゃんの鑑定では問題なさそうだったので通してもらいました。
その子は女の子でラルフに興味があるようでして
「おっきいワンちゃん。かわいいの」
とラルフを羨ましそうに見てます。ガン見ってやつです。
「この子はラルフって言うんだよ?触ってみる?」
と聞くと
「いいのぉ!?」
と目を輝かせるのでこっちも嬉しくなりました。
ラルフ自身もこの子が自分に対し幼いながらの興味と好意を持っていることが分かったのか素直に少女に撫でられています。
ただワンちゃん呼ばわりされたのにはピクッと反応してたので、もしかしたら嫌なのかも。
「ラルフはふわふわだねぇ~」
と楽しそうで良かったです。
そして彼女を気に入ったようでラルフの方も顔をすりすりしたり、軽く舐めたりもしています。
この一コマもまた素晴らしいですね。
純粋な子どもと美しい一匹の狼というこの神秘感。そして、何より見る者の心を和ませる慈しみを感じます。
僕ちゃんの汚れた心にも沁み渡りますなぁ。
すると一人の男性が寄って来てこの美しい画を是非描かせてもらえないかと頼み込んで来ました。
勿論、無問題です!!是非是非描いちゃって下さいと相成りました。
詰所の方には使いを出して待ってもらいました。
そしたら何故か詰所の隊長さんがやって来ましたが。
「そんなスゲェ画なら俺も見たいんすよ。職務なんて部下にやらしときゃ大丈夫ですからね?」
と何処かのサボりマックス君と似たようなことを言っていたので、可哀想な部下さん達に心の中でちゃんと謝っておきました(-人-)
しばらくして画が描き終ったようなので、見せてもらいました。
なんかヤバいです。
すいません、自分こんな語彙しかなくて。でもそれぐらいしか言えない位とんでもない作品でした。
イメージとしては西洋の歴史画でしょうか。
宗教画程色合いは輝かしくありませんが、日の光を浴びて少女と狼の触れ合う姿がとても美しく描かれています。
作者のバームスさんも会心の出来だとおっしゃっています。
是非とも彼にはうちに来て欲しかったけど、どうやら放浪画家としてあちこちを旅することに意味を見出してるようなので勧誘は諦めました。
確かに地味にレベル40も超えてるし戦闘系のスキルも複数ありまんがな!
恐るべし、戦う画家。
画も描き終ってそろそろと言う事で女の子──リリちゃんとお別れです。
が、リリちゃんがとても寂しそうだったので家まで送ることになりました。
私とリリちゃんがラルフに2人乗りです。
とても嬉しそうなリリちゃんにこっちも癒されました。
家は近くだったようですぐに着きました。
ご両親はとても驚いていました。
まぁ、デカい狼に小さい我が子が乗って帰って来たらそりゃあ吃驚ですよね?
最後にバームスさんの画とその画の持ち主であることの簡単な証明をさら~っと書いて渡しておきました。バームスさんには別れる前に許可をもらってますから問題は御座いませんぜ?
また、証明については欲に駆られたクソ共対策としての保険のようなものです。
リリちゃん大喜び。お兄ちゃんはこんなに純粋なええ娘に大感激でごわす;つД`)
ご両親も恐縮しっぱなしでこっちはこっちで宥めるのが大変でした。
それからリリちゃん一家とバイバイして漸く我々は詰所に向かうのです。
事情聴取はそんなに掛かりませんでした。
そんで、いざ盗賊の尋問となった時、何か拒否られました。
理由としてはこれは衛兵のお役目であり、如何なる人物の介入も許可できないとのことでした。
まぁ、正しい主張っちゃ主張だと思う。
だけど狙われたこちらとしちゃあはいそうですか、とはいきません。
カゲゾウが捕まえた男が漏らした言葉から男爵家自体が標的として狙われた可能性がある。だから、詳しい事情をこちらも知りたいと、父上、カゲゾウ、終いにゃマリウスまでの正論のごり押しで何とか父上とカゲゾウが尋問の場に加わることとなりました。
僕ちゃんはお役御免となりましたので待ってようかと思います。
暇なので、モッチーとラルフと戯れることにします。
ラルフに寝そべりながら、モッチーの感触を楽しむ。
正に桃源郷である。
「ふい~、極楽、極楽。」
至福の時は此処に在りぃぃぃ!!
「主、緩み過ぎじゃねえか?」
「確かに、貴族の振る舞いとしては大きく減点ですね。」
おい、そこの若年部下2人、自分達の仕えてる主をナチュラルに酷評するなよ。
そんでもって俺を扱下ろす時だけ何で意見が合うんだよ。
まぁ、今の僕ちゃんはどんな口撃にも耐えられるから気にしないがな。
モチモチモチモチモチモチモチ
ふうう、何と言うこのモチモチ感。
(主、我も)
おお、愛い奴め。
目一杯撫でてくれようぞ。
もふもふもふもふもふもふもふもふもふ
「相変わらずのだらけ具合だな」
む、何奴!
「馬鹿もん。我だ。」
そうです変な王子です。
ギロッ
うひぃ、すいません。ナンデモナイデス。
偉大なるシルフェウス王国のラスカル王子殿下に御座りまする。
「また、変な事を考えておるな?まぁいい」
ラスカル君もこの3年で背が伸びてますね。
ですが、僕ちゃんと良い勝負ってところですが。
まぁ、小学生ぐらいの年代ってこんなもんだよな、って程度の身長です。
顔?
イケメンですよちくしょうめ!!
妬~み嫉~みが止まらなぁい
神は何故こんなにも不平等なのか、時々、切々に語りたくなるね。
(ドンマイヾ(*´∀`*)ノ)
(強くいきろ)
(顔などその者を区別する符号でしかないぞ)
慰めてるようで確実に俺のHPを削りに来る神様達。
ホント勘弁してくれませんかねぇ。
真面な助言の一つや二つでも寄越せっつうの。
「で、如何様ですか?ラスカル王子殿下」
「ここではその呼び方か、まぁ仕方ないな。それで用件だが、そこにいるエレメンタルウルフについてだ。気を付けろ、兄の派閥が狙っておる。」
ラルフを狙う?
勿論悪い意味でだろう。
「へぇ、それはどの様な意味合いで、でしょうか?」
まぁ、予想は大体つきますが一応確認の為に聞いときましょう。
「お前のその様な顔は初めて見るな。あの馬鹿共も眠れる竜を起こしてしまったな。」
ハハハハと笑ってらっしゃってますが、話の続きはよ。プリーズギブミー
「おっと、話が逸れたな。勿論従魔としてだろうな。まぁ、そこは父上との謁見が終われば迂闊には手出しして来ぬだろう。ただ、手に入らぬとなった時に何をしてくるか分からん。直接兄が出向くかもしれん」
面倒臭いな。
もうそいつらの屋敷に今からボッチ君突撃させようかな?
泥ゴンでも良いかもしれない。
「おい、目が凄いことになってるぞ。戻って来い!」
いけないいけない。あまりの事に殺伐としちゃいましたね。
平常心、平常心。
とりあえず気になったことを質問しよう。
「何故国王様との謁見後は手出しし難くなるんですか?」
「うむ。それは父上がエレメンタルウルフをお主のものと正式に認めるからだな。」
いや、認めるも何もラルフは俺の家族ですが何か?
「お主は知らんようだな。まぁ、我も古き法を調べるまで知らなかったが、国内の貴族があまりに強き魔物を従魔にする場合、国王の許可がいるらしい。言ってしまえば、一戦力の保持だからな。従魔はちゃんと飼い主に従うのか、反逆の意志がないか等を面談で確認することの意味合いが強い。」
私兵の人数制限と似たようなものか。
それにしても失礼な。僕ちゃんは国の乗っ取りなんて考えてないし、ラルフも確かに強いけど、人間がちょっかい出さなきゃ危険度はかなり低い部類の魔物なのだ。なでなで。
「そんな法があったんですね。それでは何故国王様がお認め下さることを王子殿下がお知りに?」
そう、ここが重要。
男爵家は当然現国王との面識、繋がり一切ございません。
それに国王派のトップなわけでしょ?
許す理由がない。
「ああ、お前は知らなかったのだな。巷で言う国王派のトップは父上ではない。ビトレイ侯爵、現宰相殿だ。そいつが父上を表の神輿として裏で国王派を率いておる。」
それって「俺のバックにはあの〇〇さんがいるんだぞ!」と強がる素行不良な学生の様な感じなのでしょうか?
流石にそこまで小者っぽくはないか。
てかおい、国王。名前勝手に使われてるぞ!注意しろよ!
「普通に考えれば、国王の座は長兄が継ぐのが当たり前だ。他国には女王を認める国もあるがな。そこで父上が派閥名に否を唱えたり、兄上以外の誰かを贔屓にしたりすれば、それ自体が争いをより過激なものにしてしまう。だから父上は敢えて何もしないのだ。」
ふ~ん、色々大変なんだね~。
でも、現代人の感覚から言わせれば究極の放任主義って感じでどうなんだろって思っちゃいます。
それに臭い物には蓋をって感じに見えなくもないのは私だけでしょうか?
「で、だ。父上も流石に人の従魔を理由なく奪うような真似を許す訳にはいかんのでな。兄が国王の座に着いた時、そんな事をしていたのが他国に知れれば警戒心を強められてしまうし、何より付け入られる隙も生まれるしな。」
ま、それは分からなくもない。
もし、俺が隣のリッデル王国で外交官でもやっててそんな情報耳にしたら、贈り物と耳障りの良い褒め言葉攻めでその兄上さんを好い様に利用するだろう。
つっても、城下に兄妹仲の悪さが届いてるんだから、もう目は付けられてるだろうけど。
「それについても分かりました。ですが、何故それを王子殿下がお知りなので?」
そう、これまた不思議。
な~ぜ、この素行不良王子がそんな事を知ってるのか。
「それはな、「殿下、もうそろそろ」仕方ない。済まんが此処までの様だ。」
ええ~、気になるぅ~
まさかのタイミング過ぎ~
「最後に幾つか言っておく。宰相共に何を言われようと「国王様にお言葉を賜るまでは私の意志では如何ともし難く」とでも言って煙に巻け。あと馬鹿姉が何か言って来た場合も同じくな。決して下手な事を言うでないぞ?」
失言に気を付けろってか?
ふん、任せ給え。
「心配だな。そこの利発そうな従者頼んだぞ?」
「お任せ下さい、殿下。」
おい、何でマリウスにお守頼むんだよ。
そしてマリウス君、君は何で否定してくれないんだ。まるで僕が本当に失言するとでも思ってるかの様に聞こえるぞ?その返事は。
「うむ、それと王城では全てに注意しろ。決して気を抜くな。他国程ではないが魔の住処であることに変わりはない。目に見えるもの、見えぬもの全てに気を払え。」
「分かりました。気を付けます。」
「頼んだぞ、スライム、エレメンタルウルフよ」
プルリン!
BAW!!
ちょっと!私無視!?
そりゃねぇでしょうよ
「お主に言った所で無駄な様な気がしたのでな、気にするな」
いや、それめっちゃ暴言じゃないっすか?
酷いって!
「それではな、友よ」
「ありがとう、ラスカル」
まぁ、一応僕ちゃん達を思って来てくれたんだから、お礼は言っとかないとな。
最後の遣り取りのせいで素直に言いたくないけど。
ラスカル達は戻って行った。
それから程なくして父上達は戻って来た。
益になる情報は得られなかったらしい。
詳しくは宿に戻ってからになりそうだ。
そして宿に戻ると王城からの使いが来ていた。
明日、謁見が決まったとの事だった。
少し緊張して来た。
トイレ行っとこっと。




