第36話
いつもと時間違ってすみません(;´Д`A ```
色々ありまして・・・
書けたのが0時過ぎで
ダイレクト投稿ってやったことないから怖くて、でももう出来てるから早く投稿したい。
そんな思いもあってこの時間に予約投稿となりました。
どうもらアッシュ君です。
彼女はまだいません。婚約者もいません。
アッシュは激怒した。ヒロインを用意しないかの暴虐な世界に。
ふざけんなって?
申し訳ありません。
けど、ふざけてないとやってられんのですよ。
何故かって?
王都に強制召喚喰らったからですよ!!
おかげでその間の鍛錬が後々上積みされちゃうんですよ?
更にはイリスやオルトーともまたバイバイしなきゃならんのですし。
ホント一々面倒だ。いっそのこと国を乗っ取ってやろうか!!
嘘ですよ?そんな恐ろしい事しようなんてこれっぽっちも考えてませんからね?
でも、やろうと思えば出来なくも・・・・・いけませんいけません!
最近、思考が力押しの脳筋になって来てる気がする。
これは神たちが鬱陶しいのも一役買ってると思うんだ。
だってさ、何か知らんけどまた念話攻撃が始まったんです。
「もっとチート使え」だ
「ヒロインはよ」とか
私欲混じり過ぎなお告げが多すぎる!
つか、お告げじゃないよね、これ?
それに一番ヒロイン求めてんの俺だし!!
異世界の因果律さん仕事しろって!!
(では、占ってみましょう。あなたの恋愛運は・・・・
おい、何か喋れや。
何で途中で言葉が止むんだよ。
返事して下さいよぉ~、怖いからさ~。
(強く生きて下さいね?)ガチャッ
あれ?まさかの向こうから切るパターンですか?
お~い、戻って来てくださ~い。ねぇってば~。
バックレやがった。もう、明らかに結果駄目っぽいよね?
良いよ、良いですよ。どうせ二度目の人生でも彼女はできんのですばい。
わっちは自由に生きるどん!
「・・・様。アシュラード様。」
「あ、ごめん。考え事してた。」
「・・・確かに体調が悪いという訳ではではなさそうですね。もうすぐ街に着きます。」
ホント最近信頼が足りてない気がするんです。
具体的に言うなら某ゲームで友情タッグが発生しないぐらい低い気がします。
何故だ。
「アシュラード様、ラルフ殿の元へ」
有無を言わせぬマリウス君の怜悧な目付き。どうして逆らえようか、いや、逆らえまい。
「ラルフ様困らせるなよ、主」
キルトめ~、何故俺には敬意を払わんのだ、全く!
2人共、何故かラルフに敬意を払うのだ。
僕ちゃんに対してよりも。
終いにゃ泣くぞ、こんちくしょう!!
すたこらさっさとラルフの元へ。
んで、
「ラルフ、もうすぐ街だからまた頼むな?」
(主、大丈夫)
「それじゃ、失礼っと!」
ラルフの背に乗せてもらいます。
モフモフで気持ち良いのです。ラルフの毛は毎日僕ちゃんがシャワーしてブラッシングしてるので綺麗です。
そしてラルフですが、ワイの事を主と呼ぶようになったんや!
ごほん!失礼。
これはモッチーとの取り決めらしいのだが、詳しいことは分かりましぇ~ん。
ウザいだって?殴れるもんなら殴ってみろや~い。俺にはラルフがいるんだからなぁ、怖くなんかないもんね~。
(主、変)
あ、すいませ~ん。
お、街の入口です。
「うわっ!!」
「ひぃっ!!」
相変わらず、怯えられてしまうラルフ君。
けど、本人は全く気にしてないんですね~これが。
門番さんゴメンね?
見た目怖いかもしれないけど、ダイジョブだから、そう震えないでくれって。
ラルフは見た目は普通のウルフと大差ないけど、軽く二回りはでかいのだ。
その大きさに皆ビビってる感じです。
「こんな大人しいのにな。」
そう言って至高のモフモフを堪能です。モフモフ
(?)
「何?」って顔してます。
この顔を見ると全く怖さなんて感じないんだけどな~、皆勿体無い。
ぷるぽよ~ん
モッチーがラルフの頭に飛び移りました。
ラルフも特に気にしないようです。
この2人(?)は大体こんな感じです。
出会ったのはごく最近なのに喋らずとも通じ合ってるような素振りを見せるのです。
僕ちゃんちょっと寂しいっす。
父上は護衛を連れて領主へ挨拶へ行きました。
僕ちゃんも行った方がいいのだろうが、今回はラルフが居ると言う事でお留守番です。
吃驚させちゃまずいですからね。
と言う事で僕ちゃん達はお散歩中。
(主、いい匂い)
鼻の良いラルフがいち早く食べ物の匂いに反応する。
お腹減ったのかな?
そういう訳で露店を色々物色中。
焼き鳥うまうま。フライドモーイうまうま。お、何だアレ?
全く客足が遠ざかってる店があります。
ただ、僕ちゃんのうまいものセンサーがあの店を指しています。
なので気にせず、いざ出陣!
〇 とある露店売り オコノーミ 〇
「おっちゃん、何売ってるの?」
全く客が来なくて店を閉じようかと思っていた時に子どもがやって来た。
でかいウルフとスライムを連れ後ろにはお付きの者らしき姿もある。
こりゃ、どっかの坊ちゃんだな。
「そう言うあなた様はご貴族様ですかい?」
「うん。一応男爵家の長男なんだ。あ、敬語とか使わなくて良いから。堅苦しいの好かんですし」
何だこの坊ちゃん。
変わった事言うな。
俺の記憶にある貴族やその子息達は偉そうで何時も踏ん反り返っていたが。
お付きの者達が口を挟む様子がないと言う事はとりあえず坊ちゃんの言う事に嘘は無いってことだろう。
「そうですかい。それじゃあお言葉に甘えさせて頂きますわ。で、自分が何を売ってるかって言うとですね・・・これですわ」
「ほう・・・」
「卵と小麦粉を混ぜたものに薄切りにした肉を混ぜて焼いたものなんですがね?何かが足りないと食べたお客さんから悉く言われるんですわ。」
坊ちゃんはじっと見ている。
高貴な方はやっぱり口が付けられないか。
すると坊ちゃんが急に人が変わったように跳び付いて来た。
「おっちゃん!!マジ天才!!」
「へっ?」
「そうだよ。何で思い付かなかったんだ。これなら・・・・・・・」
そして急に自分の世界に入ってしまった。
ブツブツ何か言ってるが、その姿には鬼気迫るものがある。
というか狂気すら感じるんだが。
「あのぉ~、ほっといて大丈夫なんですかね?」
「何れ戻って来ますのでお気になさらず。」
お付きの人も全く止めようとしない。
何処となく投げやりな感じだ。諦めてるのか?
この坊ちゃんは何時もこんな感じなのかもしれない。
少しして坊ちゃんの意識が戻って来た。
そしていきなり何もない所からあるものを取り出した。
空間魔法使えんのかよ!?
こいつはぁうらやましいぜ。
「おっちゃん!今からタレ作るからそれを使ってみてくれる!?」
圧が凄い。
もし断ったら俺は死ぬだろう。
それ程の意気込み様だ。
まぁ、何かのきっかけになるかもしれないし、やってみるか。
「おうよ。どうせ人なんか来ねぇしいいぜ。いっちょやってみな!」
「いよっ!おっちゃん、男前!!」
「馬鹿野郎!そんな褒めんなって。」
何かこの坊ちゃんは貴族って感じがしねぇな。
兎も角そのタレってのを見せてもらおうかね。
「そいじゃあ、自家製お好みソースを作りま~す」
オコノミ?俺の事じゃないよな?
名前言ってない筈だし。
坊ちゃんは取り出した数種類の液体を混ぜて行く。
作業自体は短いが、何度も試行錯誤しているようだった。
そうして出来上がった見た目は黒く、正直食べられるのか微妙なところだと思う。
「あ、見た目で疑ってるでしょ?このソースを焼いてる最中に掛けてみてよ?多分それで分かる筈だからさ。」
言われた通り生地を焼き、固まって来てからタレを掛ける。
すると鉄板に落ちたタレがジュワーと音を立て一気に凄まじい匂いが周囲に広がる。
「な、なんだぁ?」
訳が分からない。というか涎が止まらねぇ。
そしてふと顔を上げると何人かの人が足を止めてこっちを見ている。
「良い匂いでしょ?これがまた食欲をそそるんだよね~」
そう言って出来上がった料理を口に運ぶ坊ちゃん。
ウルフにも食べさせている。
「美味しいか?」と坊ちゃんが尋ねるとウルフは一吠えしてまた食事に戻っている。
その食べるのに必死な姿は暗に出来の素晴らしさを証明してくれる。
「俺にも1つくれ!」「俺もだ!」
その様子を見ていた人たちから、次々と声が上がる。
「ちょいとお待ちを!」
こりゃ忙しくなるな、腕が鳴るぜ。
◇◇◇
それから一刻で用意していた生地の元が切れた。
俺も只管焼いていたから足が震えてるぜ。
「中々の繁盛っぷりだったね。」
「これは坊ちゃん、ありがとうございやす。おかげで助かりましたぜ。」
タレを融通してくれたんだからお礼をしないとな。
そう思って売り上げの半分を渡そうとするのだが、
「いらないよ?って言うかこっちが感謝したいぐらいだし」
と全く受け取って貰えない。
それどころか、トメートケチャップやソース等のタレの材料からその配合まで教えてくれる始末で、アドバンス男爵領でそれらの調味料を造っている店への招待状までその場で書いてくださった。
トドメは魚介、チーズなどを使った複数のレシピまで。
もう俺はこの人に足向けて寝られねえわ。
その翌日、アシュラード様は王都に向けて街を発たれた。
その際、この料理を「オコノミ焼き」と名付けて下さった。
俺の名前と被って丁度良いからと笑って仰っていたが、本当に良いのだろうか?
とりあえず、俺は男爵領へ行こうと思う。
そこで調味料を仕入れて研究しなきゃな。
教えてもらったことやってるだけじゃ意味がねぇんだ。
俺の作ったオリジナルのオコノミ焼きをアシュラード様に御馳走する。
これが俺の今の目標だ。
オコノミ焼き王 オコノーミ
フェルシウス王国生まれで、30歳過ぎまでは只の露店売りだったが、「オコノミ焼き」の開発により一躍脚光を浴びる。
肉・チーズ・魚介と様々な材料を組み合わせ百を超えるオコノミ焼きを作りげ、平民から王族まで多くの人々の舌を虜にしたとされている。
更には「オクト焼き」も開発し、王族などからお抱え料理人の誘いを数多く受けたがそれらを全て断り、自分の店で粉物料理の研究に一生を費やしたとされている。
また、強引に彼を手元に置こうとした貴族は何れも破滅、もしくは謎の死を遂げており、一部では彼の後ろには超大物の貴族がいるだったり、オコノミ焼きを愛する神の裁き等と根拠のない噂が後を絶えなかったと聞く。
彼はオコノミ焼きで巨万の富を築いたとされているが、その大半を研究に費やすか、職を持たない者への援助等に費やしたとされ、現代でも彼に憧れを持ち料理人を目指す者は少なくない様に、当時の民衆からは高い人気があったことが分かっている。
そんな彼だが、「オコノミ焼き」の始まりについて協力者の「坊ちゃん」なる人物との出会いを嬉しそうに語っていたとされているがその人物は依然としてどの様な人物かは判っていない。
オコノーミの弟子シヴォーツカによると本人はごく偶にふらっといなくなる時があったと言う。そしてその次の日には戻って来て、より一層オコノミ焼きの研究に励んでいたとの記述が残されている。
著者はこの時オコノーミは「坊ちゃん」なる人物と会っていたのではないかと推測しているのだが、何分証拠がないので明言できないのが悔しい所だ。
・・・・・・・
最後に、彼の作ったオコノミ焼きは先に記したラスカル・シルフェウス、その懐刀アシュラード・アドバンスにも深く愛され、オコノーミが亡くなった際、彼等2人が直に花を供え労を労ったとの言い伝えは彼の偉大さを示しているのではなかろうか。筆者はそう考える。
フォント・レジストーム著 『シルフェウス王国偉人伝』より
この話は勢いで書きました。
なのでオコノーミさんは多分これっきりの出番になるかと。
最後の辞書的な描写は一度やってみたかったのもあって入れてみました。




