第4話
テンポがゆっくりです。文量が少ないのが原因ですが。
それでも読んで下さっている皆様、ありがとうございます。
m(_ _)m
うん?何だ?真っ暗だぞ?
転生失敗か?
「おぎゃぁーーー」
うわ!?何か勝手に声が出ちゃったぞ?
「おめでとうございます。男の子ですよ」
「あぁ我が子ってこんなにも愛しいものなのね?元気に生まれてきてくれてありがとう」
その言葉に偽りはないように思えた。その安心感からか急に眠くなって来た。
「あらあら。頑張ったから眠いのね。ゆっくり休んでね」
そして俺は意識を失った。
俺が異世界オリシスに生まれてから恐らく一月程経った。
目も見えるようになってからは兎に角見るもの全てが新鮮だった。
だが、流石にずっと同じ部屋にいるのは飽きたので他の部屋を見てみたくてアピールするのだが、お腹が減ったかトイレの要求としか見てもらえず退屈になってきた。
なので魔法の鍛錬をしようと思います。決して今まで忘れていたわけではございませんよ?本当ですよ?
とりあえず、「鑑定」と唱える。「鑑定」が「えあぁうぇ~」になるのはご愛敬。だが何も起こらない。何故だ!?今度は「(鑑定)」と心の中で念じてみる。
すると、体の中で何かが動く感覚があった。これはもしや・・・何だろう?あっ!これが魔力か。
そして二回目にチャレンジしようと思った瞬間、意識が途絶えた。
目を覚ますと大分時間が経っているようで、窓の外は薄暗かった。
俺、もしかして気絶しちゃった?
そう言えば神様、赤子は総じて能力低いみたいなこと言ってたよな。俺のMPとかどのくらいなんだろ?
ガチャッ
部屋の扉が開いて二人の女性が入って来る。一人は所謂メイドの服装をしているが鋭い目つきに眼鏡の組み合わせで、整った顔立ちからはデキる秘書のような印象を受ける。彼女はミッシェルさん。うちの若手メイドたちのまとめ役である。もう一人は輝く銀髪を背中まで伸ばし、こちらは穏やかな美人といった顔立ちでほんわかした笑みを浮かべている。この人こそが俺を生んでくれた母、マリアンヌさん。二人ともピチピチの22歳だ。こっそり盗み聞きしたんで間違いないデス。ん?耳にしただけだから僕ちゃんは悪くないのです!!
「エリー、うたた寝するとは余程暇なようですね。良いでしょう。そんなに暇なら屋敷の掃除もお願いします。よろしいですね?」
ミッシェルさんが俺のいた部屋で居眠りしていたこれまた若いメイドさん、エリーに注意する。
エリーは「そんなぁ~」とか言ってるけどミッシェルさんは聞く耳持たないな。
しょうがない。
「あう~。あい、あい~」
声を出して気をこちらに逸らさせよう。
すると母さんが反応してくれた。
「あらあら。どうしたの?アッシュ?」
そして、俺を愛称で呼んでくれる。うーん、美人だ。
俺の第二の人生でお世話になる名はアシュラードだ。阿修羅なのかラードの亜種なのか分からんが両親が必死に考えてくれたようだし、使用人たちの様子からも向こうの世界で言うキラキラネームとかじゃなさそうなので気にしないことにする。
それとうちの家名はアドバンスと言うらしい。これを聞いたとき某ゲーム機を思い出したのは俺がおっさんだったからという訳では決してない。・・・・・その筈だ。
マリアンヌさんは優しく頭を撫でてくれる。嬉しいが正直恥ずかしい。なんてったって中身は40のおっさんなのだ。だけど、こうされると笑ってしまう。どうも体の方が正直に反応してしまうようだ。
「喜んでくれてるの?やっぱりアッシュは可愛いわぁ。そうよね、ミーシャ?」
俺を抱えるとミッシェルさんに話し掛けるマイマザー。
僅かではあったがミッシェルさんの頬が緩んだのを俺は見逃さない。彼女に向かって手を伸ばす。
「みー、あー、うー。」
「アッシュ?もしかしてミーシャに抱っこして欲しいの?」
そう言うとマリアンヌさんは俺をミッシェルさんに預ける。
あ、ミッシェルさんの鉄仮面が剥がれ落ちそうだ。この人見た目クールだけど赤ちゃんとか可愛らしいもの大好きなんだよなぁ。よく、俺を見に来ては普段とは全く違う緩み切った顔を見せてくれるし。
「ミッシェル様はよく坊ちゃまを訪ねてますから、もしかしたら顔を覚えてらっしゃるのかもしれませんね」
昼寝メイドエリーが何となく思ったことを言う。
すると即座にミッシェルさんがそれに反応し、
「本当ですか!?坊ちゃま?」と俺に聞いて来る。
「あい~。うっ、あう~」
覚えてますよーと両手をパシパシ叩く。
「坊ちゃま・・・・・ミッシェルは嬉しいです!」
とキャラ崩壊したミッシェルさんが抱く力を強める。く、くるしいデス。
「ミーシャばっかりずるい!私がお母さんですよー」
お母様が俺をミッシェルさんから奪い取り、俺をあやす。反応しないと可哀想なので返事をする。
うん、喜んでくれてるようだ。
二人が十分に堪能し、お乳をもらい終わった俺をベッドに戻し、名残惜しそうに部屋を出ていく。
そして難を逃れたエリーが寄って来る。
「助けてくれてありがとねー、アッシュ様」
そう言って頬をつついてくる。
普通なら使用人としてはやってはいけない部類の行為だろう。だがこの明るさや親しみやすさこそが彼女の魅力だ。だから俺は全く気にしない。ただ、愛称と敬称が一緒になってるぞ。気を付けろよ。
ふわぁ、眠くなって来たな。さっきまで気絶してたのに。
今日はもう寝て、明日から頑張ろう。
あぁ、次の日に仕事がないって素晴らしいな。
では、おやすみなさい。