第33話
今日は筆?指?が進んだので連日での投稿です。
ゴロツキ冒険者達と揉めた翌日、遂に討伐隊が出発しました。
向かうのは森林前の平地で、その理由はできるだけ戦線を街から遠ざける為です。
魔物の方もちょくちょく斥候らしき集団が森林の入口付近に見られるようになったとの情報もあり、もう猶予は残されてないと見て良いでしょう。
そして、こちらの士気だが些か問題がある。
そう、ゴロツキ冒険者共だ。
子爵領にいた奴らは一番レベルの高い者でも32で、スキルレベルも軒並み低い。
つまり実力がないのだ。
そんな連中だから、戦術理解に期待できる筈もない。
中には仲間同士で皮算用な話で盛り上がってる奴らもいる。
気が早すぎるだろ。
どんだけ~。
奴ら全員がそうと言う訳ではないが、周りの兵士達の中にはそれを見て不安そうな者、腹を立てている者がちらほら見られる。
「百害あって一利なしって正にあいつ等のことを言うんだろうな。」
「言い得て妙ですね。とりあえず、あの者達は優勢な内は何とかなるでしょう。ただ、劣勢に陥った場合の事を考えると・・・」
カゲゾウは口には出さなかったけど、
真っ先にケツ捲って逃げそうだよなぁ。
ホント頭痛の種ですわぁ。
宝くじを買って、「もし100万、1000万当たったら」とか考えるのは別に良いですよ?誰に迷惑かけてる訳でもないですし。
でもね~、戦う前から余裕ぶっこくのは少々違うと思うんですよね。
その油断で、何人の命が消えるかって言うのが分かってない。
過度の緊張は良くないけど、緩み過ぎなのは尚更いかんのです。
ただ、面子を気にするあの輩に注意して素直に聴くとは到底思えない。
「とすると、カゲゾウ。ちょっと」
ゴニョゴニョゴニョ
「分かりました。他の隊にも連絡しておきます。」
中々下衆な策だったんだけどな~。
一切反対しないってことはカゲゾウも考えてはいたのかな?
お主も悪よのぉ~
「坊ちゃん、スゲー悪い顔してますぜ?」
おっと、危ない。顔に出てたか。
気を付けましょう。
「まぁ、何となく想像はつきますがね。」
そう言うと、へらへら笑ってゴロツキ共の方に目をやるマックス君。
俺がよっぽど分かりやすいのか、それとも周りの奴らの思考が似たり寄ったりなのか。
「ナニヲイッテルノカボクニハマッタクゼンゼンワカリマセン。」
「別に責めようって訳じゃないんですぜ?寧ろ戦術としては正道。まぁ、人道的には少し道を逸れてるかなって感じですがね?」
いや、もう最後の一言が全てですよね?
オブラートに包んで言ってるつもりかもしれないけどバッサリ言っちゃってるからね?
「マックス、それ褒めてもないし、完全に駄目な物言いだよ?」
「坊ちゃんがそう思ったってことは、自分自身がそう思ってるってことじゃないですかね?」
いやらしい言い方だな。
否定できない。
よし、領地に戻ったらミッシェルさんにそれとなくチクってやる。
これは恣意的な報復ではない。上司から部下の奥さんへのただの報告だ。ケケケ
ホウ・レン・ソウ大事です。
そんなことを考えてるうちに目的地に到着し、それぞれの隊のまとめ役が集まって最後の確認を簡単にやってます。この後、すぐに討伐開始です。
案の定アッシュ君の隊は後方への配置が決定しました。
そして、ここでまた問題が。
ゴロツキ冒険者達が兵士達とは別行動したいと宣った訳です。
目的は単純、手柄や魔物の素材目当てです。
おバカさんですね。
唯でさえ多くない兵数を更に分けようとするなんて。
まぁ、条件付けて許可しましたけど。
ブランドさんの目とか冷め切ってましたからね?
まぁ、そんな周囲の冷めた雰囲気にも気付かず、ゴロツキリーダーは喜んで戻って行きましたよ。
「アッシュ、本当に良かったのかい?あれでも一応数合わせにはなると思うけど。」
そう聞いて来たのは従兄のミンヒルト兄さん。
伯父さんとこの長男で今回の討伐におけるトップでもあります。
尚、この人もイケメン。幸の薄そうな儚げ系のイケメンでふとした溜息とか考え込む姿がテライケメン。
そして性格も優しい親戚のお兄ちゃんって感じで好感度増し増しです。
それでもって16歳にして剣術スキルもレベル4で教養もある、天が二物も三物もあげちゃった様な方です。神様仕事しすぎだろ。
(貴方はイケメンじゃなくてざんnブツッ!!
(気にするな!!男は顔じゃnブツン!!
あーあー何も聞えませーん。
ホント役に立つこと何一つ言わない神様方をクーリングオフしたい件について。
おっと、返事しなきゃね。
「逆に邪魔になると思いますよ?兵士達と違って集団戦闘の訓練なんて碌にしてないでしょうし、経験もないでしょう。だったら、いっそのこと切り離してしまった方が指揮系統に余計な混乱が生まれにくいと思うんですよね。」
「なるほど、その様な考え方もあるのか・・・それでその抜けた分はアッシュが補うということで本当に良いんだね?」
「はい、正直信用できないと思う人もいるでしょうが、必ずやってみせます。」
「その言葉が聞きたかったんだ。皆、良いね?」
『はっ!!』
集まっていた兵士達が一斉に返事をする。
多分あの中に異議を唱えた人がいたんだろうな。
まぁ、高々10歳の子どもの力を戦場で信じろなんて言われて信じる方がどうかしてるか。
確認が終わったのでそれぞれ所定の位置に戻ります。
そして森の入口で肉を焼きます。
何故かって?勿論誘いでっせ。
単純故に非常に有効なのです。
『GYAGYAGYA』
案の定ゴブリンが数匹釣られて出て来ました。
う~む、初めて見るけど遠いから顔は分からんな。
聞く所によるとかなり嫌悪感を与える醜い顔ってことだけどどうなんだろ?
「いくぞ!!俺らが一番だぁ!!」
ゴロツキリーダーの威勢に釣られてダメダメ冒険者達が突っ込む。
「ヒャッハー!」とか何処の世紀末さんでしょうか?
圧倒的人数差でゴブリン達を始末してます。
まぁ、あれぐらいはやってもらわないと困りますから、褒めはしませんよ?
これこそが彼等へ与えた条件、一番槍。
その役目が終わったら、森の中での討伐における単独行動を許可すると言っておいたのです。
彼等は意気揚々と森の中に入って行きましたとさ。
「見事に掌の上で踊ってくれるね?」
「あそこまで短絡的だと群れに出会した場合、逆にすぐ逃げ帰って来るのではないかと。」
カゲゾウ君の懸念も最もだ。今回の肝の一つはどれだけ彼等が蹂躙されるかに掛かっている。相手のテリトリーに安易に踏み込み、滅多矢鱈にやられて逃げる彼等を追い掛けて来たのを排除する。これが第一の作戦だ。捨て駒なんて酷い等と言う事なかれ。これも人材の有効活用なのだ。
「いや、僕は彼等を信じるよ。良い撒き餌になってくれることを!」
あれ?皆何でそんなドン引きな顔してるんです?
冗談だからね?お~い。
「アシュラード様、思っていても口に出してはならないことが御座います。」
しゅみましぇぇん。
おふざけが過ぎたようですね。
さてさて、もっと肉を焼きましょう。
ついでにゴブリンの死体も森に投げ込んでおきましょう。
血の臭いに気付いたまもさんたちが来るかもしれませんし。
少しすると、森の中から監視役の兵士とうちの空忍が出て来ました。
彼等の報告によると、森に入ってからしばらくは魔物がいなかったらしく、ゴロツキ共はどんどん奥に進んで行ったらしい。
冒険にも程があるでしょうに。
そして彼等も続こうとした時、その奥から無数の気配を感じ取った為、切り上げて戻って来たとのことでした。
「となると、準備しといた方が良いかな。」
「それが賢明かと」
うっし!
やったりますか~。
イリス、オルトーお兄ちゃん頑張るからね。
(兄馬鹿も此処まで来るとびょうkブチン!!
今日は神様方がよく出て来ますね?
戦いと言う事で沸き立ってるんでしょうかね?
一々面倒なんですよね~これ
「アシュラード様!来ます。」
カゲゾウの探知能力優秀過ぎです。
いや、本当に楽ちんです。
「了解。皆も準備しといてくれ」
『御意!』
「ひいいいいい!」
「た、たすけてくれええええ!!」
三下君たちが逃げ帰って来ましたね。
数は・・・4か、かなり減ったな。
後ろから魔物が追って来てますね。森から出て来てくれるかな?
GARRRRRRRRRRR!!
GYAAAAAAAAAAA!!
おー、怒ってますねー。問題なく付いて来てくれてるようで一安心。
ほら餌共さっさとおどき!
でかいの一発いくぜぇ~
「と~く~だ~い~ピットフォール!!」
直径凡そ20メートル程の特大落とし穴を作成。
まもさん達は可哀想なことに見事にホールインワン状態。
「うわあああああああ!」
ったく、ゴロツキ共まで一緒に落ちてどうすんねん。脚遅いなぁ。
しゃーない。
「アースバインド×4、か~ら~の~スローイング!」
落ちたお間抜けさん4人を土の鞭で掴み取り地上に投げ飛ばす。
扱いが酷い?命助けてやったんだから感謝して欲しいくらいですわ。
穴の深さは大体5メートル程、急がないと穴からゴブリンやらウルフやらが這出てきちゃいます。その数ざっと50いかないくらい。少ないけどいないよりマシか。
それじゃあ逝きますよぉ~!
「アースニードル!!」
穴底や土壁の側面から無数の土の棘が突き出し魔物達を串刺しにして行きます。
「いやぁ、このコンボは初めて使うけど効率良いなぁ。」
「!?アッシュ、今初めてって言ったかい?」
「?はい。確かにそう言いましたが?」
ミンヒルト兄さんが頭を抱えている。
はて?何か不味い事言ったかね?
「アシュラード様、今作戦の肝である連続魔法を今回初使用と聞けば誰でも頭を抱えたくなります。」
はい、カゲゾウさんごめんなさい。
ミン兄さんもごめんなさい。
「ま、まぁその事は一旦置いておこうか。」
重ね重ねすみませんです。
兵士の皆さん、そんな目で見なくたっていいんじゃないんでしょうか?
「来ました!規模は先程の倍以上!」
おっと団体さんがまたいらっしゃったようです。
「総員!戦闘準備!!」
ミン兄さんの声が響き渡る。
見た目と違ってよく通る声だな~と思ってると、お客さん達がドタバタとやってきます。
GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!
うん、さっきのも結構スゲェなと思ってたけど今度のは更に凄い。圧が。
出るわ出るわ。
こりゃもう一発ぶちかました方が良いかもな。
「ミンヒルト兄さん、もう一発でかいのいきますんで、後お願いします。」
「助かる!総員、従弟殿の魔法攻撃の後突撃する!心せよ!」
『応っ!!』
それでは参りましょう。現時点での俺の超必殺技。
イリスやオルトーに「兄様(兄上)凄い!」と言われんが為に改良に改良を重ねた血と汗と涙の結晶。
「泥門!!」
水、土の魔法を併用し泥沼を作り出す。
よしよし良い感じ。
「か~ら~の~泥ゴン!!」
すると泥沼から三匹の龍を模った泥の塊が魔物達を襲う。
質量に押し潰され、泥に引きずり込まれ、魔物達はどんどん数を減らして行く。
この泥門からの泥ゴンは個人的に召喚術をイメージしました!!
自信作です!!
あれ?皆さん何を呆気に取られてるのかな?もうすぐ泥ゴン消えちゃいますよ?
「ミンヒルト兄さん!!」
「・・・はっ!」
良かった、気付いてくれた。
「アッシュ、あの泥の中我々はどうやって魔物の元に向かえばいいんだい?」
「あ、それについてはご安心下さい。それより準備お願いします。もうすぐ泥ゴンが消えます。」
「わ、分かった。総員突撃準備!」
何だかんだ従ってくれるよな~
では、
「ハードフィックス」
泥ゴンが泥に戻りその泥や泥沼が一気に硬質化する。勿論、泥の中の魔物はそのままで。
はい、ほぼ元通り。
この一連のコンボかなり魔力使うんだよな。その代わり威力はずば抜けて高いんだけどね。
因みにこれも実践では初披露。練習では人の居ないところで何度かやってたんだけどね。
「もう大丈夫です。ミンヒルト兄さん。」
「アッシュはホント規格外だよね、はぁ」
その溜息の所以は如何に!
すいません、私が悪いですね。分かってますって。だからカゲゾウ、そんな目で見るな。
「では、気を取り直してっと・・総員!突撃ぃぃ!!」
『おっ、おおおおおおおお』
皆さん後はお願いしますね?
僕ちゃんはちょいと休憩です。
プルプル
モッチーが光ると、失った魔力と精神的な疲労が回復していきます。
「ありがとう、モッチー。」
プルプルプル
あ~、ほんと天使や~。
モチモチモチモチモチモチモチモチモチモチモチ
「アシュラード様、今はお控え下さい。」
はっ
いかんいかん。
ごめんね、モッチー
フルフルフル
気にしないって?
ありがとう。
それにしても、皆さん頑張ってますね~。
かなり間引いたとはいえ、まだそこそこいますからね。
「大丈夫そうだね?」
「はい、ですが群れの長らしき魔物が現れないのが気になりますね。」
言われれば、確かに魔物の指揮官らしき奴の姿が見えない。
「まだ様子見してるってこと?」
「何とも言えませんね。ですが、その群れの長が現状そこまで追い詰められていない可能性はあります。」
これだけこっちが圧倒してるのにまだ余裕あるって一体・・・
その時だった。
WOOOOOOOOOON
戦場にいる全ての人や魔物が声の先に視線を向ける。
そこには一匹の狼らしきものがいた。
大きさは普通のウルフより一回り程大きく、体を覆う毛はきつね色でとても美しい。
更に額には黄金色に輝く石が見える。
なんだあれ?と思っていると
「エレメンタルウルフ・・・・」
誰かがそう呟いたのが聞えた。
ちゃんとチートっぽく書けてますかね?
描写についてはこれからも努力していく所存であります(`・ω・´)ゞ
あと泥ゴンについて、日本〇ばなしのOPに出て来るような蛇に近い体型をご想像頂ければと思います。
それとあくまで泥ゴンは造形物のカテゴリーで生命体ではないです。
もし誤解させたらすみません。




