第25話
今回はまったりです
だだ今、子どもたちに勉強を教えています。
皆真面目ですね。この子たちが次代のフロンテルムを担うことになるのですからこっちも真剣ですよ~?
今は算数の時間です。僕ちゃんが教えているのは3~5歳までの子たちで、うんうん言いながら問題を解いています。問題は一桁、若しくは二桁の足し算・引き算で、とりあえず基礎を覚えてもらっているところです。必死に両手を使って数えている子からスラスラ解いていく子まで様々ですがその目はどれも真剣です。
問題が解けなくて愚図りそうな子には一緒に数を数えたりして何とか頑張ってます。
因みにヘレーヌの一人息子ラムトが俺の補佐として教室を見回ってくれています。
ラムトは現在6歳なんだけど既にこの歳にして四則算をほぼマスターしているのです。
流石ユニークスキル「数理」を持つだけあるなぁ。
字面からして将来的には自力で関数とか、数列とかまで考え付いちゃうかもしれないね。
将来は是非うちの経理をよろしく頼むよキミィ。
お昼になったのでお勉強は一旦お開きにして昼ご飯です。
この託児所(学校)では給食が採用されています。
子どもたちはたくさんおかわり出来て嬉しそうです。
ちゃんと料理人が作ってくれているので味も満足出来るものとなっています。
偶に残りのおかずの取り合いが起こっていましたが、じゃんけんを教えると嘘のように揉め事が減りました。じゃんけんの偉大さを実感するとは思いませんでした。
子どもたちに「ここは楽しい?」って聞くと皆笑顔で頷いてくれます。
「みんなでご飯食べるの楽しいの!」とか
「文字書けるようになった!」とか
「計算難しいけど、嫌いじゃないよ。」だったり
この様に子どもたちが心からこの場所を気に入ってくれているのが凄く嬉しいです。
何より親御さんにも好評です。
何故かって?
そりゃあ、授業料から給食費まで無償だからですよ。
その理由は、此処がうちの領地に滞在している者しか通えないし、その数も限られているからできることなのです。
現代みたいに車や交通機関なんてないから他領からは来ないしね。
維持費なども全てアドバンス家が出資しています。
この中から何れ優秀な人材を発掘できるんだから安いもんですよ。
そして此処は勉強だけじゃないのです。
身体を動かすのが得意だったり、魔法の素質がある子には親の許可を貰った子に限り、それぞれの鍛錬をさせています。極々少数ですけどね。勿論勉強もした上でですよ?余りにも勉強を疎かにしていると、私が考案した強制3日間勉強地獄というのが待っています。で、不思議なことにこれを経験すると皆ちゃんと勉強するようになるんです。
ナゼデショウネ?
そんなこんなで本日の授業が終わり子どもたちは帰って行きました。
彼等の「アッシュせんせぇ~バイバーイ。」にはつい口元が綻んでしまいます。
子どもたちが全員帰ると教室内の清掃です。
幼い子のいるクラスでは掃除は先生がやることになっています。
理由は当然、小さい子に掃除させるととんでもないことになるからです。
箒で掃く、布で拭く、机などの物を動かす、そう言ったことが理解できてない子の方が圧倒的に多いですからね。
掃除を終えて屋敷に戻ってモッチーと一息ついていると、眠くなって来た。
「いかんぞぉ、まだ早い。・・・・けど、今日は朝が早かったからなぁふわぁぁぁぁ」
ゴロリ
次に目を開けると其処には何もなかった。
「此処は・・・」
「久し振り、と言うべきなのですかね。柳川明夫、いえアシュラードでしたね」
その声は俺がこの世界に来るきっかけを作った奴の声だった。
「神様か!」
「はい、そうですよ。因みに今回のこれは異世界に来た者達全てに行なって来たことですから特別なことではないので安心して下さい。」
そう言われても安心できない神様クオリティ。
キャラメイクの時の屈辱、俺は忘れない。
「そんな細かい事気にしてるからモテないんですよ。」
よし、喧嘩売ったな?買うぞ?
いざ、(四十)七歳の怒りの拳を受けてみよ!!
「茶番はここまでにして、オリシスでの第二の人生はどうです?」
これですよ。
自分で振って最後はちゃぶ台返しで放り出す。
何てテキトーさ。
「どうって言われてもなぁ。まぁ、充実はしてるよ。」
「それは良かったです。以前に「これは俺の考えていたのと違う!詐欺だ!やり直しさせろ!もっとチート寄越せ!」なんて言う方もいたので心配していたのですよ。」
うげぇ、クレーマーを超えてモンスターだなそりゃ。
確かにキャラメイクの時は引っ掛けとか有りはしたけど気を付けてればそんなに問題はなかったと思う。
そいつはそれに見事に引っ掛かったか、若しくは転生・転移後に軽率な行動をして窮地に立たされでもしたんだろう。
「あんまりそいつには同情できないな。アンタがキャラメイク時に騙したとかなら話は別だけど。」
「そんな!!私はその人がキャラメイクが終わっても「最強になれるチート寄越せ」とどうしても|仰った(煩かった)のでスキル「|さいきょう(最凶)」を与えただけですよ?」
「いや、そいつもかなりのアレですけど、そんなおっかなさそうなスキル投げつけたアンタも十分鬼畜だよ!」
「私の善意を鬼畜だなんて、酷いですねヽ(`Д´)ノプンプン」
無言です。スルーです。もうその手には乗りません。
・・・・・・・・・・・・・
「いや、何か喋れよ!用があるんだろ?何で黙ったままなんだよ!」
「チョロイですね( ̄▽ ̄)」
もういいです。この人(?)には何を言っても無駄です。
自分から本題に入りましょう。
「で?用件は?」
「もう終わりですか。まぁ、良いでしょう。用件は1つだけです。貴方にスキルを新たに与えることになりました。」
スキル?何故に?
「他の地球から来た人達にもスキルは与えてたのか?」
「はい、ただスキルには2種類ありまして、我々として応援しても良い者、したくない者に分けてスキルを与えていました。」
何それ?後者怖いわ!
てか、我々?応援?色々と訳が分からん。
「要は我々神からの審判ってことですね。我々はあなた方異世界人のすることを常に見ています。そしてあなた方の行動が我々を楽しませてくれるならその褒美を、不快にさせるならその罰をって感じですね。」
おい、俺はモルモットか何かか?
「いえ、酒の肴です。貴方が来てから視聴者が増えまして、座談会もかなり盛り上がってますからね。嬉しい限りです。」
酒の肴とかある意味もっとひどい扱いだわ。
ホント神ってふざけてんのね。
それでちょっと話を整理しますよ?
神々が俺を見てる。俺は酒の肴。俺のおかげでよく分からんけど神々は何か良い感じなのは確か。
つまり、
「俺は褒美を貰えるって解釈して良いのか?」
「はい、勿論です。では早速どうぞ。」
すると目の前に光る球体が現れ俺の体に入って行く。
少しして輝きは収まった。
「完了しました。天啓スキル、確かに与えましたよ。」
テンケイ?典型。天恵か?
「天啓です。神の教えのことです。これからは我々神の声を聴くことが出来ますよ?良かったですね。」
いやいやいや。
全く以て面倒事の匂いしかしねぇよ!
天啓って言い方変えりゃ神様の命令とかそういうことですよね?
そんなの御免ですよ。
「返品は出来ませんので悪しからず~」
そして俺は転生の時と同じく光に包まれる。正に有無を言わさぬ強制送還。
「てめぇぇぇ、覚えとけよぉぉぉ!!」
「本当に天刑じゃなくて良かったです。もしそうだったなら、現実に戻った瞬間天災でに悩まされるようになりますからね。それにしても彼の子は実に面白いです。こうしてはいられません。すぐに戻って視聴再開せねばなりません。」
声が止み其処には誰も何もいなくなった。
いきなりでしたでしょうか?
それにしても神様うざい。




