第13話
最近異様に目覚めが悪いです。
理由は分かってます。恐らく遅くまでゲームで野菜育てたり、家畜の世話をしているからでしょう。
時間経過が速すぎて辛いデス。
気圧の変化とかも関わってるんですかね?
そこら辺詳しくないですけど、皆さんも体調には十分お気を付け下さい。
はい、また盗賊さんです。
政争も大事だけど皆さん。治安維持しっかりしましょうよ。
ワタクシ大変迷惑を被っております。
「坊ちゃん、撃滅ってことでいいですかね?」
マックス、君中々過激だね?でも嫌いじゃないよ?
どんな理由があろうと、人のお金や物を奪ってはならないのですよ。
そうなったら奪われた人が奪う側に回る可能性が出て来る。そんな悪循環の芽は早めに摘むに限る。
前回は子どももいたから、極力血が流れない様対処したけど、今回は男共しかいない。
となれば、ヤることは1つですな。
「うん、それで良いよ。ただ、攻めることに気を取られて足元を掬われることがないように、各自気を引き締めてね?ライゼンにはいきなりで申し訳ないけど、攻め手に加わってもらうよ?」
『了解』
「よかろう」
護衛の兵士達の雰囲気が和気あいあいとしたものから一変する。
宛ら、獣の群れと言ったところか。それも飛び切り血に飢えた。
「坊ちゃんはどうしますんで?」
マックスが聞いて来る。
護衛としては当然の質問だろう。
「結界内から魔法で援護するよ。皆を危険に晒して悪いけど。だからインとホウは俺の傍にいてね?」
2人は感知系スキル保持者で腕も立つので魔法に集中したい俺としてはベストな護衛だ。
「分かりやした。無理はしないで下さいよ」
そう言うと、マックスは兵士達の元へ向かう。
何だかんだここぞって時は真面目になるんだよなぁ。
ミッシェルさん曰く「それなら普段から真面目にして欲しい」とのこと。大変御尤もです。
「ライゼン!ちょっといい?」
ライゼンを呼んで耳元でゴニョゴニョ。
「承知した」
それだけ言って配置に着くライゼン。侍って感じだな。侍見たことないけど。
「皆!!それじゃあよろしく!」
言うと同時に空間魔法で自分の周囲になんちゃって結界を構築する。
そして盗賊が襲い掛かって来る。
一番槍は若手の兵士シュルツ。文字通り槍を巧みに操り盗賊達の体に次々と穴を開けて行く。
恐ロシア!!・・・・寒い?つД`)ゴメンネ
マックスや他の兵士達も苛烈に斬り切り舞いですねー。
あ、逃げようとしてる。そうは問屋が卸しません。
魔力を多めに注いで、高い壁をイメージして、おっと逃げ道を一つっと。
「アースウォール」
突如土の壁が現れ、退路を失った盗賊達はパニック状態です。
手の空いている者が必死に壁を壊そうと武器で攻撃する。
お?
一か所だけ故意に穴が開きやすくしたポイントを盗賊の1人が偶然武器を当て、道を開く。
「何!?」
マックスが素で驚いてる。
良いリアクションですねぇ。
「ひぃ、や、やったぁ!」
そう言って穴を潜り逃亡を図ります。けど、人生そんなに甘くないよ?
バキグシャッ!!!
土壁を抜けた瞬間、男の人生は幕を閉じた、多分。
恐らく彼は何が起こったか分からなかっただろう。
ある意味幸せだったと思う。
意識が残ってたら正しく死の苦しみを味わうことになっただろうからね。
そして唯一の逃げ道で待ち構えているのは、蒼い鱗に身を包むたった1人の竜人。
盗賊達にしてみれば、恐怖そのものでしかないだろうな。南無三。悪人とは言え心から同情しますよ。
ここ最近覚えた、気配探知スキルを使いながら盗賊が一瞬で狩られていくのを感じる。
うへぇ、スゲェです。
何より恐ろしいのは、ライゼンが己の肉体のみで瞬殺している点。
そう、ただ殴り、ただ蹴る、それだけ。
うん、チートですね。分かります。
そして、戦闘が終了しました。
もう、悲惨ですね。盗賊は皆死体になってしまいました。
死体から使えそうなものを分捕り(あれ?)死体は一か所に集め人間重機のワタクシが土に埋めます。
土壁も元に戻し、大体元通り!
あれ、俺この中で一番偉いんだよなぁ。なのに何故死体処理?
「坊ちゃん、お疲れ様です。それにしてもホント馬鹿みたいに規模のでかい魔法ですなぁ」
おい、マックス。やっぱりお前褒めてないよね?
給料減らすぞゴラァ!
「流石です。若!」
シュルツ君、君来月から給料UPね!
「でも今回は、やっぱりライゼンじゃないかな?」
間違いなく、今回一番の殊勲者はライゼンだろう。
討ち漏らした賊を1人で殲滅したのだ。素晴らしい。
「そうっすね~。というか坊ちゃん、策があるなら言っといて下さいよ。あの時はかなり焦りましたぜ?」
「時間がなかったからね。それにマックス渾身のリアクションのおかげで賊さんは見事に騙されてくれたのかもしれないよ?」
いつも、僕ちゃんを弄って来ますからちょっとした意趣返しで言い返しました。
おちょくるように言うと周囲から笑い声が上がります。
うん、この切り替わりの早さもうちの長所の一つだね。
そして再び帰路に就く。
「ライゼンお疲れ。どうだった?」
「お主の部下達も統率が取れていて、悪くはなかったぞ。だが、お主には問題があった」
その言葉に周囲の緊張感が高まる。
何処に問題があったんだ?分からん?
「うーん、降参!理由を教えて、ライゼン」
「うむ。先の迎撃においてお主は後方に避難しておくべきであった。大将があのような行動を取るのは軽率ではないか?」
正論だ。もし、俺が死ぬことはなくても傷を負っていたら、護衛達全員に迷惑が掛かっていた。
彼が言いたいのは人の上に立つならそれなりの責任を持って行動しろということだろう。
耳が痛いが、ちゃんと諫言してくれるのは有り難い。
「そうだね。俺の見通しは甘かった。次から気を付けるよ。ライゼン、ありがとう」
俺がお礼を言うと高まった緊張感は一瞬で消え失せた。
「やっぱり、坊ちゃんは変わってらぁ。怒られてありがとうなんて普通の貴族じゃ考えられませんぜ」
と、マックスがここぞとばかりに弄る。
こういう場面での彼のお気楽さは本当に助かる。
何だかんだ空気の読める奴でもあるのだ。
「それって諫言も受け入れられない普通の貴族がおかしいんじゃないの?」
と皮肉ると、「ちげぇねぇ」と笑いが起きる。
ライゼンはそれっきり黙っていたが、決して悪い気はしてないように見えた。
「よーし、待ってろよー、イリス。お兄ちゃん早く帰るからなー」
また笑いが起こる。
失敬な、可愛い妹を大事に思うことの何が可笑しいのかね!
まぁ、ちょっとばかし妹馬鹿気味なのは否定しませんがね?
「それじゃあ、坊ちゃんの為に早く帰るぞぉ」
『応!!』
マックスのおふざけに皆乗っかってる。
みんなぁ、そこは別に乗らなくていいんだよぉ。
う~ん、威厳って大事だよね。
戻ったら、貴族っぽい振る舞い練習しよう。
そう思う昼下がりでありました。




