第三話 -絶対今度は死なない-
3度目の転生――
なぜかはわからないが、
俺はフリーアースで修行を行っていた。
今度のフリーアースではカノンが、
お姫様になっていて、
魔王ハバネルにとらわれている。
俺の目的はその姫君カノン・ジーク・エルクェイドを、
助ける使命をかせられていた。
「勇者ビビーンよ、もういいだろう。ワシを越えて魔王を倒す旅に出るんだ」
「はい、お師匠さま!」
ついに俺は師匠シドマと戦うこととなった。
シドマは強かったが、
俺は全ての力を出しきり戦った。
激しい攻防のなかで、
ジャマするものが現れる。
ギガ・コード、その人だ。
「お前が魔王ハバネルさまを倒そうとする勇者か?」
「やめてくれ。ギガ、お前は俺の仲間なんだ」
しかし、ギガは問答無用で攻撃を仕掛けてくる。
その剣は素早く重い攻撃で、
まさに蝶のように舞い、蜂のように刺す攻撃だ。
「ふん、その程度か。もう一度死ね!」
俺が死んだのはこの攻撃だった。
覚えてる。
だからかわせた。
「俺はもう死なない!」
剣でその攻撃をはじき、
お返しに剣を縦に振り、
ギガを切り捨てようとしたがでできなかった。
「なぜだ?」
「できねーよ。仲間を殺すなんて」
俺は確信した「また死ぬ」ということを――
しかし、ギガは自分の腹を剣で刺して自害した。
俺は目を丸くして、
倒れたギガをだきかかえて訊いた。
「どうしてだ、なんでそんな真似を?」
「この世界は何度死んでも生き返れる。カノンがいる限りな。不死身の世界なんだよ」
するとシドマが語り掛けてきた。
「そやつの言うとおりだ。カノンさまこそ悪の根源といってもいいだろう。カノンさまはいわば邪神で死ぬものを見て心内で笑っているのだ」
何という衝撃の事実だ。
俺は魔王ハバネルじゃなく、
カノン・ジーク・エルクェイドを、
倒さなければならなくなった。
しかし逆らえるのか?
カノンはフリーアースに来たものを、
自分の従者にできる能力をもつ。
しかしやるしかない。
俺は絶対勇者になって魔王ハバネルを倒すと決めたんだ。
それとカノンをどうにかしなければ、
魔王ハバネルも倒しても生き返るに違いない。
そう言っている間に、
ギガ・コードがよみがえり、
俺の手を取り共に戦うと誓ってくれた。
ギガほど心強い仲間はいない。
俺は絶対死なないと心に誓った。
いざ、魔王ハバネル城に向かう。
途中ギルドに寄って必要な武器防具などを揃える。
「まずはノーマルソードだよな?」
「ああ、そうだな」
ギガと相談しながら決めていく。
「カノンさまあなたの遊びに勇者ビビーンは知ったようです。どうなされますか?」
「この世界からの追放ですわ。あとギガ・コードもね」
追放になるとどうやら本当に死ぬらしい。
魔王ハバネルと怪しく笑うカノンの姿があった。
これにより俺はフリーアースから、
追放処分にされるのだった。
が、しかし俺とギガ・コードは
何も知らないまま旅を続けていた。
俺たちはどうやら「特異点」というやつらしく、
追放は効かないみたいだ。
これはカノンの誤算だったみたいだ。