第53話 それは、もしや?
スッキリした気分で、神鵺を邸へ送り返した。
狩りには失敗したけど、鵺の世界を取り込んで人間止めたみたいだし結果オーライ。神鵺が言うには、半妖になったんだってさ。不死性に磨きが掛かっちまった。
神鵺はどうなったかって?
そうだな、奴は五体バラバラ首も撥ねて、火で炙ってやった。脳か身体ん中の中枢どちらかが無事なら生きていられるみたいだし、含機械生命体って強いな。邸の連中は口パクパクさせたり神鵺が負けた事に驚いたり、大爆笑したりと反応は様々だった。
そんなわけで、私は皆に囲まれてるバラバラ神鵺を見ながら吸血鬼の爺さんに淹れてもらった紅茶を啜ってる。今朝仕入れたダージリンだそうだ、ミルクと砂糖が無くても十分美味い。カップも18世紀もののアンティークじゃねぇか。流石、執事だな。
「環奈様!!」
あっ、クロウが来た。
そういや何の連絡も寄越してなかった、すまんすまん。
って、何で泣いてるんだ?
おいおいどうした跪いて。
「誠に、誠に申し訳ありません環奈様!」
「うぇっ」
何故謝られてる?
おい皆が見てるだろ、恥ずかしいだろクロウ。
「私が甘いばかりに、環奈様を傷付けてしまった。私は、貴方様を肯定する事にばかり気を取られていた!」
「へっ?」
「環奈様。これより私は、ただ貴方の僕である事を辞めさせて頂きます……!」
「えっ」
話が急過ぎるぅ!?
「ちょ、ちょっと待てよクロウ! お前裏切るつもり! って……クロウ……?」
何故頭を撫でられている?
一体全体何なんだ?
あっ、止めた。
もうちょっと撫でて欲しかった。
「……貴方の、良き親としても。このクロウ、尽力致します」
「……ッ!」
「私は、貴方の為に存在します」
「……クロウ……」
お前、ただの機械じゃなかったのか……?
「…………よし戻った。良かったな」
あっ、神鵺復活した。
「神鵺……これは一体?」
「運ばれてる最中に事情聞いたら、てんで甘かったもんだから説教してやった」
「そう言う事か」
「神条 神鵺。大変な迷惑を働いてしまった事、私から謝罪しよう。そして、感謝している」
「まったくだ。そっちの馬鹿のせいで、こっちは大損害被ってんだぜ。15兆がソイツに喰われちまったんだからな。営業妨害も甚だしいわ」
「神条 神鵺、それ以上の罵倒は許さないぞ」
「良いクロウ。神鵺の言う通りなんだから」
「……環奈様……」
それに……本当に金の事しか頭に無かったなら、私もろとも狩ってただろお前。
「……色々ごったごたしたけど……今度は私の番になっちまったな」
「ん?」
「ありがとう、神鵺」
「…………フッ」
ハッ、何クールに笑ってんだよ。
本当に感謝してんだぜ。
馬鹿にした事は根に持ってるが。
「ぃやぁっだむずがゆぅい!!」
ズコッ。
「それはもう良いからよ。日常下はこの世界内って判定らしいから、バトルしたいなら、今度からはバトリスにでも行ってやろうぜ」
「……!」
「それと馬鹿にした事に関しての詫びは50万分の飯って事でどうだ」
「オッケー!」
やった! 飯だ!
「環奈様……」
「よし。もう良い時間だし、今日は泊まってけ。飯くらい出すぜ」
「飯! クロウ、邪魔しようぜ!」
「し、しかし……いや、今回は厚意に甘えるか」
そうそう、何たって神鵺はダチなんだからな!
私の大好きな神鵺だ!
「足立姉妹、二部屋用意しといてくれ」
「了解ッ!」「御意、ご主人」
「優は何か適当な飯でも」
「いや! ここは二人に本気のお料理を!」
「優」
「……手頃な晩御飯を用意します……」
「まぁ、ゆっくりしてけや」
「おう、寛がせて貰うぜ」
* * *
「はぁ~、良い邸持ってんなぁ神鵺。私も豪邸買おうかな」
美味い飯食って、デッカい風呂にも入って、客室で寛いでいる時だった。
ノックが聞こえたんで、入るように促した。
「かーんな様ー」
「突撃、隣のお客様」
「ん? お前らは……?」
「神条 神鵺様のメイドにして、結ぶ霊能力者。双子の姉、足達 日和に?」
「同じく。神条 神鵺様のメイドにして、解く霊能力者。双子の妹、足達 彩月」
「「天宮 環奈様、その心見破ったり!」です」
「……へ?」
えぇーっと、これは一体何ざんしょ?
「見えるんですよぉ私達ぐらいの能力者となればっ」
「いいえ、それはともすれば女が皆持つ力」
「ズバリ言い当てましょう。貴方、ここ最近ご主人の事ばかり考えてますね?」
「ッ、あ、あぁ……そうだな」
「戦いたい。その他に思う所はおありで?」
「……そうだなぁ……どんな食い物が好きなのかとかは、前聞いたし。シューティングゲームが特に好きだって事は知ったし。もっと奴の事を知りたいな。何であんなに非道な奴でいられるのか……特に虐待も無かった一般家庭の次男坊だのによ」
「その興味は言い訳だと、思った事は?」
「まるでオフィスの女上司が、男の後輩にアレコレ聞くようなシチュエーション。環奈様、ご自身に嘘を吐いておられませんかッ」
何を言ってるんだコイツらは。
一体何の例えなんだそれは、分かりやすく言ってくれ。
「詰まる所何が言いたい」
「環奈様が抱く、ご主人への強い興味」
「それは、もしや?」
どちらも目をキラキラさせながら、姉は至極楽しそうに、妹はもうちょっと控えめに、乗り出して来た。
「「恋ではありませんか!」」
「………………は?」
こい?
コイ?
鯉?
乞い?
「……こい………………こい!?」
こ、こここここここ、恋ぃ!?
「私がッ…………神鵺に恋してるってぇ!?」
―――――――データ―――――――
氏名:神条 神鵺/ジェイク 性別:男 年齢:18歳
種族:含機械生命体/黒の御使い
職業:専門学生
クラス:狩猟者/銃闘士
ランク:S
契約者:リトラ=デビリッシュ
クリスタル:黒金剛石
侵蝕率:22%
レベル:49
【ステータス】
筋力:A+2 敏捷:S+2 生命力:A+3
感覚:C+2 器用:B+3 知力:A+3
精神:B+3 幸運:B 容姿:B+2
【能力】
《思考世界:EX》
《放射:A+2》
《情報操作:A+3》
《____》
氏名:天宮 環奈 性別:女 年齢:16歳
種族:半妖/鵺
職業:高校生
クラス:狩猟者/槍術師
ランク:S
契約者:クロウ
クリスタル:金緑変石
レベル:50
【ステータス】
筋力:S+1 敏捷:S+2 生命力:A+3(EX)
感覚:C 器用:C+3 知力:B+
精神:__ 幸運:B 容姿:A+
【能力】
《隔離世:EX》
《影使い:A+3》
《起死回生:EX》
【状態】
○__
氏名:???
Unknown
何かいきなり路線変わった気がする。
え、元から破綻してるって?
だってこれ破綻させるための物語だもん。
「それ言ったらアカンて」
ぶち壊しは気持ち良いゾイ!
―― 次回予告 ――
マスターの隣人、賢者レミィです。
環奈さん、マスターと仲直り出来たようですね。
え、あれ。環奈さん、どうしてマスターから逃げるんですか?
ちょ、あの、突然あの神話の話題を出されても読者が追いつけないんじゃ。
待って下さい?
環奈さんの他に狩猟者がいるって?
しかも私達までいらぬ被害被るんですか!?
マスター! 何ですかあの異形の邪神は!?
環奈さん助ける為だからって色々やり過ぎですよ!!
待ちなさい! 夜中だからって街中でそんな弩級の技使ったら悪目立ちしますから!!
し、深淵なる闇が迫る時、我等が主の悪が笑む!
次回ソウルダッシュ。〔リ 両手に花〕
「さぁ……」
「『『『絶望タイムだ』』』」




