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第8話 カヌー体験

 セトたちは部屋へと全速力で走った。周りの人たちに注意されたりもしたが、そんなことは気にしなかった。しかし、走った甲斐もなく、まだ誰も来ていなかった。


「あっれー、まだ早かったかな?」

「別に、全速力で来なくても良かったんじゃないのか?」

「きっ、気にしない気にしない! そろそろ来るよ、みんな」

 そう言ってセトたちは、3分ぐらいずっと待っていたが、誰も来なかったもので、飽きてきた。

「・・・つまんないのです〜」

「こうして待っててもだぁれもこないとは・・・」







 また3分ほど待っていた。すると今度は、5〜6人ぐらいの人影が見えた。全員女の子のようだ。

 一人の女が近づいてきた。

「あーら、ひのりさんたち早いですのね〜。おーっほっほっほ」

「・・・あのさ、萌。そのしゃべり方、止めたら?」

 少女は萌と言う名だった。こんなしゃべり方をしていると、相当の大金持ちのように聞こえる。しかし、口癖の割にはそんなに金持ちではない。


「わたくしは将来、金持ちになって見せるんですのよー! おーっほっほっほ! 絶対ですわよ、ひのりさん」

「人それぞれ夢も違うですもんね〜頑張ってくださいな〜っ」

「あらあら、セトさん、応援してくれて嬉しいですわ〜!」

 萌は小躍りをしながら笑っている。セトが苦笑いをのをする裏腹に、ひのりたちはそれをただ、笑って見つめていた。

 そんなことをしている間に全員がそろった。


「これからカヌー体験をする場所に行くぞー。部屋に戻って、水着に着替えて来い」

「「「「「はーい!」」」」」


 元気よく返事をした生徒たちは、各自の部屋に戻って着替えをした。

「あー、カヌーも花園小と一緒かー」

「あんな奴ら、無視すればいいだろうが、ひのり」

「そうなのさ! 無視なのさ!」

「それが一番ですよ〜☆」

「そうね・・・気にとめないほうがいいわよ」

 セトたちはもうとっくに着替え終わっていた。実は、高速で着替えていたのだった。だからゆっくりと会話が出来るのだ。

 守護霊たちは話し合った結果、おいていくことになった。


「あ、アオイ・・・」

「ん? どしたのさ、ルナ」

「斧は置いていったほうがいいとおもうが・・・」

「いーの、いーの! 何かと便利だから」

 するとアオイは後ろを向き、自分の首に鉈を突きつけた。

「たとえば・・・殺した人をバラバラにするとか・・・?」

 そう、アオイは一瞬だけアクアに変化していた。


「って・・・アクア! 勝手に表に出てきちゃだめ!」

 また人格がアオイに変わり、アクアは怒られた。しかしその表情もしだいに明るくなった。

「うそうそ。斧は置いていくのさっ♪」

「持っていって先生に取られても、しょうがないもんね・・・」

「では、カヌ〜体験行きましょう!!」

 セトは相変わらず、のんびりした口調で話した。その表情は、いつもより格段に明るかった。






 セトたちはカヌー体験の場所に来ていた。葉巻学園の前に並んでいるのは、例の花園小だった。花園小はまたセトたちの悪口を言っているようだった。

「えーっ、またあの人たちと一緒!?」

「最悪ー・・・」

 このことを聞いたアオイは、色々と、ぶつぶつ喋っていた。

「何の怨みがあるのさね? そのうるさい口を黙らせてやろうかぁ? ふふふ・・・」

「ま〜ま〜、アオイちゃん落ち着こう、ね〜」

 セトがアオイを静めた。

「・・・セト、ちょっといいか?」

 ルナは、セトにしか聞こえない声で言った。そして、ひのりたちからかなり離れた遠くの場所に行った。そして言った。

「花園小の楓とカナ・・・私はあいつらに守護霊が憑いていると思う」

 セトは急に真剣な表情になった。

「ええ、私にも見えますよ、ルナさん。ずっとあの人たちに憑いている、の守護霊が―――」

 その様子からすると、セトにも楓とカナの守護霊が見えていたようだった。


 しばらくの沈黙後、ルナが口を開いた。

「あいつらにある心の闇を砕けば、あいつらも元通りになるはずだ。ずっと仲の悪いまま、宿泊体験をするのは誰だって嫌だろう・・・?」

「そ〜ですね・・・」

 セトが言うとルナは静かに立ち上がり、ひのりたちの元へと帰っていった。

「続きはあとで話す。とにかく今は・・・」

「カヌ〜を楽しむのですよ〜☆」

 セトたちはみんなの元へと戻った。


 ―――今、セトは感知していたのかもしれない。

 カヌー体験のずっと後に起こる長い戦いを―――



「か、カヌーって意外と難しいね、セト・・・ってあんたも漕げーっ!」

 ペアは、セトとひのり、アオイとるい、萌とルナ・・・という組み合わせだった。

 セトは目をつぶっていて、全く漕いでいなかった。ひのりは運転が下手なので、途中で色々なところにぶつかった。その姿をセトは、のんびり眺めていた。

「さぁて〜・・・ひのりちゃん、一緒に漕ぎましょうね〜」

 セトはゆっくりと漕ぎ始めた。ゆっくりだが、確実に、正確に進んでいく。

『ひのりちゃんっ、ふぁいと、おー!」

「さっ、サン・・・何でここにいるの・・・」

『そのちょーしですよ、セトちゃん〜』

「リ〜ちゃん・・・部屋にいるんじゃないのですか?」

『抜け出してきました〜☆』

「あらら・・・そ〜なんですかぁ」

 セトは微笑み、よそ見をした。その時だった―――。


          がたんっ!


 セトたちのカヌーが花園小のカヌーにぶつかった。そのカヌーは、偶然にも、楓とカナが乗っているカヌーだった。

「ちょっ・・・危ない運転しないで下さる? セトさん!!!」

 楓が強い口調で言った。セトは苦笑いをして答えた。

「ど〜して私の名前を知っているかは分かりませんが・・・」

 そこまで言って、区切った。セトは真剣な顔になり、言った。

「その名前で馴れ馴れしく私を呼ぶんじゃねぇ・・・!」

 その言葉に楓とカナは驚いた。ついでにひのりも驚いた。こんなに不気味なセトを見たことがなかったのだから、驚かないほうがおかしい。

「おぉっと〜・・・この性格は直さないと〜です〜」

 そのあと、セトはすぐに元に戻り、明るくなったが、しばらくひのりと楓とカナはセトに怯え、見つめあっていた。

展開が早く、申し訳ございません。

更新は2、3日に一回ぐらいです。


きっとここからが重要になっていきます。

これからもよろしくお願いいたします。

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