第33話 マイVSコゴウ! 過去の想い
第2グループのあらすじ
ひのりはマイが追ってきていることに気がつく。マイはついていきたいという。そこで、ついていけるだけの力があるかためす。
結果は、一発でひのりの勝ち。後に、ひのりは反省し、マイに謝る。
結局、マイは付いていく事になった。
短っ!!
―第2グループ―
ひのりたちはマイを引き連れ、歩いていた。大雨は止むことなく、容赦なくひのりたちをぬらし続ける。マイは、ひのりの近くでひのりのコートを引っ張って歩いている。
ひのりは本当に子供が嫌いだった。実は、隣にいるだけで鳥肌が立ちっぱなしだった。マイはそんなことも知らずに、手を握ろうとしている。
「ダメですか……?」
「まっ、まだ無理! ごめん、マイ」
「いいんですよ。少しずつ、やっていきましょう?」
マイに励まされ、ひのりも少し笑顔になった。ちょっとした衝撃で手と手が触れ合った瞬間、びくっと体が反応した。その敏感さに、我ながら恥ずかしいと思ってしまうのだった。
「来る、あいつが」
「あいつ? コゴウのこと? マイ」
「ええ、そうです。後ろを見てください」
ひのりが振り向くと、黒いタキシード姿の男がすごいスピードで接近していた。危険を感じ、マイをロングコートの後ろに隠すひのり。
「ひのり、さん」
「っうぅ! 鳥肌なんか、気にするもんか!」
鳥肌よりも人の命のほうが大事に決まっている。
「おい、よく聞け。今回は、困ったことになったな。もうすぐ神が目覚める。生け贄が必要なんだ。誰か、生け贄にならないか?」
コゴウはいたって真顔で話す。コゴウが見つめる先は、なんとマイだった。マイはひのりのコートから少し顔を出し、そっと目線を合わせた。
「その娘、生け贄になる気はないか?」
「い、いいえ!」
「そいつが最適なんだがな……まあ、力尽くで生け贄にしてやる」
コゴウは、手に持っていた、巨大な鎌をマイにむけた。そして、にやりと笑って飛び跳ねた。マイはひのりの前に出た。
「マ、マイ?」
「私の力、甘く見ないで下さいね☆ ちゃんと見ててください、私のことを」
ひのりは戸惑いながら頷き、後ろのほうに避難した。とたんにマイは真剣な表情になり、コゴウを睨みつけた。そして、手のひらをコゴウにむけ、バリアを張った。
そのバリアはかなり強力で、鋭そうなコゴウの鎌でも到底破れそうになかった。
「っ……う、ぁあ!」
「やはり素晴らしい……聖界にいるときからずっと知っていたよ。この力、私の次ぐらいに素晴らしいかなっ!」
「っ……知って、たんだ」
コゴウをはじき返すとマイは盾を出現させ、次のコゴウの行動を待った。コゴウも負けていなく、すぐにマイを見た。そして、恐いほどにお互いにらみ合っている。
「神って、誰のこと?」
「すぐわかる。お前が1番よく、知っているんじゃないか?」
「……あの人のことか」
マイが言うあいつとはなんなのか、よく分からなかった。ただ、マイの目の色が変わったことから、
大事な人だったと考えられる。
「行くよ、相棒?」
マイは、盾に話し掛けた。すると、たちまち盾は剣にすがたをかえた。剣の中央にある宝石は、鈍い蒼に光っていた。徐々に剣全体に光は広がっていく。
「あいつに会いたいか? それとも、もう忘れたのか?」
「……私は、あの人のこと、忘れられなかった。ずっと、ずっと、この時を待ってた。たとえ変わり果てた姿だとしても、会いたいの……!」
マイの瞳に、薄っすらと涙が浮かんだ。それを拭いもせず、まっすぐに自分の剣を見つめていた。
「もうすぐ目覚めるんだ……。我慢しないと、ダメですよね?」
「……勝手に、想っているがいい」
コゴウは鎌をしまい、空高く飛んでいった。マイは、雨でどろどろになっているにもかかわらず、その場に座り込んでしまった。ひのりは急いでマイのもとに行き、抱きかかえた。
「マイ! 大丈夫?」
「ええ、大丈夫、です」
「そっか。気になってたんだけど、あの人って誰なの?」
「……私が、4歳のときでしたか。名前も知らないあの人と出会いました。家が隣だったから、結構よく遊んでいました。よく遊んでいるうちに、好きになっていたんです。遊ぶだけで嬉しくて、毎日のように遊んでいました。
そんな時、あの人が突然誘拐されているのが分かりました。そのときは喧嘩していて、遊んでいなくて……。後から、コゴウという変な人がが誘拐していた事がわかりました。
5年後に目覚めるって言われて、よく意味がわかりませんでした。コゴウによく聞いてみたら、ここの神様らしき者になっていたらしいんです。
もう死んでいるかもしれないとか、遠いところへ行ってしまったとか、そんな話も聞かされていて、そのたびに狂ってしまい、暴れていました。9歳になったころ、幼かった自分がなくなってきて、本で調べたりして詳しく調べていました。もうすぐで、目覚めるらしいんです。
まずあったら、名前を聞いておきたくて。次に、喧嘩したこと、謝りたい。最後に、自分の気持ちを伝えたい。だから……目覚めて欲しいんです。
皆さんに反してごめんなさい。神を復活させたら、人間界も、ここも滅びてしまうんです。皆さんは復活させたくないって思っているんですから、私はここから抜けた方が良いですよね?」
マイは視線を下にやって話した。ひのりは鳥肌のことも忘れて、マイの話に耳を傾けていた。
「あたしは、いいとおもうよ? その子、連れて帰ればいいんだよ。被害を出さないように考えるから、安心してね。マイは、一途だね」
ひのりは優しく笑いかけた。被害を出さない方法なんて無いに等しいが、やってみるしかないと思ったのだろう。マイも、曇っていた表情が晴れてきた。
「それより……大丈夫なんですか? 鳥肌」
「え? わあぁぁぁぁぁあああ!」
ひのりは鳥肌のことなんて忘れていたから、ビックリしていたのだった。
どうも! 遅くなりました。
次回は遅くなると思います。パワーを使い果たした……。
ということで頑張ります。