第31話 セトの魔法
―第1グループ―
「ん……これと言っていい呪文はないんですよね。というか、思いつかないんです」
『良いじゃないですか、タベタイナのやつで。食べたい気持ちでいっぱいじゃないですか!』
「嫌です! そんな変なダサい呪文」
「変」「ダサい」その言葉一つ一つがリーフにとげとなり、突き刺さる。
結局4人は立ち止まって、呪文を考えることになった。
セトとリーフは特に呪文のことで悩んでいた。リーフはそのままでいいと言うが、セトはどうしても気にいらなかった。このまま気にいらなかったら、先にも進めない。
『なるべく早くしてくださいよ〜、暑くてたまらないのです〜』
「リーちゃんも考えてくださいよ。七五調じゃないとだめですか?」
『そんなことはありません。何でも良いですよ』
それだけ言うと、ノアと訓練のようなものを始めてしまった。
「私も手伝おうか?」
「はぃぃぃ! お願いしますぅぅ!」
ルナはセトの近くへ行き、座り込んで呪文を考えた。全くアイディアが浮かばない。
「……少しぐらい」
「……ん?」
「少しぐらい長くたっていいんじゃないか? だが、そんなに長く考える時間はない。急ごう」
(急げないんですよね〜、それが)
セトは頭を最高速度で回転させるのだが、ルナはどこか遠くを見つめているようだった。
「我は天に選ばれしもの。世界に光を、我に波動を」
呪文のように呟くルナ。その声が、あまりにも小さすぎて。セトに聞こえているかどうか分からない。セトはまだ腕を組んで考えているようだから、聞こえていないのだろう。
「聞こえてたか? 今言ってやったんだけど?」
「えっ……ごめんなさい、聞いてなかったです」
「はぁー……我は天に選ばれしもの。世界に光を、我に波動を。これでいいか?」
「うわ……すごい傑作! 採用採用」
セトは急ににこやかになり、大きく手を叩いた。ルナは呆れた目でセトを見る。
まあ、とにかく。これでセトの呪文は決まった。やっと先に進める。ここまで私たちを待たせたんだから、早速セトの腕前を見せてもらいたいものだ、とルナは思う。
「じゃ、練習しよう! って言っても、どうやって?」
「早く、次の目的地に行かないか? 練習にもなる」
「あ、そうだったね! ごめんなさい〜」
そういいながら固まった溶岩をたこにあげるセト。ルナも雲を出し、乗る準備をした。
「リーフ、ノア! そろそろ行くぞ」
『は〜い、分かりました!』
ノアとリーフは戦闘を止め、二人の肩に乗った。あとはセトの準備が出来るだけ。そう、誰もが考えていた。そのときだった。
「なあ、上」
『はぁ? 上? って……!』
「『コゴウ!?』」
4人が上を見れば、それは偉そうに腕を組み、まっさかさまに降りてくるコゴウの姿があった。何故か笑っているようだ。ただ余裕をこいているのか、ただのバカなのか……。
「ははははは! リーフ、ノア! また来てやったぞ!」
着地はふわりと決めたコゴウだった。
が。
「っーーー!?」
言葉にならない悲鳴をあげながら、さらにさらに下へ落ちていく。なぜだか分かるだろうか。
まさかとは思うが、そこに落とし穴が仕掛けられていたのだ。聖界に異変が起きる前、子供たちがいたずら半分に仕掛けたのだろう。子供がほるにしては、かなりの深さであった。
「バイバーイ、コゴウ」
「助けろー!」
コゴウの声がだんだん遠くなる。それをセトたちはにんまりとみつめていた。
遅くなってすみません!
長期連載停止になってしまい、あせりました。
なので、変な文になってしまいました。(まるでいいわけですね・・・(^^;))
とにかく、次も遅くなるかもしれないので、期待しないで待っていてくださるとありがたいです。




