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第26話 黒い月

現代グループのあらすじ


聖界でおこっている異変が、現代でも違う形で起こった。

震度6以上という地震が長い間続いているので、人は恐怖に震えていた。

そんな時、のりおがみんなを静めるため、少し乱暴な言葉を言う。そのおかげで、アオイとアクアが魔法を使い、地震の威力を半減させた。

 ―現代―


 夜中。地震の被害は弱くなったものの、まだ揺れはある。油断は出来ないので、アオイとアクアは目をこすりながら起きていた。

『今までの地震は……震度3ぐらいかな。ちょっと気分転換行ってくるね』

 アクアはアオイにこの場を任せ、ベランダに出た。

 風は涼しく、時折強く吹いていた。木々が揺れ、街中では街灯がついているところもあった。ここまでの風景ならば、いつものように見ていた。おかしいとは思わなかった。

 ただ一つ、いつもとは違うところがあった。


『月が黒い』

 形ははっきりせず、満月なのか三日月なのか新月なのかも分からなかった。アクアの記憶によると、昨日は三日月だったらしいのだ。だとすると、新月はありえない。

 アクアは考えた。雲が出ているわけでもない、新月でもない……と。

『世界が異常になっている……気がする』


 月さえ見なければ、他はいつものような風景だった。月を見ないようにしようとしても、どうしてもそこに意識がいってしまう。

『ボクは、この地球を救いたい。暗黒に染まった月じゃなくて、黄金色に輝く、綺麗な月が見たい。ね、ボクが救う。約束する』

 呟くアクア。その声は小さく、他の誰にも聞かれていないようだった(最も、アクアの姿はアオイにしか見えていないが)。

 アクアは、自身の透明な体を見つめ、部屋に入った。以前より、透明さが増したように思えた。

「アクア……独り言?」

『ん? ああ、うん。気にしないで』


 世界がおかしいんじゃない、ボクがおかしいのか否か―――


 アクアはアオイの体に戻るのではなく、アオイの横にちょこんと座った。アクアは、アオイに相談した。

『アオイ……外でね、月が黒かったんだ!』

「新月じゃなくて?」

『ううん、違うの! 昨日は綺麗な三日月だったし! でね、見て? ボクの体、透明になっていってるでしょ? きっともうすぐ、消えちゃうか

「変なこといわないで欲しい。希望を持って欲しいのさ」

 アオイは真剣だった。黄色い瞳には、涙がたまっていた。時折涙を零しそうになるが、じっとこらえ、アクアを見つめている。

『ご、ごめん』

「わかればいいのさ」

 場が険悪な雰囲気になった。1分、5分、10分と沈黙が続いた。



 すると、アオイがずっと目にためていた涙を零した。その後、涙は絶えず零れ続けた。アオイは、唇を噛み締めたり涙を拭ったりするが、涙は絶えなかった。

『アオイッ!? なななななな泣かないで!』

「え、あ、あれ? おかしい、な。……ボクはっ、泣きたくない、はずなのにっ」

 アクアは困惑し、慌てた。挙句の果てに考え付いたことは、アオイを抱きしめてあげることだった。しかし、実体のない彼女は、アオイに触れられなかった。

『ボクに体があれば……実体があれば君を抱きしめてあげられたのに』

「うう、ん。いいんだ、よ。っ、ありがとぅ……」

 アオイの涙はまだ枯れ果てなかったが、涙を拭いながら小さく礼をした。

 アクアは、まだ黄色い姿を見せない黒い月に願った。


 お月様、

 どうか願いが一つかなうならば、

 魔法なんていりません。ただ、


 みんなと同じ体をお与えください。

 これ以上何も望みません。

 透明な体とちゃんとさわれる体を取り替えてください。


 アオイを抱きしめられる体を、ください―――

今回は短めです。

なんか、月齢とか調べるのが楽しかったです。


私、いつが満月だとか新月だとか分からないんで……。


月のお話は、また書いてみたいなぁって思います(番外編とか、特別編とかで)!!


では、また!

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