第24話 コゴウの登場、パンチョの想い
―第ニグループ―
ひのりたちは、洪水の地を目指し、歩いていた。大雨の中、この地帯では洪水が起きていた。
すでにひのりとるいは着替えていた。
ひのりはピンクのロングコートを着ていて、ひじまではあるだろう、綺麗で透き通った赤い手袋をしている。更に、薄いピンクのチョーカーを首に巻いている。
手にははにわらしきものがあった。靴はピンクのブーツだ。
一方るいは、新緑色のロングコートで、小指に緑色に光る(恐らくエメラルドの)指輪をはめていた。背中には、長い黄緑の翼が輝いていた。靴は緑色のヒールだ。
『まずは、住民を避難させるよ! パンチョ、よろしくね』
『ええ、任せて。私の愛しいジャンク・ドールたち、みんなを避難させてあげて』
るいはマントを広げ、前のようにガラクタの人形をだした。3体ほどの人形たちは、突然大きくなり、狂ったように叫んでいる人々のもとへ向かった。
「あの人形に任せておけばいいのね?」
『まあね。さあ、大雨を止めへ行こうかしら』
『ひのりちゃん、はにわを持って!』
言われたとおり、ひのりははにわを持った。ひのりとサンは、時々目を合わせ合図をし、2人で一つのはにわを握った。すると、はにわが光りだした。
「サンッ、はにわが熱い」
『もうちょっと、我慢だよ』
今まで大雨だった空は、少しずつ晴れ始めた。
その時だった。
再び空が曇り始め、先ほどよりも空は黒くなり、雷が鳴りはじめた。その雷はるいをめがけて落ちてきた。るいは間一髪でよけた。
「危ないわね! きっと誰かが仕組んだに違いないわ」
るいの勘は的中していた。奥のほうから、黒いタキシード、黒い帽子をかぶった男が現れた。再び雷がるいめがけて落ち、るいは直撃してしまった。
「きゃあああぁぁぁぁ!」
「るい!? しっかりしてえぇ!」
『るいちゃん……!』
『誰よ! 誰よ、るいちゃんを殺したのはぁ!』
るいはぐったりして、ぴくりとも動かない。体はところどころ裂けたり、ちぎれたりしている。首の横のほうは、流血している。4人は立ち止まった。
「フフフフ……人間どもよ、私はコゴウ。よーく覚えておけ。恐らくその少女は死んではいないと思うね。何しに人間を連れてここに来たんだね?」
「サンとパンチョは、何らかの理由でコゴウの事を知っている」と言うことが、ひのりには感じ取れた。ひのりはるいをおぶり、後ろに下がった。
「どうしたのだ、いつものもう2人の姿が見えんが? 別行動かね。少しばかり、答えたらどうなのだ、守護霊どもよ」
『せっかくだから、今は死にかけている素敵な人間が付けてくれた名前を教えてあげる。私はパンチョよ。こっちはサンよ』
サンは頷いた。その後、ひのりにもっと下がるよう命じた。
「そうか、サン、パンチョ……私にとってはどうでも良いがね。私はお前らを殺したり傷つけたりするだけで楽しいのだが」
コゴウは、人を殺したりするのを楽しんでいるようだった。そのとき、パンチョのドールが戻ってきた。コゴウは、それを逃さなかった。
「こいつらは目障りだね、消えてもらおう」
『ま、さか……やっ、やめてっ!』
パンチョが何か、悪い予感を感じ取った。その予感は見事にも当たってしまった。
コゴウが手をサッとあげると、再び雷が鳴りはじめた。パンチョのドールたちに、先ほどるいが当たった雷よりももっと激しい雷が落ちた。
ドールは、真っ黒焦げになり、
「ゴゲゲゲゲゲゲ!」
と嘆きをあげていた。パンチョの目から大粒の涙が零れた。
『……また、あの時のようになってしまったわ』
パンチョたちがまだ聖界にいた頃、コゴウは今のような災害を引き起こした。
ある晴れた日、突然島が二つに分かれた。コゴウのせいだ。
コゴウの雷は、今よりももっと強力で、島を真っ二つに分けることが出来るほどだった。コゴウは部下を従えて、大雨と日照りなどの災害を引き起こすよう命じた。
あの時もパンチョのドールが犠牲になってしまったのだ。
たまたま後ろからやって来たドールたちを、コゴウは雷で殺したのだ。パンチョは、いつもいっしょに遊んだりしていたドールが目の前で死ぬ姿に、恐怖を覚えたのだった。
その姿を見て、コゴウは笑っていた。面白い生き物でも見ているかのように。
「だからなんだと言うのだ。もう一度あの戦いをしてもいいのだがね」
『その前に私があなたを退治する』
「それはいい。が、残念だが、私はもう2人のもとへ行く。また会えたら、戦ってもいい。では」
コゴウは大きな黒い翼を広げ、暗黒に染まった空に消えていった。
こんにちは、作者です。
ロングコートと言ってもしっくり来ない方へ
ひぐらしのなく頃にで言えばレナのきてるやつ。
遊戯王で言えば、海馬瀬人の着ているもの。
みたいな? です。
よくわからなかったら、ごめんなさい。では。