第22話 魔導力
―第1グループ―
光が見え、セトたちがつむじから飛び降りると、つむじは消滅した。
聖界は大変なことになっていた。火山は噴火し、溶岩が流れている。地面に亀裂が入っている。街中では、家が燃えさかっていた。
パンチョたちから連絡が入った。
『もしもし、リーフかしら。聖界に着いたわ。洪水と土石流で人が流されて、土砂崩れで人が埋まってて、大雨で、大変なのよ』
『こちらリーフ。こっちも大変です〜、地割れ、火山の噴火、火災、日照りの被害がでています。引き続き調査をお願いいたします、では』
リーフは通信機を切り、火山のあたりを見つめた。
『まずはあの火山、黒炎山に行きましょう。溶岩を何とかしないと、人々は溶けます』
『そうだな。よし、行くぞ』
リーフとノアが先頭を切って、飛んで黒炎山に向かおうとしていた。しかし、セトとルナは空が飛べないので困惑していた。
『ああ、飛べないんでしたね。出したいものを想像し、息を止め、目を瞑って手に力をこめてください。このとき、集中することです』
ルナは言われたとおり、息を止め目を瞑り、手に力をこめ、集中した。
10秒もすると、丈夫そうな黒い雲が目の前に現れた。それに触って見ると、なんとなく硬かった。
「乗れるのか?」
『ええ、大丈夫です』
恐る恐る雲に乗った。すると、突き抜けることなく乗ることができた。
『セトちゃんもやってみてください』
「う、うん」
セトもルナのやったようにした。
3分もして、セトの息が限界に近くなった、目の前に大きめの青いたこが現れた。そのたこは、セトをじっと睨みつけている。
「こ、こんなのに乗れるのですか?」
『早くしろ、おいていくぜ?』
セトは、おいていかれるのは嫌なので、急いでそのたこにのった。ところが、そのたこは暴れだし、セトに墨をはきかけた。
「ぎゃ―――!」
一人で地上に取り残されたセトは叫んだ。しかし、すぐ後ろからは溶岩がきているので、リーフたちは助けたくても助けることは出来ない。
「目が・・・見えない。ええい、たこ! 早く行くんだ!」
たこは一向に動こうとはしない。セトは後ろから溶岩がきていることに、目が見えないせいか全く気がついていないようだ。
「セト! 後ろから溶岩がきてるぞ!」
「な、なにぃっ!? お願いします、たこさん! 私を乗せてください!」
必死になってたこにお願いするセト。すでに、溶岩はセトの足元に迫っている。セトも、そのことにようやく気がついたようだ。
するとたこは少しだけ動いた。溶岩にセトの足がつき、白いスニーカーが黒くなった。
「あぢぃ!! お願いします!」
急いでたこに飛び乗った。するとたこはもう一度セトに墨を吐き、空中に浮いた。そして、ゆっくりとルナたちのもとへ向かった。
『セトちゃん! やけどしてませんか?』
「そのうち治るよ」
『いいやだめだ。特別に、このオレ様が治療してやろう』
ノアが、背中に隠し持っていたナイフと包帯を取り出した。セトはお願いしますと頼み、足を出した。スニーカーはすでに溶けていて、足の小指は溶けかけている。
「いって・・・」
『少し我慢しろ』
ノアは器用にナイフと包帯を使い、セトの傷を治している
と、思ったが・・・
「別に、足全部を巻かなくても・・・それにゆるゆるです」
『も、文句は無しだ!』
ノアは器用とはいえなかった。ルナとリーフは、それを見て呆れた。
「傷口は針と糸で見事に塞がってるがな・・・そのとき、セトは痛そうだったぞ?」
『包帯がゆるすぎるのです! もっとぎゅうっと!』
『麻酔はかけてないから痛いのは当たり前なんだ、ルナ! それとリーフ! ぎゅっとやると痛いと思ってなぁ?』
「ただ単にめんどくさいだけだろ」
ルナに図星をつかれ、ぎくっとしたノア。そしてふざけながらの言い争いが始まった。そのあいだにリーフはセトの包帯を直している。
『おーい、リーフ? 忙しいところごめん』
アクアからの連絡が入った。声は震えている。
『何か、ありましたか?』
『また地震だよ! もう20分はこうだ。おさまらない』
『そうですか・・・。こちらは負傷者が一人です。しかし、たいした問題はないです。引き続き待機をお願いいたします』
通信機を切り、リーフは複雑な表情になった。
結構早めの更新です!
溶岩の被害にあったことがないので、表現とかがイマイチ分からないんですが・・・へんてこなところがあったらご指摘ください。
たこは、海の中にいるたこです。
追記:更新が遅くなります。ご承知ください。