第20話 大地震
『嘘だよ。まぁ・・・いつかは行くときがくる』
ノアは小さなスプーンをどこからか取り出し、ルナのカレーを黙って食べ始めた。その姿は、どこか寂しそうで、哀しそうだった。
『おい、ルナ! カレーのおかわりをもってこい』
小さな体で、大きな皿を持ち上げた。ルナは心の中で、ハイハイと笑った。ノアをよく見ると、口の周りにカレーがついている。
ルナはパンチョに頼んだ。
「パンチョ、ノアの口を拭いてやれ」
突然指名されたパンチョは、しぶしぶティッシュを小さく千切った。
『何で私が・・・まあいいわ、拭いてあげるからこっちに来なさい!』
『結構だ』
ノアは洋服でカレーを拭いた。今度は服にカレーがついた。
『あーあー、何やってんのよ〜! 面倒よ!』
パンチョはノアを叱った。そして、ノアのもとへ飛んでいき、ノアの服をふいた。ノアは顔を赤くしながら、その様子を見つめた。
『オレ様は、んなガキじゃねえ!』
あくまでも抵抗しようとするノアに怒ったのか、パンチョは魔法を唱えた。
『うるさいっ! ちょっと黙っててもらうわ。ジャンク・ドール!』
パンチョが叫ぶと同時に、目や足、手などが取れた人形が3体、ノアの周りを囲んだ。その人形に押さえつけられ、ノアは動けなくなった。
『まったく・・・服をちょっと拭くってだけで大騒ぎね』
そういいながらもにっこり笑い、カレーをふき取った。
『ごほっごほっ、パ、ンチョッ、自由にしろ、』
人形たちの押さえつけ行為は、だんだんエスカレートしていった。ノアの首を締めたり、手錠をかけようとしていた。
『どうもご苦労様。もう戻っていいわよ、人形達』
パンチョが緑のマントを取り出し、広げると、人形達はその中に吸い込まれるようにして消えていった。パンチョはマントをしまった。
『素直に拭かせてくれれば、苦しくなかったのに』
そう小さく呟き、にこりと笑った。
そのとたん、地面が大きく左右にゆれた。かなり大きな地震のようだ。食堂中は大パニックになった。泣き崩れる人、大声で叫ぶ人などが多く見られた。
「じじじじじ地震なの!?」
「怖いんですか〜ひのりちゃん」
「ここここ怖くないよ!」
「声が震えてるぞ」
1分、2分と経ち、地震はおさまるように思えたが、何分経ってもおさまらなかった。それどころか、より揺れは大きくなるばかり。
「嫌だ〜、やっぱ怖いよー! 助けてーセト〜、るい〜!」
「もう少しで・・・おさまるわ」
るいはひのりを落ち着かせた。ひのりは泣き始めた。
ガシャンと大きな音をたて、窓ガラスが割れた。幸い、その近くにいた者はいなく、けが人も出なかった。他の窓ガラスも、次々に割れていく。
「リーちゃん、これはどういうことなんです!?」
『私にもさっぱりなんです! 聖界に関係があるかもなんで、行ってきます!』
「頼みましたよ、リーフ」
リーフは白いマントをポケットから取り出し、そのマントを自分にかぶせた。何秒か経つと、いつのまにかリーフの姿は消えていた。
「・・・このマントはどうなっているのでしょうか?」
セトは、地面が揺れているなか、しゃがんでマントを調べた。しかし、何も起こらなかった。
「まだ、おさまらないです」
「もう10分ぐらいこのままね・・・」
「ち、地球がおかしいっ!」
「いいや、地震が起こっているのはこの地域だけらしい」
4人はなぜなのか、と考え込んだ。
みなさま、こんばんは。
いや〜、地震って怖いですね! しかも大地震。
実際、大地震を体験したことないんで分からないんですが・・・
では、また。