第19話 『1部』
食堂からは、いい匂いが漂っていた。今日のメニューはカレーだった。
「いえ〜い! カレーだ〜! やった、やった!」
セトは、幼い子供のように無邪気にはしゃいでいる。ひのりたちは、セトが落ち着くまで待った。
「お〜い、セト! はしゃいでるとカレーこぼすよ? おかわりはたくさんあるからさ!」
そう言っているひのりもはしゃいでいる。ルナは「人のこと、言えないだろう」と、呟いた。
セトたちは並び、カレーを取りに行った。
「おお〜、おいしそ〜!」
カレーは出来立てで、湯気が立っていた。セトは前のほうに並んだので、すぐにもらうことが出来た。セトは急いで席につき、1口味見をした。
「セト! まずいって」
「んーん、何を言う! おいしーよ」
「そういうことじゃないよ!」
ひのりは呆れた顔をしている。セトはもう1口味見をした後、ぶすっとした顔でスプーンをおき、クラス全員がそろうのを待った。
「まったく・・・何一人で食ってんだか」
ひのりが呆れた顔で呟いた。その言葉を聞いて、セトは威張って答えた。
「何を言う! これは毒味なのじゃ」
「威張って言うなー! 単なるつまみ食いじゃい!」
ひのりはセトにツッコミをした。セトは「愉快じゃの〜」と笑った。
クラス全員がそろい、いただきますの声が食堂に響いた。その声が響く前に、セトのカレーは3分の1程度しか残っていなかった。
「毒見サイコ―!」
「セトちゃん・・・」
とりあえずセトをみんなで注意したが、セトは「毒見です☆」と繰り返し、聞こうとしなかった。るいが先生に言おうとしたが、ルナが止めた。
「こうして無邪気にしていられるのも、もう少しだけだ。だから、このままにおいてしてやれ」
るいには、ルナが何を言っているのかが分からなかった。ルナは視線をセトに戻し、微笑んだ。
「うわーい! おかわりしてくるねー!」
「速っ! 待ってセト〜、あたしも行くから!」
ひのりは急いでカレーを口に含み、飲み込んだ。そしてセトの後に並び、カレーを大盛りにしてもらった。最も、セトのほうが大盛りだったが。
ふとひのりは立ち止まり、カレーを見つめた。
「じゃがいも、にんじん、たまねぎ・・・全てのカレーの材料。ううん、カレーの材料だけに限らない。全ては豊かな自然がなければ成立しなかったのだ! だよね? セト」
ひのりが目を輝かせて振り向くと、そこにセトの姿はなかった。セトは既に席に座り、2杯目のカレーを完食しようとしていた。
「へ? なんか言いました?」
「いや、いいっす・・・(なんか・・・恥ずかしい!)」
セトはひのりの言葉をまったく聞いていなかったようだ。ひのりは顔を赤くして席についた。セトは再びカレーをおかわりしに行った。
「前々から気になってたんだけどさ、魔法ってどんなの?」
突然ひのりがみんなに尋ねた。セトとるいとルナは顔を見合わせ、頭を傾けた。
『1部は残酷』
『1部は人殺し!』
『1部はいらないわ』
『1部はこの世に必要ねぇな』
守護霊は次々に真剣な顔で話した。ルナは守護霊たちが必ず言う、「1部は」と言う言葉に、どこか引っかかった。ルナだけでなく、アクアとアオイも引っかかっていた。
『聖界に行けば分かるさ、1部だけの意味が。その言葉、引っかかってんだろう? ルナ』
ルナを睨みつけ、少しだけ微笑んだ。
「そんな時がくるのか?」
ルナは急に不安になった。いつか、得体も知れない場所、聖界と言う場所に行かなければならないのか。とてつもない不安に襲われた。
『もちろんだ。まさか、オレ様だけ行かせようと思うなよ?』
「いつだ!」
『今』
こんにちは。おひさしぶりです。
ほんっと、意味不明な駄文ですみません!
これからも更新頑張ります。