第18話 2人だけの会話
「騒がしいですわよ?」
「・・・何かあったの」
「なんなのさ?」
他に眠っていた3人も、続々と起きだし、部屋は大騒ぎになった。
コンコン
誰かが扉を叩く音がした。その後、扉がゆっくりと開いた。
「後15分ぐらいで飯だからなー、布団はあった場所に片付けておくように。後は部屋をはいて、何人か先生のところへ来い」
「はーい」
しばらく騒いでいたセト達は、先生が来てから急に静かになった。みんなの迷惑にならないように、小声で話をしている。アオイと萌と藍は、三人で布団を持っていくことになった。
「我らが布団を出したのだから」
「当然なのさ!」
「後は頑張ってくださいですわ〜!」
後に残っている仕事は、部屋をはく、先生の手伝いの2つだ。セトとるいは、話したいことがあるようなので、部屋をはくことを選んだ。ひのりたちは先生の下へ向かった。
「セトちゃん・・・ごめんなさい? 先生の手伝いに行きたかったかしら?」
るいは不安そうな顔でうつむいた。セトは「全然?」というような顔で笑った。
「で、なんですか? 話と言うのは」
「わ・・・私・・・ね、ひ、人を、ここここ殺そうと・・・!」
セトは至って落ち着いているが、るいは慌てた様子だった。るいが慌てているのを見て、セトも「私、何かした!?」と慌て出した。
「まあまあ、落ち着きたまえ。そなた、人を殺そうとしたとな」
セトは、名探偵気取りの口調で、るいに尋ねた。るいはうつむいたままだ。
「誰をかね? その問題には私もかかわっているのかい?」
セトの問いに、るいは聞き取れないくらい小さな声で答えた。セトは何度も聞き返したが、るいは声の音量を上げようとはしない。
「ねぇ、るいちゃん。私の声が聞こえますか? 怯えないで・・・どうか私の顔を見てください。私は何にもしないですよ? お願いだから、私の声を聞いてください」
優しく、そっと自分の手をるいのほっぺたにあて、呟いた。るいも、少しだけ顔をセトに向けた。その目は既に輝きを失っていた。
「無理よ・・・セトちゃんに、あわせる顔がないの! はっきり言うとね、私はあなたを殺そうとしていたの・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
セトは、その事実を知っても、動揺一つせずにるいを抱きしめた。
「殺そうとしていた、でしょう? ならいいよ。殺した、じゃないから。私を殺す前に、きっと何かに気づけたんです。だから、あなたは人殺しではないのです」
にこっと笑うと、そうじ用具入れからほうきを取り出し、今まで使っていた部屋をはきはじめた。
「でもっ、ひのりちゃんに・・・」
「これ以上は言わなくて良いです。・・・これ以上言うと、傷つくのはあなたですよ」
セトは、るいにほうきを手渡した。
「さあ、はこう!」
セトは、やけに張り切っている。理由は、早く終わらせてご飯が食べたいからだ。その様子を見てるいも、涙をぬぐい、はき始めた。
リーフとパンチョも、小さな布切れで壁を拭いている。
しばらく経ち、アオイたちやひのりたちのグループが帰ってきた。
「そろそろご飯だってー」
ひのりはルナを連れて、スキップしながら食堂へ向かった。アオイと萌と藍も、話しながら食堂へ向かった。セトとるいは、道具の後始末をしてから食堂へ向かった。
『セトちゃん、るいちゃん、行ってていいですか?』
『るい、置いていくわよ』
セトはリーフに、
「いいよ」
と言ったが、るいは、
「守護霊のくせに態度がでかいわよ! ちょっと待ってなさい!」
と言った。
『やだ』
るいはパンチョにきっぱりと言われ、そうじ用具をセトに手渡して、パンチョを追いかけた。
『守護霊はあんたを守ってやってんのよ? ほら、頭が高いわ』
「私がいないと、あんたはいなかったのよ! あんたこそ頭が高い!」
追いかけながら食堂に向かう2人。セトはリーフと、そうじ用具を片付けてから、急いで食堂に向かった。
こんにちは! 作者です。
いつものように更新遅いですね・・・。
反省してます! 本当です!
頑張って書いていくので、見捨てないでください(ぇ