第16話 生体実験
『まだ詳しく分からないわ』
パンチョは苦しそうな表情を見せた。こんなことを聞いてどうするのか、と、パンチョは疑問に思った。少し間を空けて、るいが口を開いた。
「そうね・・・私も分からない。あの子を生体実験したいけど・・・あの子のことは詳しく調べる必要があるわ」
「何を詳しく調べるのでございましょう?」
「それはあの子の体を1週間液体につけ・・・って、萌ちゃん!?」
るいが気がつき振り向けば、萌がにやりと笑って立っていた。
生暖かい風が吹き荒れ、よりいっそう雰囲気を出す。
しばらく二人が見つめ合っていると、萌が怪しげな笑みを浮かべてくちを開いた。
「大丈夫ですわ。今のことは、聞かなかったことにするですわ。私も、そろそろ引っ越すのでございます。だからそれまで私が言わなければいいことですわ」
萌は、とたんに顔が悲しそうになった。どこか遠いところに、そろそろ引っ越すようだった。るいも何故か悲しそうな表情を見せた。
「もしも私が誰かに言ってしまったら、用無しの私を殺せば良いことですわよ?」
軽々しくそう言い、笑った後、るいと萌は部屋の中に入った。
(如月セト・・・1度あの子の生態を調べてみたいわね)
ボーン、ボーン、と少し錆び付いた古時計がなり響き、時計は6時を指していた。この時計は、実際の時間より遅れているようだった。再び、萌は眠りに付いたが、るいは起きていることに決めた。紙に、実験の様子を想像して書きはじめた。
「この水溶液にセトちゃんを入れるには・・・リーフに協力してもらいましょう。
この液は、メタミドホスとパラチオンを大量に入れて・・・ついでに青汁も、ね。うふふふふ」
小さく、そして不気味に笑ったるいは、調子に乗ってしまい、みんなが起きるまでずっとかき続けていた。しかし、青汁はたぶん関係ない。
「んーっ、すがすがしい朝だねーっ、ルナーっ」
「・・・うるさいぞ、ひのり。私はまだ寝る」
ひのりが話し掛けるが、ルナは眠いらしい。一生懸命、ルナを起こそうと体をさすっているうちに、ルナはイラつき、飛び起きた。
「あ゛〜、眠気が覚めたじゃないか!!」
「はっはっは〜、あたしの根気の勝ちだね♪」
ひのりはピースをした。ルナは呆れたのか、ぐったりとしたまま、ひのりを見つめる。
しばらくすると、ルナは再び布団に潜り込んだ。それを見てひのりは、もう一度ルナを起こそうとした。しかし、跳ね除けられた。
「おーい、起きてくれよう。おーい、ルナ? ルナちゃ〜ん! ・・・ぶう」
ルナは、もう既に熟睡していた。ひのりがどんなに体をさすっても、起きる気配がない。そんなルナに飽きたのか、ひのりも自分の布団に戻り、眠りについた。
「・・・セト? 起きてる?」
布団に入り、眠ったかと思いきや、次のターゲットはセトになったらしい。自分の布団を脱ぎ捨て、セトの布団に向かい、セトの上で小さくジャンプを繰り返した。
「セトに、ダイレクトアタ―ック!」
「んー、トラップ・・・発、どぅ・・・」
何とか答えたセトだが、すぐに眠りについてしまった。ひのりは、今度はるいの布団に向かった。しかし、るいはまだ、実験の様子の紙を書きつづけていた。
「るーいっ・・・?」
「っ・・・!?」
紙を覗き込まれて困惑する、るい。それを見てひのりは、顔を歪めた。
「何を・・・しようとしてるの?」
「ひのりちゃんには・・・関係ないでしょ! 覗き見はいけないわ」
るいはひのりをにらみ付けた。ひのりは、1歩退いた。しかし、負けじと言い返す。
「なんでそういうことを書くの? 仲良く過ごそうよ! ね?」
こんにちは、お久しぶりでございます。作者です。
自分でもびっくりするぐらい更新が遅くてごめんなさい!
1部分かりにくいところがあります。反省してます、ごめんなさい。
こんな駄文を読んでくれている方々! 本当に感謝致します!
ではまた。